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No.4 チュートリアル:初対戦①

 デッキ構築の画面に【デッキ確定】ボタンがあったので、俺はそれを選択してデッキを保存した。


【デッキの準備が整ったら架空のプレイヤーとの対戦を行います。対戦を開始するには正面10メートルに人が居ない場所に移動し、【対戦】を選択してください】

【対戦】


 正面10メートルに人が居ない場所……? これはもしや、某アニメのようにカードのキャラクターが実際に召喚されるのでは……?

 おし、やるか。俺は人気の少ないところに移動して、【対戦】を選択した。


【対戦を開始します。使用するデッキを選択してください】


 あ、ここで結局選べたわけね。別にデッキNo.3でも問題なかったと。

 俺はここでもデッキNo.3を選んでみる。


【このデッキはデッキ構築のルールに違反しているため、対戦には使用できません】


 今度は流石に止められたか。まぁデッキNo.3は何もカード入れてないから当然だが。さっきもこういう系ので止められるかと思ったんだけどな。

 俺はデッキNo.1を選択し直す。このデッキでいいかの確認メッセージが出たので、【はい】を選択する。




【ゲームスタート】

【ファーストフェイズ:デッキから6コスト分まで、フィールドに出すカードを選択してください】

【キャラクターカードは必ず選択する必要があります】

【フィールドに関する説明は[こちら]です】


 ゲームが始まると、俺を中心に弧を描くように、6種類のカードたちが正面の空中に広がった。

 なんだこれカッコイイ。これがカードじゃなくて炎とかだったら完全に魔術師だったわ。


 10メートルくらい先には、なんかメニュー画面がそのまま人型になったみたいな、ほのかに蒼く光る人っぽいのが居た。まぁ人の形してるだけで顔とかないけど。あいつが架空のプレイヤーなんだろう。あいつの周りにはカードは見えないから、俺のカードも他人には見えないんだろうな、多分。


 さて、6コスト分のカードを選択ね。つーかデッキの全カードから選べるのか。運要素の撤廃ってどうすんのかと思ってたけど、ドローっていう概念がそもそもないとは。これはドロー式のカードゲームとは大分違うと思った方がいいかもな。


 俺はとりあえず、カードの選択の前に「フィールドに関する説明」を読むことにした。



 ――――

『ギブン・ザ・カード』ルールより


 〜フィールド〜

 ・キャラクターゾーン:キャラクターカードを出すゾーン。前衛、後衛用に2列ある。

 ・魔法ゾーン:魔法カードを出すゾーン。

 ・墓地:HPが0になったキャラクターカードや使い終わったカードを置くゾーン。

 ・ドロップゾーン:フィールドに出されずに捨てられたカードを置くゾーン。

 ――――



 ほうほう。キャラクターゾーンが2列あるのが特徴的だな。それと、墓地とドロップゾーンがわざわざ分かれてるってのは珍しい。この2つ、使い終わったカードを置くって意味では同質のものだろう。違いはフィールドに出されたか否か。まぁなんか分ける必要があるんだろうな。


 俺の目の前には、カードと同様にフィールドを模したメニュー画面が空中に表示されている。配置を図で表すとこんな感じだな。



 [ キャラクターゾーン(前衛用)]

 [ キャラクターゾーン(後衛用)]

 [     魔法ゾーン     ]

 [ドロップ] プレイヤー [墓地]



 この図のさらに上側には、相手のキャラクターゾーンの前衛用、後衛用、魔法ゾーンと相手のフィールドが広がっている。

 まんまカードゲームって感じだな。それで、6コスト分選択だったか。とりあえず見習い3種でいいかな。俺は【見習い剣士】、【見習い魔術師】、【見習い治癒術師】の3枚を意識して念じる。よし、確定。


【両者の選択が完了しました。召喚を行います】


 おぉ。すげぇ。

 やはり俺の正面の空間にはキャラクターが召喚されていた。選択したカード自体は、目の前のメニュー画面のキャラクターゾーンに配置されただけだ。そのメニュー画面の内容をそのまま拡大して投影したかのように、正面10メートルの空間に、1メートル以上の大きさに拡大されたカードが置かれている。そのカードの上に、そいつらは居た。


