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Lv1の剣  作者: 豚野朗
魔法都市
55/206

何事もなかった買い物(後ろ!)

 イライラする。

 頭が沸騰しそうなほど、イライラが溜まっている。

 叫び散らしたいが、目の前の呑気に一人で歩いているイラつかせる存在に気付かれるわけにはいかない。

 下唇を痛いほどにかみしめて、叫びを押しこらえる。


 怒りで身体が震え、身体が強張る。

 こいつを俺様の手で、ぐちゃぐちゃに潰して、引き裂いて、黒焦げにして、燃やし尽くさなければ気が済まない。

 早く殺してしまいたい。

 あの恥辱を過去の物へと変えてしまいたい。

 俺様の力を早く俺様を蔑むゴミどもに見せつけなければ。


 あんな魔法も使わず、ぽいぽいと火の魔石を投げるだけで勝ち逃げしやがったこいつを許してなど置けない。

 こんな奴は、魔法学校に通わせているだけでも恥だ。

 魔法使いの風上にも置けないこんなゴミくずには、手に余るものだ。

 俺様は最高の魔法使いになった。

 魔力量も、これからすぐに全員を追い抜いて最高の存在になれるはずだ。


 俺様は貴族として生まれて、選ばれた存在だ。

 最高の魔法使いとして、尊敬されるべきなんだ。


 あんな魔法を侮辱した戦いをしたこんな奴に負けるなんていうのは、嘘だ。

 ふざけた戦いをしたゴミくずには、俺の手で罪を罰っさないといけない。

 罰を下すことで、俺の名誉を挽回できる。


 もう二度と俺様を馬鹿にさせない。

 俺様を馬鹿にするやつは、絶対に許さない。

 これまでのように俺様を馬鹿にする者たちを許さない。

 もう二度と、俺様を魔力量も才能もない貴族などと呼ばせない。


 イライラして、これ以上考えられない。

 そう、このイライラもこいつが俺様を辱めやがったせいだ。

 いや、もっと前から……。

 そんな事はどうでも良い。

 あいつを今すぐ俺様の魔法で、丸焦げにしてやらないと。


 杖を取り出す。

 親父が用意してくれた杖だ。

 金も道具も湯水のように出してくれる。

 この杖も平民のゴミには出すこともできないほど、高価な杖だ。

 先端をあいつに向けて、唱えればあっという間に死ぬだろう。

 そして俺の名誉を挽回……。


「とまれ」

 背後から肩を掴まれる。

 身体が止まる。

「そのままあの路地裏にいこうや」

 指さした路地裏へと歩を進める。


 この声には聞き覚えがある。

 俺様の前を歩く赤い髪の男。

 同じ魔法学校に通う人間。

 ゴジョ―先生たちの使いっぱしりだ。


 路地裏に入ると、俺はそいつを壁際に追い詰めて、壁に手をついて逃げ場を塞ぐ。

「アカガ。お前にも言いたいことがあったんだよ。あの魔法実習の戦いで、あいつに手を貸したんだろ。あの俺様の足元の穴、あれお前が掘ったんだよな。そうだろ。俺様の前の試合がお前だったもんなぁ!」

「そうだけど、何か問題でもあったんか?」

「大ありだよ!あんな穴がなければ……」

「負けてなかったんか?」

「当たり前だ。あんな穴がなければ!あいつがあんなものを持っていなければ!」

 あんな小細工が仕掛けられていなかったら、俺様はあいつを焼き殺せていたんだ。


 平民のゴミくずのくせに俺の仲間に、その汚い手を触れやがった身の程知らず。

 あんな奴をこのまま許しておくなんてできない。

 殺して、焼き尽くして、その灰を踏みつけて……!


「火の魔石については俺が悪いと思っているで。本当や。ちゃんと妨害したのに、まさか持ってくるとは思っていなかったんや。その一点については謝っておくわ」

「当たり前だ。あんなものがあったから」

「それにあの穴は新川修平からのお願いだったんや。それを無下に断れないやろ?オレの役目は新川修平に近付くことなんやから」

 悪びれもなくそんな事を言っている顔を見ると、ますますイライラが募る。

「そんな事は関係ねぇ!俺様の邪魔を……」

「関係あるやろ?ピョイ教授の回しもんやで、新川修平は。ここで穴を掘っていないことがばれたら、怪しまれるやんか」

「うるせぇ!」

 壁を殴りつけて、アカガを黙らせる。


 俺様に意見する奴なんて必要ねぇ。

 ただ俺様をあがめていればいいんだ。


「カッカするなや。穴を掘ったって言っても、ちゃんと深めに掘ってすぐに落ちなかったやろ?単にお前の立ち回りが悪かっただけや。しかも最後、火の制御を失ったのはお前やろ?」

「うるせぇっつってんだろ!ぶち殺すぞ!」

 もう一度壁を殴る。

 何度壁を殴っても、イライラは全然晴れない。

 このままアカガをぶちのめしてやろうか。


「それにさっきまで何やっていたんや?」

「何でもねえよ」

 聞かれたくねえことを聞いてきやがる。

「新川修平をつけていたみたいやったで?まさかとは思うけ……」


「何でもねえって言っているだろうが!それ以上口を開いたら、焼き殺すぞ!」


「図星って奴やね。つけといてよかったわ。今、騒がれたら困るんや。もう研究は佳境なんやで、ここで余計なことをされたら困るんや。分かるやろ?」

「だったら、どうするんだ。俺様を殺すのか?」

「オレがそんな乱暴な奴にみえるんか?」

 にたりとアカガが笑う。

「フリョ・リダ、帰れっていうだけやで」


 アカガの声を聴いて、目の前が暗くなる。


 やめろ。

 俺様はあいつを殺して、取り戻さなきゃいけないんだ。

 もう二度と俺様を馬鹿にさせない。

 落ちこぼれの貴族などと……。

 俺様は魔力量を手に入れた最高の……。

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