襲撃12
殺鬼姫は逃げるように離れると、その場にしゃがみこんだ
手から伝わる感覚に
「手応えは…………確かにあった」
後はどうなるかだ
[万理………躊躇したな]
「なんのことか…………わからないよ」
[とぼけるのか………何故鬼面を狙った?確実に殺るなら胴体を狙うはずだぞ]
「…………………………」
言われる通りだった
確実に殺るなら………だけど………できなかった
殺鬼姫の事を大切だと思っている人は必ずいる筈………………私が木崎をそう思う様に…………
それを考えたら狙いが鬼面に………ここなら死なない筈………これで殺鬼姫が撤退してくれたら
甘い考えだろうか
[無言は………肯定と捉えていいんだな………まあそんなところが万理の良いところでもあるけど]
「…………ありがとう………」
[なんのありがとうなんだ、さて殺鬼姫は]
ゆっくりと立ち上がった殺鬼姫の顔から鬼面がなくなって現れた素顔に思わず
「……綺麗………」
と声が出てしまった
下には二つに割れた鬼面が落ちていて、額から血が流れているのが見える
「貴様…………貴様………よくも………よくも………」
「あっ……ごめんなさい……大切な顔に傷をつけてしまって…………」
「よくも素顔を見たな!」
「えっ?」
[万理………ヤバいことをしたかもしれないな]
「私………なにかしたの………」
[ 殺鬼姫は鬼族らしい]
「鬼族?何処で分かるの?」
見た目は人間にしか見えないが
[頭を見てみろ]
頭を見たが特に変わった………
「あれは………もしかして………」
突起物のような物が二つ見えていた
[多分角だろう]
鬼族…………お伽噺で聞いたことがあるが、まさか現実にいるなんて
[聞いた話だが、鬼族は産まれて直ぐに鬼面をつけられ、死ぬまで人前では外すことは規則で禁止されていると聞く]
「親族でも駄目なのか」
[駄目らしい………例外は旦那となる者の前なら良いと聞いている………]
「…………じゃ私…………ヤバいことをしたのね」
「 万理………さっきから誰と話しているんだ!……それより私の素顔を見た………もうどうなってもいい!謝っても許さない!魔法書は殺してから奪えば良い、地獄の苦しみを与えてやる、私の素顔を見たことを苦しみながら地獄に行くがいい」
やばい………やばい………やばい
「どうしよう、なんとかして」
[無理だな、次からは本気で来るぞ]
「えっ!本気で来る?じゃ今までは」
[相手が人間だからかなり手を抜いていたみたいだな]
あれでかなり手を抜いていたのか
[万理………来るぞ……刀を構えて……」
その直後殺鬼姫の姿が消え刀に凄い衝撃が腕から伝わって
[万理………駄目だ………もたない………]
刀が砕け散った
「万理………もう戦えないな……さあ地獄の始まりだ」
殺鬼姫の刃が私の右手を斬りつけた




