表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/88

6「そうか?」ギルドカードと冒険者説明、豊かな…?

かなり説明が多くなってしまいました。半分以上が説明になってしまったかもしれません。

流し読み程度でいいので目を通してもらえると、ありがたいです。

 奥へと消えた受付嬢が手に何かを持ち戻ってきた。


「お待たせしました。こちらがギルドカードとなります。身分証明書にもなります。作り直しにはかなりの金額になりますので、紛失には十分お気をつけください」

「ふむ…」

(これが、ね)


 カードというだけあって、薄い長方形の形をしている。

 金属で出来ているようだ。


「まず、本人登録をしていただきます。方法は、裏面のどの辺りでもいいので、カミモト様の血を少しつけてください。血に含まれる魔力を登録させるためです」

「…つけたが。それで」

「はい、ありがとうございます。それでは、カードの説明をしますね。このカードには表面に氏名、年齢、性別、種族、冒険者ランク、属性、討伐数、犯罪歴が表示されます。表示させる方法は、ご自分の魔力を流すのみです。なので紛失した際に悪用されることはございません。また………」


 ***

 ギルドカードの説明を一からしよう。


 まず、このカードは遥か昔の、失われた古代技術で開発され、作られたものらしい。


 専用の機械を使い、個人情報を文字として刻むことができ、本人しか使えないという機能があった。

 それは魔力を1人登録でき、登録した者の魔力を流すと、刻んだ文字が浮かび上がるというものであった。

 その機能のお陰で悪用ができず、信用の高い身分証明のカードとして使えた。

 さらに、所持者が倒した魔物の数の計測、犯罪の記録もつける機能もついていた。

 これらの機能から、冒険者カード兼身分証に使われるようになった。


 このカードを複製する古代の機械も、数台のみだがあるので、現代にも普及してはいるが、原理は謎のまま。

 複製をするといっても無制限に作れるわけではなく、カードの元となる金属が必要になる。

 複製するのは形と機能である。

 複製する機械は大陸に1つ2つしかない為、あらかじめ複製されたカードが、各ギルドに数十〜数百個、保管されている。

 カードをいじる為の機械は現代でも複製が可能であったため、各ギルドに設置してある。


 魔力を流すと、最後に更新した、氏名、年齢、性別、種族、出身地、属性と、冒険者ランク、依頼の魔物を倒した数、犯罪歴の有無と内容、が表示される。

 年齢は自動で更新されるため、誕生日を初めてここで知る者もいる。(これも機能のひとつといえる)