 まだ少年っぽさの残る【見習い剣士】、ちょっと釣り目の少女【見習い魔術師】、ゆるふわ系女子の【見習い治癒術師】。そいつらは俺に背を向けて相手のフィールドの方向を向いて立っていた。いや、俺からは後ろ姿しか見えないから【見習い魔術師】の釣り目とか見えてないが、カードの絵柄通りなら釣り目なんだろう。


 つーか【見習い剣士】の野郎、両手に花かよふざけやがって。などと思わなくもないが、相手のフィールドには【トロール】が2体召喚されていた。こいつらもイチャついている場合ではないだろう。


 見習い系3人とトロール2体の上には、HPバーみたいなのが表示されている。まぁ普通に考えて、これがなくなるとそのカードは墓地に行くんだろうな。というかトロール結構でかい。2メートルはあるわあれ。


 俺がトロールに注目していると、新たなウインドウが現れた。



 ――――

【トロール】No.5 ★ キャラクターカード

 コスト:3 HP:170 ATK:30 AGI:20 DEF:0 配置:前衛 射程:1

 属性:土 種族:モンスター 所属:森

 スキル:射程内で最もATKが高い敵1体に《ATK×2》のダメージを与える。

 ――――



 あぁ、対戦中でもカードのテキストは見れるのね。地味だが無いと困る便利な機能だ。他のカードのも一覧で見れたりするのだろうか。俺がそう思うと、ウインドウの表示が切り替わった。



 ――――

 [敵軍前衛]

【トロール】HP:170/170 ×2


 [自軍前衛]

【見習い剣士】HP:105/105


 [自軍後衛]

【見習い魔術師】HP:70/70

【見習い治癒術師】HP:100/100

 ――――



 おおー。一覧表示いいな。簡易版で見やすい。まだ最初の召喚を行っただけの段階だけど、こうやってゲームのUI部分を色々確かめたくなるのはゲーマーの(さが)だよな。うん。




【第1ターン】

【セレクトフェイズ:デッキから6コスト分まで、フィールドに出すカードを選択してください】

【キャラクターカードは、召喚したターンは行動できません】


 俺がひとしきり確かめて満足したのを見計らったように、次のアナウンスが来た。この完璧なタイミングも多分神様の力だよな。自分のペースで進められるのは嫌いじゃない。


 それで、ここから1ターン目開始か。さっきのはゲーム開始時の準備段階かな。さっきと同じように6コスト分選択ね。今回はお互いに、最初の6コスト分を見てからの選択になるのが相違点だな。


 さてどうするかな。キャラクターカードは召喚したターンは行動できないらしいし、ここは残り3枚の装備カードと魔法カードを選択してみようか。

 それじゃ【体力増強】……と。


【装備者を選択してください】


 【体力増強】を選択すると、装備者の選択を求められた。

 なるほど。ここで装備者を選択するのね。んーそうだな。一番HPが低い【見習い魔術師】のHPを増やしとくかな。


 それじゃ、【魔力付与】もHPが増えてタフになった【見習い魔術師】に付けとくか。【魔力弾】は左側のトロールにぶっぱなそう。


 俺は、そう念じて選択を確定させる。




【両者の選択が確定しました】

【サモンフェイズ:選択したカードの召喚を行います】


 アナウンスの声がそう告げると、【体力増強】と【魔力付与】の2枚は、【見習い魔術師】のカードの下に置かれた。少しズレて重なっているため、下のカードが少し見えて装備中であるのが分かる。【魔力弾】は、自軍の魔法ゾーンに置かれている。


 そして相手のフィールドはというと、2メートル以上ある【トロール】がさらに2体召喚されていた。俺は一覧表示を確認する。



 ――――

 [敵軍前衛]

【トロール】HP:170/170 ×4


 [自軍前衛]

【見習い剣士】HP:105/105


 [自軍後衛]

【見習い魔術師】+【体力増強】+【魔力付与】HP:190/190 ATK:60

【見習い治癒術師】HP:100/100


 [自軍魔法]

【魔力弾】

 ――――



 お、ちゃんとHPとATK増えてるな。HP以外のステータスに関しては、おそらく元々の値との変化分だけ記載される感じか。この一覧表示便利だから常に出しておこう。


 というか相手はまたトロール2体か。あんまり予想してなかった。自分と相手のターンが交互に切り替わるゲームだと、必ず相手の行動を見てからこっちの行動になるんだがな。このゲームだと両者の選択が同時だから、常に相手が何をしてくるか読む必要がありそうだ。




