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No.5 チュートリアル:初対戦②

 ――剣士が死んだ。私の目の前で。


 ランクF冒険者である私たちには荷が重い、巨体と怪力を持つモンスター、トロール。そいつが2体も現れたのだ。逃げるにも、そいつらのAGIはうちのパーティで一番AGIが高い治癒術師と同等の20。私と剣士は逃げられないだろう。怪力のくせしてAGIも高いとか、ほんとやめて欲しいわね。


 私たちは戦う覚悟を決めた。HPが一番低い私のHPを強化しつつ、ATKも上昇させる。そしてトロールに一発魔力弾をぶち込む。魔力弾は結構な手応えあり。HPの半分は持ってったんじゃないかしら。


 だけどそこで最悪の事態が発生した。さらにもう2体、奥からトロールが現れたのだ。


 それを見た剣士はこう言った。


「奥の2体はまだ距離が離れてる。あいつらが接近する前に、俺が前の2体を倒す」


 そして剣士はトロールたちの元へ向かった。止めていればよかったのかもしれない。最初に逃げていれば。そんなことを思わずにはいられなかった。剣士はトロールたちの大きな腕で殴られ、大量の血を吐き出して倒れた――。


「剣士ィィィイイイ!!!」




 ……えっとまぁ魔術師視点の茶番は置いといて、なんで剣士が攻撃されたんだ?


【【見習い魔術師】のスキル:対象を選択してください】

【配置・射程に関する説明は[こちら]です】


 あー、「配置・射程に関する説明」ね……。



 ――――

『ギブン・ザ・カード』ルールより


 〜戦闘関連〜

 配置・射程

 ・キャラクターカードの配置と射程により、攻撃・スキルの届く範囲が決まる。味方の後衛を基準に考えると、味方の前衛までは距離1、相手の前衛までは距離2、相手の後衛までは距離3となる。列が1つ離れるごとに、距離も1つずつ増える。攻撃などを行う場合には、距離と同じだけの射程が必要となる。味方の後衛の場合、相手の前衛に攻撃する場合には射程が2以上、相手の後衛に攻撃する場合には射程が3以上必要となる。

 ・キャラクターカードのスキルで対象を選択する場合、特に記述がない場合は射程内のカードしか選択することができない。

 ・前衛のカードが居ない場合、後衛のカードは前衛になる。

 ――――



 なるほど。つまりこういうことか。敵の前衛である【トロール】から、自軍の前衛の【見習い剣士】までは距離1。自軍の後衛である【見習い魔術師】、【見習い治癒術師】までは距離が2であると。そしてトロールの射程は1。つまり、一番ATKが高いのは魔術師だけど、魔術師には攻撃が届かないから、届く範囲で一番ATKが高い剣士に攻撃しました状態!


 いや、もっと早く言ってくれよ!!!


 はー……。まぁ理屈は分かった。剣士、「両手に花かよふざけんな」とか思ってごめんよ。御冥福をお祈りしておくわ。


 俺は改めて一覧表示を確認する。



 ――――

 [敵軍前衛]

【トロール】HP:70/170

【トロール】HP:170/170 ×3


 [自軍前衛]

【見習い魔術師】+【体力増強】+【魔力付与】HP:190/190 ATK:60

【見習い治癒術師】HP:100/100

 ――――



 なるほど。前衛である剣士が居なくなったから、ルールに書いてあった通り魔術師と治癒術師が前衛になってるのか。あとは魔力弾の分トロールのHPが減ってるな。治癒術師は魔術師を回復させたけど、魔術師の最大HPが190だからそこで止まって変化なしってところか。

 剣士は墓地に行ったんだよな。墓地は、っと……。



 ――――

 [墓地]

【見習い剣士】HP:0/105


【魔力弾】

 ――――



 やぁ剣士。墓参りに来たよ。

 トロールのスキルは《ATK×2》ダメージを与えるというもの。トロールのATKは30だから60ダメージ。それを2回食らって120ダメージか。剣士のHPは105。バッチリ死んでるな。

 フィールドに出てから倒れたカードや、使い終わった魔法カードはちゃんと墓地に行ってるのも確認できた。……俺がゲームをやると、こういう無駄な確認をしちゃうんだよな。まぁ悪いとは思ってないけど。


