No.7 チュートリアル:初対戦④
【第4ターン】
【セレクトフェイズ:デッキから6コスト分まで、フィールドに出すカードを選択してください】
とりあえず現状確認。
――――
[敵軍前衛]
【トロール】HP:170/170 ×4
[自軍前衛]
【見習い魔術師】+【体力増強】×2+【魔力付与】×3 HP:190/310 ATK:140
【見習い治癒術師】HP:100/100
――――
順調に魔術師のATKが上がってるな。もうそろそろ冒険者ランクCくらいだろ。このターンもう一回強化して180。いよいよトロールをワンキルする火力ですよ。
さて、トロールは全員HP満タンか。肉盾さん……あっ違った、剣士はまだ出す必要があるだろうから、【魔力付与】と剣士で4コス確定。【魔力弾】に割けるのは2コスト分か。まぁ出してもいいんだけど、トロール倒せないからなぁ。
……次のターンは【魔力付与】が要らなくなるし、4コスト分割けるから次でいいか。それじゃ、残り2コストは若干減ってきた魔術師のHPでも増やしとくかな。
【両者の選択が確定しました】
【サモンフェイズ:選択したカードの召喚を行います】
――はぁっ!!?
完全に予想していなかった事態が発生した。
え、これってどうなる?
現状を一覧で表すと、こうだ。
――――
[敵軍前衛]
【トロール】HP:170/170
【トロール】+【魔力付与】HP:170/170 ATK:70 ×3
[自軍前衛]
【見習い剣士】HP:105/105
[自軍後衛]
【見習い魔術師】+【体力増強】×3+【魔力付与】×4 HP:310/430 ATK:180
【見習い治癒術師】HP:100/100
――――
まさかの【魔力付与】三連打。想定していたさっきは来ないで、完全にトロールのみだと思い込んだ今になって打ってきやがった。
【マジックフェイズ:魔法カードの効果が発動します】
【スキルフェイズ:キャラクターカードのスキルがAGI順に発動します】
【【見習い治癒術師】のスキル:対象を選択してください】
考える暇もなくアナウンスは進む。……まぁとりあえず、治癒術師は剣士でいいだろ。140ダメージを耐えるには回復が必要だ。
【両者の選択が確定しました】
【【見習い治癒術師】のスキルが発動:【見習い剣士】のHPが60回復】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い剣士】に140ダメージを与えた】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い剣士】に60ダメージを与えた】
【【見習い剣士】は倒れた】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い魔術師】に140ダメージを与えた】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い魔術師】に140ダメージを与えた】
うわ……。
見習い魔術師の残りHP30。瀕死だ。だが生きた。【体力増強】でHPを120増やして居なかったから完全に死んでいた。
ここまで強化してきた魔術師を失えば、確実に敗北する。というか攻撃手段のないゆるふわ系女子しか居なくなる。マジで危なかった。
さっき俺は、【魔力弾】と【体力増強】は正直どっちでもいいと思っていた。このターンで倒せないから、なんとなく【体力増強】にしただけだ。どっちかと言えば、出したかったのは【魔力弾】の方だったし。だから俺がこの奇襲を耐えられたのは、運が良かったと言うしかない。
俺は、自分がやられている場面だったにも関わらず、この冷や汗の出そうな奇襲をなんとか耐えきり、初めてこう思っていた。
――このゲーム、ちょっと面白いかもしれん。
【【見習い魔術師】のスキル:対象を選択してください】
あぁ、こっちの攻撃か。奇襲を受けた驚きが未だ抜けきらぬうちに、アナウンスが響く。
さて、まぁ悩むことはないな。【魔力付与】でATKが強化されてる奴らを攻撃。
【【見習い魔術師】のスキルが発動:【トロール】に180ダメージを与えた】
【【トロール】は倒れた】
【【見習い魔術師】のスキルが発動:【トロール】に180ダメージを与えた】
【【トロール】は倒れた】
【エンドフェイズ:エンドフェイズに発動するスキルや効果があれば処理を行います】
【ターンエンド】
【第5ターン】
【セレクトフェイズ:デッキから6コスト分まで、フィールドに出すカードを選択してください】
はぁ。いや焦った。あぶねー。とりあえず一覧表示。
――――
[敵軍前衛]
【トロール】HP:170/170
【トロール】+【魔力付与】HP:170/170 ATK:70
[自軍前衛]
【見習い魔術師】+【体力増強】×3+【魔力付与】×4 HP:30/430 ATK:180
【見習い治癒術師】HP:100/100
――――
相手は前のターン、全力で攻撃に来たからな。トロールは増えてないから、ついに2体か。これはゲームの終わりも近そうだ。
さて、どうするか。……うーむ、相手はこのターン2体しか行動出来ないからな。魔力弾2発ぶち込んで1体倒して、肉盾さん出せば後衛まで攻撃来なさそうだな。
……あっ!! それは駄目だ。相手も魔力弾で来たら魔術師が死ぬ。やばいやばい。
ふー。安全策が一番。魔力弾×3で来られると300ダメージだろ。それを耐えられるように体力増強×3が最も安全か。体力増強×3でHPは390。魔力弾を耐えて90。治癒術師の回復で150……あれ?
