着ぐるみOKのお仕事
ワープで送られた先は、大部屋の控え室のようで、人魚連盟や大巨人軍団等がひしめいていた。
監督さんなのか、ADさんなのかの説明によると、カードごとに撮影会場にて撮影をし、それをフォログラム投影すると。
なら、3D作ればいいのに。
そう質問する方への説明として、臨場感を出す為に本物を使いたいとのことだ。
でも、俺達、着ぐるみだけど? それはどうなんだ?
「はい」
俺は手を挙げて質問する。
「あ、どうぞ」
「俺達、着ぐるみなんですがいいんでしょうか?」
「ちょっと待って下さい」
そう言って、台本をペラペラ捲り
「今回初参加のコビトさん達ですね。えーと、流石に小さすぎるので、着ぐるみOKになってます」
そうなのか。じゃあ、誰がやってもいい仕事だったんだな。
いっそのこと、魔神は、風船でもいけそうだな。
「おい、なんでコビトから魔神なんだ?」
「それは、カードゲームの制作者に質問することですね。親ビン」
「なら、魔神は風船にしよう」
「そうですね。それは名案だ」
奴は、俺に自分の着ぐるみを渡そうとする。
「じゃあ、親ビンに、全て任せればいいんですね?」
「ちょっと待て。お前はその間、動画撮影とかするつもりだな。却下だ」
「嫌だなあ……最近親ビンも察しが良過ぎて、本当に困ります」
その、嘘くさい笑顔。コヤツ、ちっともそう思ってないな。危ない危ない。
∈∈∈∈
暫く待って、やっと、俺達の出番だ。
撮影場所で、準備を始める。
2人前後で、コビトの着ぐるみに入った。
が、俺としたことが、先程控え室で、お茶菓子を飲み食いしていたので、トイレに行きたくなってしまった。
モゾモゾしていると。
「いいね。いいね。小刻みに震えた感じが、小動物ぽくて、女子受け間違いなしだよ」
監督さんなのか、制作者さんなのか、高評価されているが、断じてそうじゃない。
俺は、今、理性と闘っているのだ。
早く、もっと早くしてくれよ。
「これは、暫く3方向から長回ししておいて」
ヌォー! 有り得ん。
高速プルプルに入った。
「今回、初参加なのに名演技だよ。コビトさんいいね」
いいねじゃない! 早く早く。
すると、先程のADさんの声がした。
「監督~、アレって子供のトイレ我慢のサインですよ~」
「…………」
壺と、コビトを脱いでトイレに走りました。
スッキリして戻ると、苦笑いしている監督と目が合った。
俺は、頭を下げてから、着ぐるみを着たのだった。
「はい。気を取り直していくよ」
「次はいよいよ、クラスアップの場面いきますか」
あれ? 俺は、なんだか背中がムズムズ……。
「はい、効果音入った……クラスアップ開始して」
アヤツは、華麗にナイフで着ぐるみを切り裂き、パッと俺の肩の上に跳びのり、胸を膨らませた。
「ウハッ。素晴らしい動きだ。はい。もっとスモークとライト当てて」
背中のモゾモゾが、腰に……。
「うーん、いいね。いいね。その揺らぎ方。壺から出てきてる感じが、ぐっと増すね」
大絶賛のようだが、それは違う。俺が背中を掻くので、奴がバランス取るのに、必死になっているのだ。
またもADさんが
「監督~、アレ、下の土台が不安定だからじゃないんですかね」
その瞬間、俺はとうとう仰け反った。
奴は、反動を利用して宙返りをした。
「なんと! 見事な分離。魔神素晴らしい動きだ」
監督の大絶賛の嵐は続く。
俺は、壺の着ぐるみをイソイソ脱ぐと、クモが入ってたよ。
その後、何故か監督に気に入られ、舞台をやらないかと誘われたが。
うーん、解せん。
が、俺にセリフが覚えられる訳ないので、これにて終了。
∈∈∈∈∈
後日、案内役の人から聞いた話しでは、着ぐるみと思えない映像で、話題を呼んでいるとのこと。
魔神の動きが、ローソクの炎のように、繊細だとかなんだとか。
それから、魔神分離の攻撃回避という、新しい技も取り入れられたとか、られないとか。
そして、現在俺の携帯電話は、青色をしている。
前回、大幅に日数を短縮した為、3,000pointいただいたのだ。そして、今回の映像が話題を呼んだので、1,500point。合計が4,631pointとなりました。
ヌォー! 俺様大快挙。




