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Lv1の剣  作者: 豚野朗
王都
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未だ案はなく(城へ)

「そういう事があったのね」と聞き終わったエリザベスが言った。

「だから俺はカノンの心臓があっても、魔力がないので使えないです。それに杖もセンダイが持っているので、魔力酔いで使う事もできません。だから戦闘能力はないと思って大丈夫です」

「そう。だとしたら、戦闘面で主張するのは難しいわね。回復能力はどれくらいの物なのかしら、致命傷でも治せるくらいに強いのかしら?」

「回復能力についても、そんなに強くないです。擦り傷とか切り傷みたいな小さいけがは、すぐに直せるみたいですけど。本当に小さい回復効果です。だから難しいと思います」

 魔力もなし、回復についても望めない。

 それにそれが、本当に役に立つ者だったら、そもそも俺自身でアリスを説得できたはずだ。


「なるほど。難しいわね。戦闘面で考えない方がいいのかしら。でもレベルが1という事は、荷物も持てないのよね」

「ああ、正直食事の時の皿を持つのも重い」

 コップを持ち上げて、その重さに顔をしかめて見せる。

「そうですか。なら、後方支援の倉庫作業でも難しいのですね。他のお仕事となると……。あなたは文字は書けますか?あるいは、計算できますか?」

「文字は書けますし、計算もある程度は微分とか積分とか言われたら怪しいですけど、四則演算くらいは……」

「なるほど。でしたら、文官や資材管理として入り込む必要があるかもしれないわね。今、手はたりているのかしら?」

 エリザベスが従者に尋ねた。


「聞いている限りでは、手は十分にあると聞いています。『大侵攻』で前線基地がいくつも崩壊していて、そこにいた人たちが全員撤退し、一部の基地に集結しているので手は余っています。今も、集合がかかっているのは、戦闘面のみです」

「なるほど……では、その方面も難しいですね」

 エリザベスがはあとため息をつく。

 王族であるエリザベスでも、俺を連れていく算段をつけるのは難しいようだ。

「ふう、他の方法となると、料理でしょうか……」

「料理は少しできますけど……」

「そちらも同じように前線基地から集まっているので、料理人も十分かと……。それにレベル1で食材を切ることができるのでしょうか」と従者の男が疑問を言った。

 確かに、俺にこの世界の物が切ることができるのか?


「後は……」とエリザベスが他の案を出そうと口を開いたが、同時に「エリザベス様、そろそろお時間です」と従者の男が言った。

「ああっ!」とエリザベスが甲高い声を上げる。

「講義に遅れてしまいますわ!申し訳ありません、この話はまた今度……」

 エリザベスは立ち上がりつつ、そんな事を言ったが、従者の男は首を横に振る。

「アリス様の出立は、明後日です。説得の時間も考えると、今日中、遅くとも明日の午前中には案を考える必要があります」

「マジか。そんなに早く行ってしまうのか」

 アリスが出発する日が、そんなにも早いなんて。


 そうなると、本格的に急がないといけない。

 今の俺がどうやって、魔王軍との戦いに潜り込めるのか。これまではアリスにおんぶにだっこだったがこれからは何かを見つけないといけない。

 その何かが見つからないから難しい。

 レベルが上がらないというのが、最大の障害となっている。


「エリザベスさん、ありがとう。自分も考えてみるよ」

「私も合間を見て、考えてみま……」

「エリザベス様、時間がないので昨日のように部屋へ招待するのはいかがですか。そこで話し合うのが、吉かと思います」

 俺とエリザベスで別れの会話をしていたが、従者の男はとんでもない事を言った。

「いえ、しかし、でも、それは……」とエリザベスが明らかに動揺していた。

「そうですよ。流石にまずいですよ。王女様の部屋に、また入るなんて」

「しかし時間がないですよ。エリザベス様もこれからは、ずっと授業でしょう。時間など、授業間の休憩時間しかありませんよ。だから彼を傍にいさせることで話す時間もできますし、さらに言えば城にたくさんの人が『大侵攻』のために集まっています。彼自身にも有意義なことも多いと思います」

「それは……、そうですね……。今、『大侵攻』の準備に集まっています。その方々と会えば、新しい発見があるかもしれませんね。しかし、私の部屋は今……。その……」

 エリザベスは狼狽しながら、何故か肯定と否定の言葉を言っていた。


「エリザベス様、遅刻してしまわれますよ。他に方法がありますか?」

 エリザベスは従者の男に言葉に押され、「しょうがないわね。そうしましょう」と言った。

「良いんですか?」

「仕方ないわよ。あなたを軍隊にはいれるように手配すると約束したのですから、それを破るなんて恥ずかしい事できませんわ」

「でも嫌がっていませんでしたか?」

「だ、大丈夫です。た、ただあまり部屋の中は見ないでくださいね」

 謎の注意を受けながら、エリザベスと一緒に宿屋を出て、すぐ近くに止めてあった馬車に乗った。


 説得する案を考えるリミットは、残り24時間。

 エリザベスさんのおかげで、城の中に入ることもできるし、アリスの説得も可能になった。

 アリスに別れを告げられた時は、どうなることかと思ったが、こうも運が回ってくるとは思わなかった。

 この調子で、城の中で『大侵攻』で何か俺ができる仕事を探していこう。

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