【マジックフェイズ:魔法カードの効果が発動します】


 お、次は魔法か。魔法カードはこっちの【魔力弾】だけだな。


【【魔力弾】の効果が発動:【トロール】に100ダメージを与えた】


 俺の目の前の空間にある、1メートル以上の大きさの【魔力弾】のカードから、絵柄と同じ白っぽくて若干透明な球体が出てきた。そいつが一気に飛んでいくと、俺の選択したトロールにぶつかって、衝撃を与えて消えた。


 おおー。魔法っぽい。これは流石にカッコいいわ。ゲームの内容が現実世界に反映されるとか流石にテンションが上がるのを止められない。これは剣士がトロールを斬るとことかも見たいな。次行こう次!




【スキルフェイズ:キャラクターカードのスキルがAGI順に発動します】

【戦闘に関する説明は[こちら]です】

【同AGIの場合に関する説明は[こちら]です】


 ほうほう、AGI順ね。AGIはここで活きてくるのか。まぁとりあえず「戦闘に関する説明」を読みますかね。



 ――――

『ギブン・ザ・カード』ルールより


 〜戦闘関連〜

 一般

 ・キャラクターカードは、召喚したターンは行動できない。

 ・HPが0になったキャラクターカードは死亡し、墓地に送られる。装備カードを装備していた場合は、墓地でもそのまま装備している。また、変化したステータスなどは変化したままになる。

 ・同AGIのキャラクターカードがある場合は、プレイヤーが行動順を選択する。(詳しい流れは後述)

 ・ダメージを受ける際、実際に受けるダメージは《元々のダメージ量-ダメージを受けるキャラクターカードのDEF》となる。

 ・ダメージは小数点以下切り捨てとなる。

 ――――



 ふむふむ。死んだキャラクターカードでもステータス変化は残ってるわけか。これって多分死んだキャラの再利用があるってことだろうな。だから墓地とドロップゾーンが分かれてるのかね。

 それとDEFの意味が分かったな。DEFがあると単純にダメージをその分軽減してくれるらしい。今解放されているカードには確かDEF持ち居なかったけどな。


 さて、次は「同AGIの場合に関する説明」ね。



 ――――

『ギブン・ザ・カード』ルールより


 〜戦闘関連〜

 同AGIの場合の処理の流れ

 1. 同AGIのキャラクターカードが赤く光る。

 2. その中の味方キャラクターカードのうち、スキルを発動させるカードを1枚選択し、スキルの対象などを指定する。

 3. 相手にも同AGIのキャラクターカードがある場合には、両者の選択が完了するまで待機となる。

 4. スキルが発動する。両者ともキャラクターカードがある場合は、両方のスキルが発動する。

 5. 行動済みになったカードは光が止まり、暗い色に変化する。

 6. 同AGIのカードがなくなるまで、2〜5の手順を繰り返す。

 ――――



 うーんと……? まずカードが赤く光ると。


【【見習い治癒術師】のスキル:対象を選択してください】


 ん!? ちょっと待て勝手に進むなよ!

 ……あ、治癒術師とトロール2体が赤く光ってるわ。


 こいつら全員AGIが20ってことか。なるほど。まぁ読みながらやってった方が早いな。とりあえず対象の選択ね。治癒術師のスキルはHPの回復だから、攻撃を受けそうな奴を選択すべきだろう。

 ふっ。トロールのスキルは覚えているぞ。確かATKが最も高い敵に攻撃だったな。つまり! 攻撃されるのは見習い魔術師! そこまで読めていれば釣り目の少女を選択するのは道理。


 俺は【見習い魔術師】を選択した。


【両者の選択が確定しました】

【【見習い治癒術師】のスキルが発動:【見習い魔術師】のHPが60回復】

【【トロール】のスキルが発動:【見習い剣士】に60ダメージを与えた】


 ん?


【【トロール】のスキルが発動:【見習い剣士】に60のダメージを与えた】

【【見習い剣士】は倒れた】


 ファッ!?


 俺の目には、見習い剣士がトロール2体になす術もなく殴り殺される光景が映った。


「ちょっ……剣士ィィィイイイ!!!」

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