二話というより異世界転移する寸前。
今はお昼休み。
皆がわいわい学食やら、グループを作っておかずの交換のしあいとかしている時間である。
俺も今は友達の清水勇太と教室でお弁当を広げている。
「チュート、今日の弁当はいつにも増してぐちゃぐちゃだな」
勇太は笑いながら、箸を進める。
ちなみに勇太の今日のお昼ご飯はコンビニで買ってきたお蕎麦だ。
麺つゆにひたひたにつけてから食べている。
俺はあまりつけない派だよ。
「ほんとだよ、全く。なんで今日に限って、せっかく大好きな唐揚げが入っていたのに」
俺の弁当は形が崩れてしまっているが、ちゃんとしていれば唐揚げがはいっていたのり弁当である。
俺は箸で唐揚げを掴み、口に頬張る。
「お前のおばさんの飯ってうまいもんな。唐揚げくれよ」
そういって俺のお弁当に箸を侵入させようとする。
俺はすかさず、お弁当の位置をずらして避ける。
「無理矢理はだめだ、お前の蕎麦一口」
「それは無理だ」
勇太は蕎麦が入っていた器を見せる。
そこにはさっきまで入っていたであろう、蕎麦の姿がない。
勇太は数分のうちに蕎麦を平らげてしまったようだ。
「ええ...」
俺がそれを見てあぜんとしていると
「隙あり!」
勇太が待っていたと言わんばかりに俺の唐揚げを強奪していく。
「あ!?」
やられた。
あっけなくやられた。
「勇太!!」
食べ物の恨みは怖いというがまさにそれである。
「な、なんだよ」
勇太は思わず、弱気になっている
「あとでジュースな」
俺は多分怒っているのだろうが、顔を見ていないのでわからない。
ただ俺の声はドスが利いているらしい、勇太調べだ。
「お、おうわかったよ」
勇太も素直に従う。
そこまで怖いの俺の声?
少しショックだな...
『異変』が起こるのはもう少し後だ