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Lv1の剣  作者: 豚野朗
魔法都市
49/206

アカガvsハク(アカガの戦い)

 魔法実習は着々と進んでいく。


 火に水に、土に風に、と様々な魔法が魔法訓練場の中で飛び交う。

 杖から飛び出す超常現象。

 そしてそれを壁のような魔法で受け止めて、打ち消し合う。

 余波で砂埃が立つ。

 砂埃をかき分けるように魔法が飛び、再び砂埃が舞い上がる。


 アリスやミコと一緒に戦ってきたが、ここまでたくさんの種類の魔法を見たのは初めてだ。

 アリスは光の魔法や超爆発の魔法を使っていたし、ミコは植物魔法を使っていた。

 それ以外の種類の魔法は、あまり見たことがない。

 ここが魔法学校だからこその光景だ。

 火の魔法は、フリョ・リダに見せられたけど。


 魔法実習の決着は、片方が魔力切れになるか、魔法が命中してしまった場合だ。

 魔法が命中したとしても、ちゃんと魔法を使って軽減したり、本人に続行の意思があったりする場合は続行するらしい。

 この実習の目的は、魔法を相手にちゃんと制御できるか、または最適な魔法を選択して防ぐことができるかという事を見ている。

 だから魔法が命中した相手の勝ちという判断になるらしい。

 回復魔法があるからと言って、無理してやろうという生徒はいないので、命中したらそれまでと言うのが常識らしい。

 レベルが高い生徒も多いので、魔法が当たったとしても、やけどをしたり少し打撲をする程度だ。


 さすがにアリスみたいな規格外なレベルはいない。

 あってもせいぜいレベル750程度で、平均は500くらいらしい。

 それでもレベル1から見れば、信じられないほど高いレベルだけど。

 目の前の魔法実習も、土の壁を維持できなくなった生徒が水の塊に射抜かれて転んでしまい、決着となった。


 次がアカガとハカナイ・ハクの実習だった。

「行ってくるで。応援よろしくな」

 アカガは立ち上がって、俺に笑って見せる。

「あぁ。頑張れ。応援しているよ」

「よろしくやで」

 アカガはタンタンと階段を下りていって、魔法実習の舞台へと向かった。


 そして生徒が見下ろす中、魔法訓練場へとアカガが現れる。

 アカガの反対側の入り口から白い髪の女の子が歩いてきた。

 その姿はやはり見たことある。

 フリョ・リダに絡まれていた女の子だ。


 真っ白い腰まで伸びた柔らかそうなウェーブかかった髪と華奢な身体が印象的だ。

 まるで雪の国のお姫様のようなかわいらしい容姿。

 アカガの真っ赤な髪と対照的に見える。


 アカガとハクは魔法訓練場で、距離を取って立つ。

 そこで二人は向かい合って、杖を向け合う。

 それが準備が整った合図だ。

 そして「はじめ!」と先生によって、開始の合図がされた。


『ロック・インパクト』

『スノウ・ウィンド』

 岩の塊と雪の風がぶつかり合う。

 岩と雪がせめぎ合い、魔法訓練場の中が見えないほど吹き荒れる。

 結界がなければ、こちらまで被害が出ていたかもしれない。


 さっきまでの魔法の実習とは全然違う威力だ。

『スノウ・ブリザード』

『ロック・ウォール』

 雪の嵐がアカガを襲い、アカガは自分の周りに昨日俺に見せてくれた土の壁を作り出した。

 嵐を難なくしのいで、次にハクの足下から土がせり出す。


『スノウ・ウィンド』

 ハクは魔法を使って、自分自身を浮かせて、軽々と避けてしまう。

 勢いよく生えた土の壁は空を切る。


 アカガもハクも、アリスには及ばないにしろ凄い魔法使いなのでは?


 昨日、アカガも魔法を見せてくれてその実力を見せてくれたが、今日他の生徒の実力を見て実感する。

 あんなにも巨大な土の壁を出して、それを何度も出すなんて芸当はそうそうできるものではなさそうだ。

 ハクの方も魔力量1位なだけあって、雪の巨大な魔法を操っている。

 そういえば、昨日のゴジョ―先生も対戦相手は、同じ実力の生徒同士で組ませていると言っていた。

 あれは嘘ではなかったのだ。

 俺の対戦相手はあれだけど、そのほかの生徒に対しては正しく組ませているのではないか。


 土の魔法と雪の魔法がぶつかり合う。

 実力は拮抗しているように見えたが、次第にアカガが押され始める。

 やはり魔力量には勝てないのか、土の魔法の威力がどんどんと落ちていく。

 ぶつかり合いで、土の魔法が雪の魔法に押し返される場面が多くなる。


 土の魔法で、ハクの背後や足元などの死角から奇襲するも、そのたびにふわふわと雪の魔法で移動したり土の柱を壊したりして防がれてしまう。

 雪の塊を飛ばしたり、巨大な吹雪を起こしたりされて、アカガは周りを土の壁で囲み防御をしている。

 その結果、防戦一方となり、土の壁を壊されては直し壊されては直すといういたちごっことなってしまう。


 このままではじり貧になって、負けてしまう。

 そう思ったとき、アカガが引きこもっている土の壁が唐突にハクへと伸びていく。

 ハクは『スノウ・ボール』と唱え、その土の壁へ雪の塊を投げつけて破壊しようとした。

 大玉ころがしの球ほどの雪の塊は、土の壁とぶつかり合う。

 そして土の壁はあっさりと壊れるも、俺は土の壁の中から人影が飛び出るのを見た。


 アカガはハクのすぐ近くへと姿を現し、そして『ロック・ウォール』と唱える。

 あのハクへ向けた土の壁の攻撃は、実はアカガ自身が奇襲するための移動手段だったんだ。

「うまい!」

 思わず、声に出てしまう。


 アカガの足元からせりあがる巨大な土の壁が命中する。


 そう思ったが、ハクの近くで何かに土の壁は衝突する。

 それは結界だ。

 ビリヤードのように土の壁に突かれたハクは背後へ飛ばされる。


『スノウ・ボール』

 再びハクの手の中に雪の塊が現れ、それはアカガに向けて投げられる。

 アカガは防御するための土の壁を出す暇すら与えられず、雪の塊にぶつかって埋もれてしまった。


「やめっ!」

 先生の一言で、試合が終わったことを悟る。

 アカガの敗北だ。


 雪から掘り起こされたアカガは、先生に促され観客席へと戻ってきた。

「どうやった?」

「惜しかったよ。あの奇襲、良かった。あれで勝てると思ったよ」

「せやろ。オレ、凄かったやろ」

「凄かった。凄かった」

 帰ってきたアカガを心からほめたたえる。


「あの結界がなければな。もう一回、攻撃できればアカガの勝ちだったんだけど」

「結界で身を守るのは、魔法使いにとって当然の防御策やで。あんな風に張り続けるのは難しいんやけど、結界の魔法は短い時間で素早く張れるようになっとるから、魔法の合間合間に唱えるのも手なんや」

「そうか」

 アカガは結界の存在を知っているらしい。

 奇襲をした時も、防がれることは知っていたのかもしれない。

 それでも最後まであきらめずに、奇襲で逆転の一手を見出そうとしたたのだ。


 先生に名前を呼ばれる。

 ついに俺の戦いだ。

 視界の端でフリョ・リダが立ち上がるのが見えた。

 俺は生き残るために、フリョ・リダと戦い勝利するんだ。

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