さしすせそ
長老の直属の部下に、お頭5人衆『さしすせそ』がいる。
今日は、そのうちの1人の、オスロ様に呼び出されている。
「目覚ましい活躍をしておると、聞きおよんでいる。そこでだ。今回は、育児の仕事をしてもらおう」
はい、きた。コレ絶対駄目なやつ。
「オスロ様。申し訳ありませんが、子供には泣かれてばかりなので、俺にはムリだと思います」
「案ずることはない。可愛い着ぐるみで行く仕事だから、子供には好かれるはずだ」
「着ぐるみ?」
「神々の契約によると、将来有望な魔法使いになる子供に、切っ掛けをつくるという、とても重大な役目なのだ」
なのだ。って、そんな重大なお役目を俺に?
「親ビンどうします? そんなガキの事なんて、知ったこっちゃありませんから、とっとと断っちまいましょう」
「この仕事には、特別pointがつくのだがなぁ」
オスロ様が、もったいなそうに言う。
なんて美味しい話しなんだ。
よし。俺には、コイツがいるから、今回も成功するに違いない。
「受けます。やらせて下さい」
「そうか。そうか。では、頼んだぞ」
「親ビン、頑張って下さいね」
ナニッ? 頑張って下さい? なんか他人事だなぁ。
俺が、困惑しているのがわかっているだろうに、奴は、楽しげに観察している。
俺は、平静を装って聞いた。
「おっ、お前も、いっ、一緒だよにゃ」
いかん、また噛んでしまった。
「すみません。俺には、別の仕事が入ってますから、今回は別々になります。本当に残念です」
それは、残念だと思っている人の顔なのか? 満面の笑顔を向けているじゃないか。
「どゅ、どぅ、どぉなにゃしたっ。イテッ」
「うぷっ。流石に、宇宙人語はわかりませんよ?」
奴は、急いで手で口を押さえた。
目から、涙が出てるようだが?
そうか、一応悲しいとは思ってくれているんだな。奴にも、意外といいところがあるようだ。
しかし、困ったぞ。
魔法の切っ掛けとは、いったい何をどうすればいいんだ?
「あの……もしも、失敗したら、その子はどうなるんですか?」
一番大事な事を聞いておかねばな。
「どうもなりはせんが、凡人となり、やがて悪に手を染め……殺さ……死んでいく」
今、言い直した!
ドオン!
俺の背中に、物凄く重い物が載っかった。
一番大事なことを、今度から聞くのはやめよう。すでに、俺は、虫の息です。
ミジンコのような気分で、トボトボ案内役の後ろに着いて行く。
着いた先には、妖精の羽と触角。それに灰色の服と靴が用意されていた。
ゴソゴソ着替えて、姿見をのぞくと! コレ、何の衣装だ?
案内役が、ヒーヒー言いながら逃げて行ったな。
またも、ジーッと、録画の音がしてるよ。
「親ビン! その妖精の衣装。うぶっ。とても良くお似合、げほっ。です」
そうか。妖精なんだな。俺には、ハ〇に見えたから、それなら良かった。うん。
いつものように、ワープドームで送られた俺。
着いた先は、なんだか寒くて、自然に手を擦り合わせたのだ。




