イケメンな男
居候というか、押し掛けだな。
そして、こいつは、居住権を獲得していた。
どういうことなんだ?
爽やかな笑顔と、金貨の入った小袋を出して渡されてからの、俺の華麗なる転落人生が幕をあけたのだったあ。
「俺は、親ビンにすっかり心掴まれたので、これからは、親ビンの行くところに、何処にでもついて行くことにします」
「親ビン? ついてくるって、散歩にか?」
「いいえ、何処にでも、お供します」
いや、可愛い子犬ならいいけど、こんなイケメンと居たら、俺が引き立て役だよな? 考えこんでいたら、長老からのお呼びだしが……。
長老から俺に呼びだし?
呼び出し方法は、確立されていて、1人1人に携帯電話が与えられている。
神子様は、1人で幾つものモニターを観ることができ、必要に応じて呼び出しを伝えてくるのだ。
長老や幹部連中が、その要請と能力を判断して、我々コビトを、携帯電話で呼び出すと言う仕組みである。
狭間の世界なので、時間の流れが違うために、送るまでには余裕があるのだ。
つまり、断ることが出来る。他を選べるという言い方もできるなあ。
断れるほどくればだけどな。
俺みたいな底辺は即決だ。しなければ、いつまでも村生活だし、出会いもない。
要請=金・愛 なのだ!
断ると、誰でもこなせる仕事ですら、順番を最後にされてしまう。
しかし、受けて失敗しても、努力は買ってくれるのだあ。誰でもこなせる仕事をまわしてくれる。
だから、必ず即決する。しない奴がいると思えないぞ?
「親ビン、呼び出しに応じるんですね? それではお供します」
「えっ、あぇ? ついてくるって、俺の呼び出しにか?」
まぁ、お供としてだからいいのか。
村の中心地に長老宅がある。そこに向かう俺達。
緊張するなあ。どんな仕事だろう。
ちなみに、俺の初仕事は、奇跡の再現で、木の上からクスリを撒く簡単なお仕事でした。
クスリビンのフタを落とすという、簡単なミスがつくお仕事……。
クスン。
どんよりした気持ちで着いた、長老の屋敷前。
出迎えの役人に案内された。
あれ? 何で、お前まで?
当然のように2人で案内され、長老の前に正座した。
「よく来てくれた。本当によく来てくれた」
2度言った?
こんなに歓迎されるほどの活躍……してない。
あれ? 目線そっち?
呼び出したのは……うん、俺だね。携帯電話の履歴を見て安心する。
「今回の任務は、VRMMO内での探索の仕事だ。神からの契約により、契約プレイヤーの力になるように。以上だ」
「今、なんと? 探索? 能力値、最上位のお仕事ですよね?」
「能力値、最上位。何も問題はない」
もっしぃ、どっち見てますかあ?
長老なのに、もみ手って何かなあ?
俺は、釣りエサか!
「ことわり……」
「断れば、異界送りが待っているぞ」
しえっ?
それって、懲罰扱いじゃないですか?
爺の微笑み。こわっ!
しかし、俺には、どうしたって失敗の文字が頭をかすめる。
「親ビンどうしますか? 断わります?」
なんでお前、そんなに嬉しそうなんだ?
「断ったら、異界送りなんだぞ?」
俺は、言い聞かせた。
「ふふ。俺ごときでは、一生行けない場所ですから。やっぱり、親ビンに着いてきて良かった」
キラキラしとる。
「早まるな! まだ断ってはいない」
「こんな、つまんねぇ仕事、さっさと断っちまいましょう。親ビンの代わりに、俺がハッキリ言ってやりますから」
「なっ、バカ! いいから、言わんでいい!」
それを聞いた奴は、辛そうに悶えた。
「親ビン、その顔最高です!」
はあ?
こうして、こいつとの信じられない仕事が決まったのだ。




