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Lv1の剣  作者: 豚野朗
魔法都市
43/206

不良生徒リーダー(魔法)

「おい。お前!」

 砂化事件の翌日の教室で、不良生徒たちに絡まれる。


 絡まれるようなことをした覚えがないので、若干怯えつつ「何ですか」と聞くと、「昨日はよくもやってくれたなぁ」と詰められる。

「昨日……?」

 何かあったか。

 砂化事件の後は、先生とか警察とかと一緒にいたからこの不良生徒とはあれ以来あっていないはずなんだけど。


「昨日、俺の仲間を触っただろう。この魔法の知識もないごみくずがっ!」

 そして不良生徒のリーダーからとんでもない言葉が飛び出した。

 何を言われたのか、理解できず一瞬フリーズしてしまう。

 恐怖よりも、こいつは何を言っているんだという呆れ。


「助けようとしただけだろ。そんな風に言われるいわれはないと思うんだが……」

 ちょっとむかついて、反論してしまう。

 不良生徒のリーダーが、バンと机をたたいた。。

 凄い音がして、周りの視線が俺に集まる。

 しまった。

 自分の身は自分で守るために波風を立てないと、前にピョイ教授やアリスと話していたのに早速破ってしまう。


「うるせぇ!助けるとか助けないとかどうでも良いんだよ」

 それは最重要だろという言葉を、胸の内にしまっておく。

「お前のような魔法の知識もないくせに、この由緒ある魔法学校に入学する不届き者が、俺の仲間に触れるなっつってんだ。それに魔法も使えるか、怪しいしな」

 後半については大正解である。


「そんなこと言うなや。修平は頑張って、覚えようとしている。そんな蔑まれることはないやろ」

 アカガが隣から擁護してくれるが、「お前は黙っていろ」とリーダーが凄まじい形相で睨みつける。

「こんな奴に助けられるなんて、反吐が出る。なにが覚えようとしているだ、魔法はそんなもんじゃねぇだろう。魔法は才能だ。力だ。力をもってねぇやつなんか、ゴミだ」

 激しく汚い言葉で、周りに聞かせるように歪んだ考え方を叫ぶ。


「そうだそうだ」とリーダーの後ろの不良生徒たちが野次を言う。

「魔法のまの字も知らねえような奴が、出しゃばるんじゃねぇよ!お前なんかの手はいらねえよ。次からは関わるな!」

 強い口調で、俺に忠告をする。

 もともと関わる気がなかったから、それはそれでありがたい。

 何かに巻き込まれたら、死ぬのは俺なんだから。


 そのまま頷いて、話を終わらせてしまおうと考えていた。

 しかしリーダーはもっとバカだった。

「もう関わらないように、次の魔法実習の時間に俺と当てるようにしてやるよ。俺の魔法で、ジュージュー焼いちまえばもう関われないよなぁ」

 不良生徒たちと一緒にゲラゲラと下品に笑い始める。

 そして「覚悟しておけよ、ゴミ」と言い残し、不良生徒たちは教室の外へと出て行ってしまった。


 なんてことだ。

 最悪の事態になってしまった。

 いくら貴族のボンボンと言えど、この世界のシステム上はレベル1の俺と比べれば遥かに高レベルに違いないのだ。

 そんな奴と一対一で当たることになってしまった。

 アリスもミコも、アリシアさんもいない。

 たった一人で、相手をすることになってしまったのだ。


 *


「どうしよう……」

 生徒会室に行って、頭を抱えていると生徒会長やユキ先輩が近づいてくる。

「聞いたけど、あいつと魔法実習で実践の相手をすることになったんだって?」

「そうなんですよ。しかもその魔法実習が明後日らしくて……」

「あんなのに絡まれるなんて、大変ね。でも魔力だけはあるから、困ったわね」

「そうなんすよ。あんなあほっぽいのに、実力だけはあるんすよね。魔力だけなら、この学園の3位でしたっけ」

「え?中途半端……」


 あれだけ不良のリーダーは凄いとか言っていたから、てっきり一位とかそんな凄い順位だと思い込んでいた。

「いや、いや。十分に凄いんやで。単に上には、上がいるだけで」

「その言い方もどうなんだ。でも結局のところ、強いんだろ」


「せやね」とアカガがうなずく。

「魔力っていうのは、魔法を発動するためのすべてにかかわるからな。魔力が多いっていうのは、それだけで強みなんやで」

「はぁ……。じゃあ、弱点なしの完璧超人ってことか……」

 そんな奴にどうやって生き残ろうか。

 勝つよりもまずは、自分が生き残ることが先決だ。


「流石に完璧超人という訳ではないわよ。完璧超人なら、あんな風にグレるなんてことはしないでしょう」

「そうでしょうけど、魔法学んだばかりの俺には厳しい相手です」

「魔力が増えたのは、最近のことなのよ。だから魔法の制御に困っているみたいなことを、愚痴っているのを聞いたわ」

「魔力の制御……。それって、どんな事が起こるんです?」


 ユキ先輩は困ったような顔をする。

「そうねぇ。魔法の発動が遅くなるとか、発動後の魔法の挙動がうまく制御できないとか。そんなところかしら、難しいけれど魔法を動かすのが遅くなったりうまくいかなかったりするのよ。こんな言い方であっているかしら」

「あっているよ。簡単に言うと、魔法が雑になっちゃうっていう事だね」

 そんな事を言われてもな。


 雑になるから何だっていうんだ。

「それでも俺が圧倒的不利には変わりないですね」

「考え方次第だと思うけどね。彼は火の使い手だし、水の魔法で弱くしたり、火を防げる土の魔法で壁を作ったりして、戦略立てていけば活路はあると思うけど」と生徒会長は言うけれど、残念ながら俺は魔法が使えない。

 アリスがいれば、あの圧倒的な強さで何もかもを吹き飛ばしてくれるのに。

 魔王の幹部との戦いでも、アリスがすべて前に出て解決してくれた。


 今あるものだけで戦うしかない。

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