 属性や冒険者ランクはギルドで更新しないと変わることはない。

 倒した魔物の数は、数えたい魔物をカードに登録しないと計測されない。

 なので、討伐系の以来を受けるとカードを機械に読み込ませる様なシーンが出てくる。

 犯罪歴は何もなければ空白に、無意識に、情状酌量の余地がある者は黒字で表示される。

 故意の犯行は赤字で示される。

 登録の際に空白だったり不明なものは、そのまま空白で表示される。

 魔力を流す際、表示して欲しくない欄を頭に思い浮かべると、カードで表示しないようにできる。


 このカードに他人が魔力を流すと静電気のような、ピリッとした痛みが走る。

 所持者が死亡すると氏名、年齢、性別、種族のみ赤字で表示される。

 2枚カードを持つことはできない。

 1枚魔力を登録すると、別のカードに血をつけても反応しなくなるからだ。


 ギルドカードを安価に量産しようと試み、材料によっては劣化カードが作れる事が、判明した。

 得意武器、魔力系や冒険者ランクなどをなくした、一般的な身分証明書としてのもの。

 値段はギルドカードより安く、銀板2枚。

 また、魔力を流す、ということに慣れていない者たちのために、触れるだけで自動で必要な分だけ魔力を吸い、情報を表示してくれるカードもある。

 これは現代の技術者が頑張った結果である。

 これは少し値が上がり、銀板5枚。

 門番が言っていたように犯罪歴すら記録しない安物のタイプもある。

 これは銀貨4〜7枚。


 注意点といて、水に落としたり、何かで汚れたり、血に浸かったり、多少荒く扱っても問題はない。

 ただ、質が高く濃い魔力を含む血なり水なりや、同じ様な魔力が充満している所に放置していると壊れる可能性がある。

 壊れた際は再発行するしかなく、金貨がかかる。


*かなり長くなってしまい申し訳ない

 ***


「………となります。長くなってしまいましたが、問題ありませんか?」

「ああ」


 かなり説明が長くなってしまった。

 もちろん、受付嬢の説明は利用方法と幾つかの注意点だけなので、半分以下の長さだが。


「次に、冒険者について、になります。先に聞いておきたい事などございますか?」

「ない」

「かしこまりました。では、冒険者の仕事内容からいきますね。冒険者は大まかに分けて3つ。依頼をこなす。ダンジョンに潜る。緊急時の強制召集です。3つ目は少し特殊ですが。ではまず、一つ目の………」


 ***

 これも一から説明しよう。


 冒険者とは、魔物との戦いを主にした、なんらかの依頼を受け、それをこなす者、ダンジョンに潜る者たちのことである。

 冒険者ギルドは、その依頼の仲介役と、冒険者の支援、ダンジョンの管理等をする、独立した機関である。

 ランク付けも行う。


 ランクは魔物と冒険者で違った付け方をされる。(*設定集参照)


 依頼は、その難易度に見合った報酬が払えれば誰でも依頼をする事ができる。

 その内容は、法に触れなければなんでも問題なく、子供や、知能ある魔物でも出す事はできる。


 報酬は基本的に金銭で払う。

 しかし、指名依頼という、依頼を受けて欲しい人物を指名して出す依頼、その指名依頼は、なんらかのアイテムを報酬にする事も多い。

 ギルドや国からの依頼もあり、その依頼は緊急性が高いものが多い。

 魔物の大群が襲ってくるなどの緊急事は、緊急依頼として張り出され、一定以上のランク保持者は強制に受けさせられる。

 怪我などで止むを得ず参加できない者は、その限りではない。(参加したがる者が多いが)


 メリットはもちろんあり、参加すれば危険度に見合うだけの高い報酬は確定となる。

 ランクアップへの点数稼ぎになる。

 貢献すればする程ランクアップが近道になり、報酬も増える。

 この戦いで死亡した際、養う家族、両親などの家族がいた場合は、その地を治める国から家族へ、報酬金がギルドとは別に送られるようになっている。

 ただし、途中で抜け出したり、手柄を横取りしたりすると、打ち首になる。

 また、参加を拒否する事はできるが、その代わりにランク降格または除名、ペナルティを課される事になる。


 通常の依頼に関しては、討伐依頼、採取依頼、殲滅依頼、調査依頼、市内依頼、護衛依頼、素材収集依頼の7種類と、分類不可依頼がある。


 討伐依頼とは、指定されたものを指定された数以上討伐する、殺す事が目的の依頼。

 殲滅依頼とは、群れやエリア内の一定数以上を討伐する、数多く殺す事が目的の依頼。

 採取依頼とは、草木、鉱石類や魔力水などの、自然の素材を収集する、素材集めを目的とした依頼。

 調査依頼とは、森の異変や生態系の調査、連絡の途絶えた村への様子見など、調査・探索を目的とした依頼。

 市内依頼とは、逃げたペットを捕まえる、や引越しの手伝いなど、都市内で完結する、都市内の人たちの手伝いを目的とした依頼。

 護衛依頼とは、商人などの、点から点までの移動で敵から守る、依頼主の守護を目的とした依頼。

 素材収集依頼とは、獣や魔物の部位や卵などの、討伐する必要が出てくる素材を収集する、素材集めを目的とした依頼。

 分類不可依頼とは、7つの種類のどれにも当てはまらない、所謂その他の依頼。


 通常の依頼はランクが上がることによって解放されていく。(*設定集の冒険者ランクにて)


