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Lv1の剣  作者: 豚野朗
魔法都市
71/206

廃鉱山(突入)

「生徒会長とユキ先輩はどうやって来たんや?」

 アカガは唐突に現れた生徒会長に尋ねた。

「どうやってって、君たちの後を追ってきたんだよ。新川のアパートに行っても、誰もいなくてね。それで近くの人たちに聞きこんだら、魔法学校の生徒が学校に向かわずにどこかへ飛んで行ったっていう話が出てきたんだよ。それでそれを追っていたら、南門のところから飛んで行ったというじゃないか。それで追ってきた訳だよ」

 なるほど、買い物に行っていたことで、色々な目撃証言が生まれてしまったようだ。


 それは悪い事ではない。

 生徒会長が追ってきてくれたのだから。

 これで3人で無謀な戦いを挑む必要はない。

 生徒会長がセンダイを説得できれば、このまま敵陣に特攻することもないかもしれない。


「合点が言ったわ。オレたちが買い物行っている所を見られていたんやな。確かに、それはしょうがないわなぁ」

「しょうがない?」

「いや、こっちの話や。それで生徒会長はどうするつもりなんや。オレたちはこれからこの穴に連れ去られたフリョ・リダを奪還しに行くんや。一緒にどうや?」

 アカガはまるで買い物に行くかのように、生徒会長を誘った。


「おや、僕たちが一緒に行っても良いのかい?」

 生徒会長がアカガに尋ねる。

「もちろんやで。もともと、こっちのセンダイの案なんやから」

 センダイの方を指さして、アカガは笑う。

 確かに、センダイがフリョ・リダの誘拐の件を聞いて、暴走した結果、俺たちはここにいるんだ。


「本当かい?実は、君が誘ったんじゃないかな?」

「誘ったというか、アカガはフリョ・リダの目撃証言を集めてきてくれたんですよ。一番の功労者ですよ」

 俺はアカガが誘拐されていたという目撃証言を持ってきたという事を、生徒会長に伝える。

 何やらアカガを生徒会長が不振がっているので、信じてもらおうと思っただけだった。


「へえ、君がね。ご苦労様」

「どういたしましてやで」

 笑いあいながら、生徒会長とアカガがお礼を言いあう。

 生徒会長からアカガへの疑いが晴れて、良かった。

 なんにせよ、仲良くなれてよきことだ。


「フリョ・リダが誘拐されたと言う事は、もう警察には伝えたのかい?」

「はい。俺が行ってきましたよ。もちろん、俺たちが助けに行くなんて言っていませんが、止められたら困るので……」

「止められたら、どうして困るんだい?」

 生徒会長が当然のように聞いてくる。

「えっと、それは……」

 ちらっと腕組みをしながら、いらいらと貧乏ゆすりをしているセンダイをみる。


 さすがにセンダイの前で、センダイが暴走しかねないからとは言えない。

 言ったら言ったで、逆切れして、一人で行動しかねない。そうなってしまったら、それで困ったことになってしまうだろう。

 生徒会長を手招きして、少し遠い位置まで誘導する。

 センダイに聞かれないくらい距離を取った。


「なんだい?」

「センダイは、フリョ・リダが見つかったって聞いてから血の気が多くて、俺達では止められなかったんです。俺たちが断ったらたった一人で行ってしまいそうだったので、俺とアカガは一緒に来たんです。だからセンダイをいさめられれば、戦いに行くことはないです」

「なるほどね。そういう事か。だからあんなにいらいらしているんだね。よくやったよ、暴走を止めていてくれてありがとう」

「いえ、そんな事はありませんよ」

 生徒会長にお礼を言われて、少しむず痒くなる。


「なるほどね。ここにフリョ・リダがいるっていうのは、確かなのかな?」

「はい。アカガから聞いた分だと、二人組に誘拐されていたというのは、確かです。アカガが嘘をつく理由もありませんし……」

「それは……どうかな……?」

「え?」

 生徒会長が不穏なことを言った。

「どういう事ですか?」

「何でもないよ。気にしないで、君は自分の身を守ってくれ。君はレベル1なんだから」

 生徒会長はそう言って、アカガ達の輪の中に戻っていった。


「へ?」

 どうして生徒会長が俺がレベル1だという事を知っているのだろう。

 魔法都市で、俺がレベル1だと知っているのは、アリスとピョイ教授と学長しかいないのに。

 どこで生徒会長は知ることができたのだろうか。


「さて、今、新川からここに来た理由を教わった。早速だけど、坑道の中に入って、フリョ・リダを取り戻そう」と生徒会長はアカガやセンダイに向かって言った。

 えっ、と声を出しそうになる。

 生徒会長なら、センダイをいさめてくれると思っていたのに、まさか進む道を選ぶなんて。

 センダイが生徒会長でも制御できないほど強いのだろうか。

 いや、ここにいる全員は、魔法都市でも指折りの魔法使いだ。たった一人の人間に押し負けることなんて、ないだろう。

 何か作戦があるのだろうか。


「僕やユキもいるし、さらにハカナイさんもいる。これだけの戦力があれば、問題ない。それでいいよね、センダイ」

 生徒会長はセンダイに確認を取る。

「ん?あ、ああ。もちろんだ」とセンダイは頷いた。

「アカガも問題ないかな?」

「大丈夫や。今から突撃するんか?」

「もう昼近くになる。今日中に、フリョ・リダを取り戻すには、急がないといけないだろう。この坑道がどれだけ広いのかもはっきりしていないしね。先頭はハカナイとユキ、その後ろにアカガとセンダイ、その後ろに新川、最後尾は僕が行く。それでいいかな?」

 ぱぱっと生徒会長は指揮を執る。


「俺が先頭だ!」とセンダイが生徒会長に文句を言う。

「落ち着いてくれ。これはちゃんと意味のある隊列なんだ。ハカナイとユキは戦闘で、防御結界を張り続ける役割だ。不意打ちを警戒したい。僕が最後尾なのもそれが理由だよ」

「俺だって、防御結界を張れるだろう」とセンダイは食い下がるが、生徒会長は首を振る。

「君もフリョ・リダと同じように、最近魔力量が増えた人間だろう。まだ制御も怪しい。安定して張れないなら、戦闘は任せられない」

「くそっ!分かったよ。それでいい」

 センダイは怒りながらも、生徒会長の言葉に納得してくれたようだ。

「オレも問題ないで」とアカガが頷いて、坑道の中に入っていく形が整った。


 そして早速フリョ・リダが囚われている廃鉱山の中へ、ハカナイとユキ先輩を先頭にして乗り込んだ。

 どうか、フリョ・リダが無事でいられますように。

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