プロローグ2
「ねぇ木崎………もっとゆっくりと歩いてくれないかな」
木崎は怖いものがないみたいに、そして私の存在を忘れているみたいに歩いてゆく
私は辺りを警戒しながらゆっくりと歩いている
「万理………ほんとは怖いんでしょう、もう認めたらどうかしら」
言われる通りだが…………認めたくない………………
とくに木崎には……………
「全然怖くないから………それよりまだつかないの」
「もうすぐ玄関につく………筈だから」
周りを木が覆っていて外が見えない
まるで富士の樹海を歩いているみたいだ
行ったことはないが多分こんな感じだと思う
見えるのは星空だけ………なんて綺麗な…………
「万理、見えてきたよ」
言われて前方を見たら
「やっと玄関についたの」
が現れた
「ねぇ木崎………聞いていい………」
「何?もしかして怖くなったから帰っていいって言いたいのかしら」
「…………違うわよ、よく見て玄関を」
言われて木崎は玄関を見るが
「ごく普通の何処にでもある玄関だが」
確かに一見すると普通の玄関………しかし
「どうやって入るの?ドアノブが見当たらないんですけど」
「ああ………確かにないね」
入れない………これはもう諦めて帰るしかないが………
「万理………今帰ろうとしたでしょう」
「してないし………入れないなら諦めるしか」
「万理………無いものは………こうすればいいのよ」
木崎は私を玄関から少し離れるようジェスチャーすると一息入れていきなり蹴った
「!!!!!なにしてるの!木崎!」
「壊せばいいかなと思ったけど………」
壊れる気配がない
壊せないのならもう諦めるしか………
「もう一発蹴っておくか」
そう言うと木崎は何回も蹴ったがやはり壊れる気配がない
「……………無理か………万理………入れそうな場所がないか探さないかな」
勿論一緒に探すんだよね………
「じゃ万理はあっちね、私は反対を探すから」
あっさりと期待を裏切られた
そう言うと木崎は歩き出した
残された私は
「帰ろうか………怖いし…………でも明日もっと怖いかもしれないし………どうしよう」
昔本気で怒った木崎を見た事がある
あれは間違いなく悪魔だ
行くも地獄………帰るも地獄………
「はぁ〜〜〜」
諦めてあるき出そうとしたその時だった
蹴っても壊れなかった玄関がゆっくりと開いてゆくのが見えた