 さて、ちょっと脱線したけどなんだったか。……あー、魔術師のスキルね。

 俺は魔術師に注目してテキストを表示する。


 ――――

【見習い魔術師】No.2 ★ キャラクターカード

 コスト:2 HP:70 ATK:20 AGI:10 DEF:0 配置:後衛 射程:2

 属性:無 種族:人間 所属:冒険者ギルド

 スキル:敵2体を選択し、ATKダメージを与える。

 ――――



 敵2体にATKダメージ。悪くないスキルだよな。剣士は単体に《ATK×1.8》ダメージだから倍率1.8倍だけど、魔術師は敵2体だから倍率2倍だ。複数体攻撃ってのも手数が増えて悪くない。ただ、今回に限っては単体への倍率が欲しかったなぁ。


 現在の魔術師のATKは60。HPが70のトロールが1体だけ居るが、こいつに攻撃しても10残る。うーんこれは勿体無い。今1体倒せれば、次のターン敵軍で行動できるトロールが3体になるが、10残るから倒せない。そうなると次のターン4体行動……厳しくないか?


 うーんまぁ倒せないものは仕方ない。だが、HP10が残ってしまうトロールに攻撃するよりも、他のトロールに攻撃した方がいいかもな。次のターン、もう一度魔術師のATKを強化すれば1回で倒せるはずだ。……うん、そうしよう。


 俺はダメージを受けていないトロール2体を選択した。


【【見習い魔術師】のスキルが発動:【トロール】に60ダメージを与えた】

【【見習い魔術師】のスキルが発動:【トロール】に60ダメージを与えた】


 魔術師が杖を構えながら呪文的なものを唱えると、魔力弾に似た球が2つ生成され、トロールに向かって飛んでいった。球はそれぞれ俺の選択した2体のトロールにぶつかり、消滅した。


 おー、やっぱモーションがいいわ。これが金髪で青とピンクの服だったら完全にブ〇ック・マジ〇〇ン・ガ〇ルだったな。うちの子は紫髪で正統派のローブです。


 これで、このターン動けるやつは全員行動したのか。いや、1人行動する前に亡くなった剣士ってやつが居るがそれは仕方がない。あいつの分も強く生きよう。




【エンドフェイズ:エンドフェイズに発動するスキルや効果があれば処理を行います】


 エンドフェイズか。なんか発動するものあったか?


【ターンエンド】

【勝敗条件に関する説明は[こちら]です】

【ゲームの流れに関する説明は[こちら]です】


 あ、ターン終了した。エンドフェイズに発動するものはなんも無かったのね。


 そういや勝敗の判定方法もまだ聞いてなかったんだな。「勝敗条件に関する説明」っと。



 ――――

『ギブン・ザ・カード』ルールより


 〜勝敗条件〜

 ・ターン終了時、フィールド上に敵キャラクターカードが無かったら勝ち

 ・ターン終了時、フィールド上に味方キャラクターカードが無かったら負け。

 ・ターン終了時、どちらのフィールド上にもキャラクターカードが無かったら引き分け。

 ・フィールド上に出せるカードが0枚で、ターン開始時にカードを出せなかった場合負け。

 ・100ターンで勝敗が決まらなかったら引き分け。

 ――――



 あーなるほど。敵を全滅させたら勝ち、全滅させられたら負けと。分かりやすいな。それと両方全滅だったら引き分けね。そして、デッキのカードを使い切って出せなくなっても負けと。なるほどな。

 ……100ターン経過でも引き分けらしいが、そんなに行くのか? まぁ普通はその前にデッキが切れて終わるだろうから、多分かなり特殊な例だろうな。


 んじゃ次、「ゲームの流れに関する説明」。



 ――――

『ギブン・ザ・カード』ルールより


 〜ゲームの流れ〜

 1.【ファーストフェイズ】:最初にデッキから最大6コスト分までカードをフィールドに出す。その際、キャラクターカードは必ず出す必要がある。

 [ターン開始]

 2.【セレクトフェイズ】:最大6コスト分まで、このターンに出すカードを選択する。装備カードの装備対象、魔法カードの効果対象はこの時点で選択する。

 3.【サモンフェイズ】:選択したカードの召喚が同時に行われる。

 4.【マジックフェイズ】:魔法カードの効果が発動する。

 5.【スキルフェイズ】:フィールド上のキャラクターカードのスキルがAGI順に発動する。

 6.【エンドフェイズ】:エンドフェイズに発動するスキルや効果があれば処理を行う。

 [ターン終了]

 7. 勝敗が決まるまで、2〜6の手順を繰り返す。

 ――――



 なるほど、今までの流れか。毎ターンセレクトフェイズからエンドフェイズまでを繰り返すと。理解した。

 俺が納得したところで、見計らったように次のアナウンスが来た。




【第2ターン】

【セレクトフェイズ:デッキから6コスト分まで、フィールドに出すカードを選択してください】

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