プロローグ3
「わたし…………なんか変なことした……」
慌てて振り返るが、何か押した気配はない
「……………してないよね………それより」
恐る恐る近づいて中を見るが
「もしかしたら地獄に通じているとか………」
暗くて見えない
「ああ万理、どうやったの」
帰ってきて欲しくない木崎が現れた
「何もしてないよ、木崎がいなくなったあとに勝手に開いたんだよ」
「勝手に開いた?嘘でしょう、万理、ホントの事言いなさい!」
「……………ホントの事しか言っていないよ」
「……………まあいいか、じゃ早く入らないと」
「えっ?入るの?」
「そのために来たんでしょう、さあ行くわよ万理」
木崎は私の手を取るとそのまま屋敷の中に入った途端、玄関がゆっくりとしまってしまった
「どうしよう木崎!出れないよ」
木崎は私に離れるようジェスチャーすると前回みたいにいきなり蹴りを入れたが
「万理………諦めて先に進むしかないみたいね」
壊れる気配はない
「そうみたい…………何処かに外に出られるドアがあるといいな」
改めて辺りを見てみる
私の部屋より広い玄関ホール、天井にはシャンデリアがあるが光は灯っていない
長い廊下の先は闇が支配していて見えない
「さあ万理、行くわよ」
「ねぇ木崎………手を繋いでも………いいかな」
「…………仕方ないか………いいよ」
私は木崎の手を取ると握って
「万理……やはり怖いんでしょう……震えている」
が木崎も…………
「……………(この屋敷から出られるなら……もう認めるしかない)………そうよ怖いわよ………悪い」
「…………よかった………私も怖いのよ」
やはり木崎も怖かったんだ……やせ我慢してたんだ
「でも怖がっていても出られない……早くこの屋敷から出たいんでしょう………じゃ勇気を出して先に進みましょう万理」
「…………うん………わかった木崎………何かあったら」
「わかっているわよ、全力で万理を守るから」
蹴りから分かるかもしれないが、木崎は有段者らしい………なんのスポーツか忘れたが
「そうと決まったら行くわよ万理」
玄関ホールから伸びている廊下に足を踏み入れた