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最強の側近ができるまで。  作者: 甘味
幼少期編
1/3

少年の目覚め

 


 僕の名はリヒト・フュルスト・フォン・ヴェステン。ヴェステン侯爵家の次男にして現在5歳の男児である。


 そんな僕には驚くべき事に前世の記憶があった。それは日本という国の女性の記憶であるのだが、どうやら前世の僕は非常に"よい"性格を腹の中に隠し持っていたらしい。僕の意識にすんなりと溶け合ったかと思えば、執拗しつこい思考と感情が沸沸と浮かんだ。おかげで今日までの1週間、高熱で生死の境をさ迷ってしまった。しかし、リヒトと彼女の記憶は上手く繋がったようである。


 ともかく、今はベッド上の生活の所為で身体が重く怠い。と、うんざりしていたが、急に左手が握られた。原因を見れば、水色の瞳と目が合う。7歳上の兄上、クロイツ・フュルスト・フォン・ヴェステンだった。


「リヒト、まだ調子が悪いのか?」


「少し...身体が重いけど、もう大丈夫だよ。ありがとう、兄上」


 僕は兄上を安心させるために微笑んだ。すると泣きそうな顔で笑みを返してくれた。


「よかった...」


 そう言って兄上は僕の頭を撫でる。なんだかくすぐったかった。一頻り撫でると、兄上は父上と母上を呼びに行った。


 前世の記憶が蘇るまで考えた事がなかったが、兄上は大層なイケメンだ。ミルクティー色の柔らかそうな髪に、透き通る水色の瞳、健康的な白人の肌色。12歳にして紳士的な男前イケメン


 先月の社交界デビューでは第一王子よりも目立っていたと噂で聞いた。兄上はと言うと、ことあるごとに「この味付けはリヒトが好きそうだ」とか「これはリヒトが好きなものだ」とか「これは前にリヒトが食べたいと言っていたものだな」などの発言していたと、父上が遠い目をしながら言っていた。兄上は、ブラコンである。


 さておき、そんなこんなで第一王子は兄上をライバル視しているらしい。不敬だから口には出さないけれど、正直、兄上がわざと負けない限り第一王子には勝機はない。弟の贔屓目なしにハイスペック兄上だからだ。ヴェステン侯爵家の未来は明るい。


 ついでに言えば僕が社交界デビューする7年後、第三王子が同期となる。


 僕の容姿はと言うと、薄い色合いのアッシュブラウンの髪に兄上とお揃いの水色の瞳だ。ただ、肌が白い。前世の感覚だと、美少女。しかし、12歳になる頃には中性的なイケメンになると思われる。将来有望だ。...となると、兄上の二の舞が起きそうだが。できれば良い関係が築きたい。


 題して、第三王子と親友になろう作戦。いや、第三王子の側近でも良いかもしれない。



 そう思っていた矢先のことである。



 ―――――――――――――――――パリーンッ



 僕の部屋の、テラス付きの窓が、割られた。







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