……えー、そこからトロールの攻撃で140+60ダメージ。はは、死ぬわ。これは詰んでる……な。
あー、さっきは凌いだとか思ってたんだけどなー……。
あ、いや、相手が魔力弾打ってこなければまだ目はあるか。そもそもデッキに魔力弾が入ってない可能性もあるしな。現在の魔術師のHP的に、3枚は打ってこないパターンも考えられる。そうなればワンチャンだ。
相手任せの選択だが仕方あるまい。とりあえず【体力増強】×3で行くしかないな。
【両者の選択が確定しました】
【サモンフェイズ:選択したカードの召喚を行います】
【マジックフェイズ:魔法カードの効果が発動します】
【【魔力弾】の効果が発動:【見習い魔術師】に100ダメージを与えた】
【【魔力弾】の効果が発動:【見習い魔術師】に100ダメージを与えた】
【【魔力弾】の効果が発動:【見習い魔術師】に100ダメージを与えた】
【スキルフェイズ:キャラクターカードのスキルがAGI順に発動します】
【【見習い治癒術師】のスキル:対象を選択してください】
来やがったよ!!!
あーもうマジか……。負けたわ。
俺は項垂れながらも、治癒術師の対象に魔術師を選択する。
【両者の選択が確定しました】
【【見習い治癒術師】のスキルが発動:【見習い魔術師】のHPが60回復】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い魔術師】に140ダメージを与えた】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い魔術師】に60ダメージを与えた】
【【見習い魔術師】は倒れた】
くそ、やっぱり1ターン目の事故の影響がでかすぎたか。治癒術師は無傷の魔術師を回復して、何もせずに剣士死亡だもんな。ルール把握してなかったから仕方ないとはいえ。
【エンドフェイズ:エンドフェイズに発動するスキルや効果があれば処理を行います】
【ターンエンド】
【第6ターン】
【セレクトフェイズ:デッキから6コスト分まで、フィールドに出すカードを選択してください】
はぁ。一覧表示。
――――
[敵軍前衛]
【トロール】HP:170/170
【トロール】+【魔力付与】HP:170/170 ATK:70
[自軍前衛]
【見習い治癒術師】HP:100/100
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最早これから、治癒術師がトロールになぶり殺されるのは確定だな。魔術師を守りきれなかった俺の責任だ。すまない。
俺は墓参りと称して墓地を確認する。
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[墓地]
【見習い剣士】HP:0/105 ×4
【見習い魔術師】+【体力増強】×6+【魔力付与】×4 HP:0/790 ATK:180
【魔力弾】×2
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あー、すまんよ魔術師ぃぃ〜。というか最大HP790、ATK180って化け物だな。まぁ死んじゃったけど。そして肉盾さんはもう4人も死んだのか。
……さて、6コスだったな。相手の手数が2体だから、肉盾を3人出せば1ターンは粘れそうだ。まぁ勝ち目はないだろうが一応そうしておくか。
【両者の選択が確定しました】
【サモンフェイズ:選択したカードの召喚を行います】
相手はトロールとスライムと魔力弾だった。
――スライム!? そんなもん居たのかよ!!
こいつ隠し持つの好きすぎだろ。チュートリアルの初対戦から変な秘匿主義者と戦わせやがって。
【マジックフェイズ:魔法カードの効果が発動します】
【【魔力弾】の効果が発動:【見習い治癒術師】に100ダメージを与えた】
【【見習い治癒術師】は倒れた】
あ、トロールじゃなくて魔力弾にやられた。
【スキルフェイズ:キャラクターカードのスキルがAGI順に発動します】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い剣士】に140ダメージを与えた】
【【見習い剣士】は倒れた】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い剣士】に60ダメージを与えた】
【スキルを発動させるカードを選択してください】
お、剣士さん初の行動ですよ!
剣士が2体残ってて、同AGIが自軍に複数居るから対象を選択するのね。まぁどっちでも変わらんな。
【【見習い剣士】のスキル:対象を選択してください】
スライムで。
【【見習い剣士】のスキルが発動:【スライム】に36ダメージを与えた】
【【スライム】は倒れた】
【【見習い剣士】のスキル:対象を選択してください】
おー、剣使ってるとこ初めて見た。やっと肉盾脱却だな。
俺はATKが上昇しているトロールを選択する。
【【見習い剣士】のスキルが発動:【トロール】に36ダメージを与えた】
【エンドフェイズ:エンドフェイズに発動するスキルや効果があれば処理を行います】
【ターンエンド】
【第7ターン】
【セレクトフェイズ:デッキから6コスト分まで、フィールドに出すカードを選択してください】
現状は……。
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[敵軍前衛]
【トロール】HP:170/170 ×2
【トロール】+【魔力付与】HP:134/170 ATK:70
[自軍前衛]
【見習い剣士】HP:45/105
【見習い剣士】HP:105/105
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ふむ、一応もう1ターン耐える気なら耐えられるな。相手が魔力付与2枚で全員ATK70にして、魔力弾でHP45の剣士を倒しに来たとすると、相手がこのターンに倒せるのは剣士4体。剣士3体出せば計5体になるから1体残る。
……が、意味はないな。1体残ったところで次のターンで決着。どうしようもないわ。んじゃ、終わりにしていいだろ。
俺はHP105の剣士のATKを3回強化させることにした。
【両者の選択が確定しました】
【サモンフェイズ:選択したカードの召喚を行います】
相手は俺の予想と同じ、魔力付与2枚と魔力弾だった。
【マジックフェイズ:魔法カードの効果が発動します】
【【魔力弾】の効果が発動:【見習い剣士】に100ダメージを与えた】
【【見習い剣士】は倒れた】
【スキルフェイズ:キャラクターカードのスキルがAGI順に発動します】
【【トロール】のスキルが発動:【見習い剣士】に140ダメージを与えた】
【【見習い剣士】は倒れた】
【【トロール】のスキルが発動:待機している】
【【トロール】のスキルが発動:待機している】
攻撃対象が居ないから待機か。なるほど。
【エンドフェイズ:エンドフェイズに発動するスキルや効果があれば処理を行います】
【ターンエンド】
【ゲーム終了:架空のプレイヤーの勝利です】
――こうして、俺の初対戦は敗北で終了した。