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Lv1の剣  作者: 豚野朗
魔法都市
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魔法都市(共闘)

 魔法学校を襲ったゴーレムの魔法の爆風が収まったが、少しの間、俺は目を開ける勇気がなかった。

 カノンのいる魔法学校にゴーレムの魔法が当たったのだ。カノンが一人で残されてしまっていた魔法学校の校舎に。

 魔法学校が崩れ、その余波に巻き込まれたらカノンがどうなってしまうか考えたくもなかった。

「新川さん、アリスさんが来ています」とハカナイさんに言われ、恐る恐る目を開ける。

 アリスが光の盾を展開しながら、こちらへと近づいてきていた。


 それよりも気になるのは、魔法学校の方だった。

 ゴーレムの魔法の流れ弾が当たって、爆発した被害がどうなっているのか。

 俺はそれを確認しなければならない。

 意を決して、魔法学校を見る。

 たとえ崩れ去って、クレーターしか残っていなかったとしても確認する。

「ほっ……」と安堵の吐息がこぼれた。


 魔法学校の校門の前で、大きな結界が張られている。そしてその向こうに建つ魔法学校は変わりなく、いつも通りの姿だった。

 ゴーレムが放った魔法は、その結界に防がれて魔法学校には命中しなかったらしい。

 そしてその結界を張っているのは、結界の中で杖で飛んでいる。

「こっちは大丈夫Sa!君達は何も気にせず戦うんDa!」と俺たちに向かって声をかけた。

「はい」

 ハカナイさんと返事をして、アリスを迎えに行く。


「アリス!」

 名前を呼びながら、剣をアリスに差し出す。

 光の盾に立つアリスは剣を受け取り、「ありがとう。良かったわね。次こそ、間に合わせましょう。邪魔が多いけど、何とか行けそうよ」と言った。

「よし。あともうちょっとだ。ハカナイさん、お願い。無理させちゃうかもしれないけど」

「大丈夫です」

「行くわよ。っと、ちょっと待って」

 アリスがリッチのいる方と逆を見る。


 そこには、また口に魔法を貯めているゴーレムに変えられた人たちがいた。俺たちがしゃべっている間にも貯めていたのだろう、すでに発射寸前まで充填されているように見える。

「またか。ゴーレムの魔法だ。ハカナイさん、ごめん、またお願い」

「はい。……え?」

 ゴーレムたちが魔法を発射する寸前に、俺たちとゴーレムの間に結界が張られた。


「こっちは任せておいて」と生徒会長が俺たちをかばうように杖で飛び、頼りになるしっかりとした調子で言った。

 隣にはユキ先輩もいて、一緒に結界を張っている。

 そしてさらにその隣には、たくさんの先生方が並んで飛んでいる。

 たくさんの人たちが集まって巨大で強力な結界を生み出していた。

 その背中はとても頼りになる気がした。

「学長から聞いている。だから全力で戦ってくれ。あのゴーレムたちのことは傷つけない」と生徒会長が言う。


 そしてゴーレムから魔法が放たれる。

 凄まじい光と共に、何本もの強力な魔法が結界にぶつかった。

 ばちばちと魔法と結界のぶつかり合いで、光が明滅する。

 魔法都市に来た時から、何度この景色を見ただろうか。

 魔法実習で、廃坑での戦いで、さらに学長が魔法学校を守るときに、何度も俺を守ってくれた。

 しかしこんなにも不安のない結界は初めてだ。

 魔法を何個も受け止めて凄まじい音がするが、まったくこの巨大な結界は壊れる気配はない。

 すべての魔法を受け止め、結界はびくともしなかった。


「ふふ、これこそ集団戦の醍醐味ね。本来はこうやって守ってもらいながら戦うのよ、魔王軍の幹部との戦いは。魔法使いは結界を張り、巨大な魔法で倒す。前衛は支援を受けながら、魔王軍と戦う」

 アリスは笑いながら、生徒会長と先生方の背を懐かしむような眼をむけた。

「今までのような魔王の幹部との戦いは、異例中の異例よ。少数で魔王軍の幹部と戦うなんて、そもそも自殺行為なの。やらなければいけなかったのだけどね」

「そうなのか?いつもアリスは当たり前のように戦っていたけど……」

「当たり前なんかじゃないわ。私はゆ……ううん、私だからやらなければならなかったから。それに私は強いから、私にしかできないでしょう」

 何か変なところで口籠っていたが、これまでのアリスも魔王軍の幹部との戦いはイレギュラーの戦いだったみたいだ。

 てっきり今までもアリスはこんな戦いをしていたと思っていたが、そういう事でもなかったらしい。

 そういえば、アリスは魔王軍と戦う軍にいたと聞いた。そしてそこで勝手に動いて、罰せられてしまったと。だから一番弱い魔物たちがいる場所に軟禁されていた。

 結局、まだアリスに詳しい事は聞けてない。


「後ろは任せましょう。リッチとやらに、引導を渡してしまいましょう」

「そうだな。今度は邪魔はない」

 その時、ふいに自分の掌に重さが戻ってくる。

 今のやり取りの間に制限時間が来てしまったようだ。

 二人で笑いあい、そしてもう一度アリスに剣を渡す。

「任せた。俺、じゃなくて、ハカナイさんが頑張るんだけど、俺も近くにいる」

「了解」

 そしてアリスは乗っていた光の盾を蹴り砕き、光の破片の中、リッチの乗るゴーレムへと跳んだ。

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