閑話
思わぬ怪我で、自由時間があるので、怪我をしたコビトの人達に、謝罪の手紙を書いていた。
そこに、奴がお見舞いにやってきた。
同じ黄色でも輝かない俺の携帯。
そうです。前回のお仕事で、皆に怪我をさせたので、10,000pointがお見舞いpointに消えました。
チュドーン。
儚い夢だった。
「親ビン。早く治して俺を楽しませてくれないと、仕事の効率が落ちて困る。ちょっとぐらい、痛くても復帰して下さいよ」
お前……それ、お見舞いに来た奴の言うことなのか?
ほんとにコイツときたら、俺にいったい何を求めているのか。
「キチンと養生するまでは、仕事はしない」
ちゃんと、言っておく。
「親ビンは、子分を見捨てるんですね」
なっ! お前、なんて人聞きの悪いことを言うんだ。
うーん。俺は一計を案じた。奴を諦めさせるためにこう言ってやった。
「そうだにゃあ、毎日美味しい物でも食べたら、早く復帰できるかもしれないにゃあ。でも、ここは医務室だから、それは、ムリだなにゃあ」
「なんだ、そんなことでいいんですか。わかりました。自分の為に頑張ります」
えっ? 自分の為に何を頑張るんだ? 仕事か? なら良かった。
色々めんどくさい男だな。
そして俺はまた、謝罪の手紙を書くのであった。
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あれから、奴が毎日、手作り豪華弁当を届けてくれる。
伊勢海老のフライ、子牛のフィレステーキ、フォアグラやキャビア。
とても美味い。
だか、初めての豪華な食材で、俺の貧相な胃が受け付けず、下〇ばかりして体重が8グラムもおちたのだった。
ゲッソリ。
結果、復帰は更に遅れ、奴は俺に紙切れを叩きつけてきた。
「親ビンの嘘つき!」
それは、見たことのない金額の書かれた請求書だった。
仕方がないから、長老に頼んで、なんとか内職の仕事をもらう俺。
その内職は、千羽鶴折りだった。
暇さえあれば、セッセと色とりどりの折り紙で千羽鶴を折る。
時には、折り紙の裏に、奴の顔をイタズラ画きしたりした。
へのへのもへじ、はなもげら。
うん。我ながら天才だあ。
普通の人なら、ここで虚しいと思うんだろうが、俺はとても楽しかったのだ。
そうして、あっという間に千羽折りが終わってしまう。
何やらこの内職というものは、俺に合っている気がするぞ。
それからも、長老に頼み込んでは、内職の仕事をセッセとこなした。
だが、しかし、何故か奴は、俺から請求書を引ったくり、破いてしまったのだ。
「どどど、どういうことなんだ?」
俺が問えば、奴は口をへの字にしてこう言ったのだ。
「もういいから、内職の仕事は辞めて下さい。全然面白くない!」
はにゃ?
何を勝手なことを……今日という今日は、ハッキリ言ってやる!
「勝手なこと言うにゃ! 俺がにゃにしようと、おみゃーの知ったこときゃ」
すると、奴は少し考えてから
「親ビンのご実家は、地球の日本国愛知県名古屋市ですか?」
ですと。
「はぁ?」
俺の首が90℃曲がって、捻挫したのは奴のせいだ。




