囚われてからのお仕事
長老様の直属の部下、5人衆の1人セイユ様。
あまり目立たない方だが、人望あるお方だとか。
今日は、そのセイユ様からの呼び出しで、奴と2人正座して並んで待っていた。
今日の奴は、寛容だ。
俺が間違って、奴のシャツと俺の柄物を洗濯してしまっても、一つも無理を言わなかった。
いつものアヤツなら、今すぐ神社でおみくじを引いてこい。とか、風呂に入るなら、このアヒルちゃんと入れ。とか、良くわからない注文をするのだが、今回は、それがなかった。
解せぬ。
そんなことを考えているうちに、セイユ様がいらした。
「久し振りやの。また仕事をする気になったんやてな」
ニコニコと恵比寿様のような人だ。
「それで、今回のお仕事とはどんな物なんでしょうか?」
「それがな、一旦海賊に囚われてから、案内する役なんよ。やってくらはりますか?」
良くわからない言葉遣いだ。
「勿論です。親ビンの、華麗なる復帰に相応しいお仕事ですよ。ね?」
いや、お前が俺と、ただ、仕事がしたいだけだろう?
「海賊に捕まるなんて、恐ろしいですよ」
俺は、ちゃんと、断る。
「そうやな。ほやけど、今回、女の子も参加するんやけどどないする?」
女の子! ヤッター。アヤツに仲良くさせて、友達でも紹介してもらえば……フヒフヒフヒ。
「やります! やらせて下さい」
「ほな、頼むでぇ」
「「はっ」」
案内役の人について行き、その時代の服に着替えた。
俺は、白Tに皮のベスト、ダボダボのパンツ。
奴は、衿のあるシャツに、スカーフを巻いて、黒のパンツだ。
やっぱり格好いいな。
「何処で、何て言う海賊に捕まるんだ?」
「サンマルコ港の酒場で、親ビンが海賊の夕食のパンをちょろまかすんですよ」
「ちょっと待て。何故俺がちょろまかす役なんだ?」
ふふん。俺だって、言うときは言うんだぞ。
「いえ、俺がやったら、成功しちゃいますから」
フム。成る程。
「良くわかった。ギャフン」
「それでですね、命を助けてもらう代わりに、宝のある場所に案内すると約束するんです。長老が地図を送ってくれますから、チャチャッと案内すれば終わりです」
あれ? 重要なことを忘れているのだ。
「それで、女の子はどの辺りに登場するのかね?」
「ああ、最後ですよ。向こうは別の、お宝探し人を連れてくるから、争奪戦になりますね」
なんだ、そうなのか……。
「大丈夫ですか? 親ビン」
これも仕事なんだから、しょうがない。俺は、立派な社会人なんだから、頑張って仕事を成功させるぞ。うん。




