扮装物のお仕事
前回、着ぐるみが評判だった為に、やっぱり来たよ。着ぐるみの仕事!
今日は、ご機嫌な長老様からだ。
「2人の快進撃は聞き及んでいるぞ。まったく、想定外のナイスペアだな」
なんだそれ、俺は嫌なんだがな。
「はい。親ビンと精進できて、私も毎日が輝いています」
なんだ精進って? こ奴の場合は、俺の動画撮影したいだけだろうが。
はっ! まさか、こ奴……俺のドキュメンタリー番組でも制作しているのでは!
後でちょっと、お弁当のソーセージを分けてやろう。
「お主にやる気が出て、コビト族一同喜んでおる」
何故、泣く? しかも、コビト族って大袈裟な……まさかな。
「それで、今回は、どんな内容なんですか?」
「おお、そうであったな。今回は、ちと変わった仕事でな、賑やかしをやってもらいたい」
「ニギ屋菓子? 美味しそうです」
俺がそう言ったら、2人はえっ? て顔をした。解せん。
「うっうん(咳払い)、続けるぞ。ある男を観察してもらいたい。但し! 君達が着た衣装の役になりきって、忌憚の無い会話をしてくれるだけでいい。頼んだぞ」
なんだ、難しいことを言われたぞ。それに、絶対だな。やるかやらないかも聞かなかったな。
うーん、解せん。
いつものように、案内係に連れられていけば、いつものように着ぐるみちゃんが置いてあるのだった。
「おい、俺達はいつからご〇地アイドルになったんだ?」
「なんですかそれは?」
「えっ、知らないのか?」
「知らなきゃいけない情報ですか?」
げふんげふん。
「いや、特には」
「そうですか」
こ奴は、どこぞの御曹司では……いや、まさかな。
サッと着替えたアヤツは、どうやら真っ白なタレ耳うさぎ。なんて可愛らしいんだ。表面だけな。
さて俺は……まさかな。黒い衣装に羽根ですか? 触角もあるかな……。
なんで毎回これなんじゃ! それにどう見てもタレ耳うさぎに、〇エって放送禁止物だろう!
俺は怒りを露に、アヤツに言った。
「こんな〇エの衣装なんて、着てやれるか! 第1、〇エの気持ちなんてわかるか! クワーッ、ペッ」
アヤツは、俺の下品さに呆れたのか、目を真ん丸くしている。
それから、ギャハハハと笑い出したのだ。
「親ビン、それ、妖精の衣装ですよ。それなのに自分から……ギャハハハ言ってしまうなんて……イヒヒヒ……認めてるようなもんじゃないですか! あー腹痛い……」
ぬおっ! ぬかった! 俺とした事が……あの悪魔のような子供のせいで、誤認してしまった!
素知らぬふりで、そそくさと着替えた。




