表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/32

幸運の指輪

 今回のお仕事は探索。


 先日、見たばかりの黒装束に着替え、武器選びにきた。


 どれも扱ったことのない物ばかりで、困った俺は、お願いしてナイフと閃光弾にしてもらった。


 奴は、さっさと手裏剣、クナイ、毒針、ヌンチャク、ピアノ線、ナイフと、次々と服に仕込んでいく。


 「準備できたのなら、行け」


 長老に言われ、神子様がセットしてくれた、ワープドームに入った。


 すぐに頭が重くなり、悪酔いしたような気分に襲われる。


 そして、無情にも、体にピッタリした服と、関節にプロテクターをした、拳闘遣いの女性プレイヤーの前に出された。


 依頼人は、ゲーム内のイベント攻略で手に入れたアイテム、()()()()()を使うことによって依頼してきたのだ。


 幸運の指輪とは、プレイヤーのどんな願いも叶うという代物である。


 よって、神々の契約に基づき、神子様を通じて我々が願いを叶えるのである。



 フラフラになりながら、方膝をつき頭を下げた俺。


 「お呼び()すかご主人()()


 噛んだ……やっぱりな。


 隣の奴は、激しく震えている。


 プレイヤーの女性は、気にすることもなく、矢継ぎ早に願いを口にした。


 「お願いよ。大切な友人が行方不明なの! 捜して、1秒でも早くね!」


 「はっ」

 駆け出そうとする、俺の腕を押さえた奴は……。

 「詳細をお聞かせ下さい」

 そう言って、詳しい内容を、対象者から聞き出していた。


 なんでも、クエストの護衛で知り合い、仲良くなったご令嬢が、祖父の遺産相続のために、コルタゴの町からこの街に来ていたらしい。


 3日前に、このサンテルーア教会で会う約束をしていたそうだ。


 ところが、その日は現れなかった。


 不審に思い、宿泊している赤ダル亭の宿まで会いに行ったが、宿に戻って来た形跡がない。


 次の日も、宿に何の連絡もないので、宿の主人の証言を頼りに捜索した。が、手懸かりは全くなかったと。


 今日で3日目になるが、自治体やギルドにも情報があがってこない現状だそう。


 祖父の屋敷にも、足を踏み入れていないそうだ。


 八方塞がりで、友人の命には代えられないので、この指輪を使うことにしたようだ。


 ご令嬢の名前は、パミュエル・ノースガルド。


 褐色の瞳に、明るい茶色の肩までの髪。黄色のリボンを頭に着けて、黄緑色のドレスに灰色の靴を履いていたそうだ。



うん、可愛いらしい女性に違いない。


 「失礼ですがこの情報は、赤ダル亭の宿の主人から聞いた情報ですか?」


 「ええ。おかしなことに、彼女本人に会ったという人は、宿の主人以外見つからなかったの。でも、ちゃんと、彼女が使った形跡のある荷物は置いてあるのよ。どうやってこの街まで来たのか。乗り合い馬車だと思うのだけど、情報が全くないの。これで見つけてもらえるかな? 彼女が無事なら、私は、それでいいのよ。だから、早く捜してくれる?」


 手懸かり無しで、どうやって捜しだすんだよ?


 俺が、大変困っていると……。


 「親ビン、まずは、宿の主人の、身辺調査から始めましょう」


 「どうして、宿の主人を調べるんだよ?」


 「唯一の証言者だからです。まず、真偽を確かめにいきましょう。それに、宿泊客の靴の色まで、普通覚えているものでしょうか?」


 「それは、スキルの高いプロだからだろう」


 「急ぎますよ」


 なんだよ。俺の意見はスルーなのか?


 まあ、いい。成功すればいいんだからな。


 携帯には、直ぐに地図が届いた。


 赤ダル亭は、宿だけの経営のようで、この時間お客は、外食に出払っているようだ。


 奴は、カウンターにあった卓上ベルを鳴らした。


 なんで、そんな事するのか?


 「お待たせしました……ん? 誰もいねぇじゃねぇか! イタズラか?」


 宿の主人は、辺りを見回し外まで確認に出たようだ。


 その隙に、少し開いた扉の奥に潜り込む。


 そこには、酒と食べかけのハムサンドが置かれた、机とイスがあるだけの部屋だった。


 奴は、ヌンチャクを使って、器用に引き出しを開け中に潜った。


 そこに、宿の主人が戻って、また酒を飲み始めている。


 「クソ、誰なんだ、イタズラしやがって! まさか、あのしつこい、拳闘遣いの女じゃねえだろうな」


 悪態をつきながら、また酒を飲む。


 「どうせ、わかりゃあしないさ。誰にもな」


 不穏な言葉を吐く宿の主人。


 やっぱり怪しいのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