 他に、特別依頼があり、貴族や王族など、身分が高い、または、客品など重要な人物の護衛など、依頼人の身の回りにいる事の多い依頼。

 報酬は高いが一般以上の教養と礼儀が必要になる。


 依頼には難易度がわかりやすい様、○ランク依頼と表示されている。

 冒険者が受けられる依頼は、自身のランク以下のみ。

 それ以上を受ける際は受けたいランクと同等以上の者とパーティを組み、達成できると判断されると受ける事ができる。

 ***


「といったところですね。ここまでで何か質問はございますか?」


 フゥ、と、一息つく受付嬢。


「ない。…悪かったな、長く喋らせて」


 と、急に謝るイツキに…


「っ!?いえっ!これも私の仕事の内ですので、謝られる事では…!!」


 わたわたと慌てて否定しだす受付嬢。

 何しろ、反応が素っ気ない、愛想のない、無表情の、女性の様な顔の男。

 その男が急に、目に罪悪感を滲ませ、労わる様に謝ってきたのだから、驚きもするし、慌てるだろう。

 更には、登録の準備を始めてから今までをみて、大体の性格を把握してきた時に謝られたのだ。

 驚きは二乗だろう。


「そうか?」

「はい!むしろ久しぶりに受付嬢っぽい事ができて良かったといいますかっ…て、あ、ああぁぁなに口走って……、っ!?大変失礼しましたっ!!」


 と空回り。

 余計な事を口走ったり、ごにょごにょと小声で自分のミスを指摘したり、相手に失礼な事をしていると遅れて気づき、慌てて頭を下げる。

 あの、優秀な受付嬢の面影は、もはや残っていない。

 受付嬢はイツキが怒ったり呆れていないか、戦々恐々としながら顔を上げると──


「フッ」

「ッッ!?」


──微かに笑っていた…

 驚きの光景に、本日数回目。

 息を呑み、目を大きく開いて呆然とする。

 それもそうだろう。

 あのイツキが微かにでも笑っているのだ。

 ジャイの時でさえ、怒りのあまり殺気を放出してしまっていても、冷静であった。

 感情を表、顔に出す事はなかった。

 そんなイツキが、況してや笑うなんて、奇跡としか言えないレベルである。

 極僅かだが、確かに口角が上がり、目尻が下がっている。

 相手の表情を見る受付嬢だからこそ、気づけた僅かな変化。

 笑い方も、バカにした様な者で無く、暖かい、見守る様な笑みなのだ。

 今までのギャップと合わさり、人生最大の衝撃といえるものを、味わっていた。

 だが、長い間固まっている受付嬢に痺れを切らしたイツキが、声をかける──


「?…おい、どうした?」

「っは、すいま…っ!?」(かわっ…!?)


──首を微かに傾げ、困り顔の様な、情けない様な顔をして…

 声を掛けられ、はっとした受付嬢が謝ろとイツキに焦点を合わせると、そんなイツキを見てしまい、また固まる。

 心の中で、『かわいい』という感想を抱きながら…

 そして、そんなイツキに受付嬢は来るものがあったのか…

 あからさまに顔を赤らめ、俯く。


(これが一目惚れ!?女性顔だけど…)


 どうやら惚れた様だ。


 …それにしても、イツキはどうしたのだろうか?

 やけに表情豊かである。

 普通なら気づけない程、極小さな、誤差レベルの動きである。

 そんな小さな動きに気付けるのはさすが受付嬢といったところか。

 そのせいで、惚れる事になってしまった。

 ぶっち切りに危険生物なイツキを知らないとは、なんと幸せな事か…


 イツキとは思えない、異常とすら言えるほどの豊かな表情。

 まさか、素で笑った訳でもないだろう。

 何だったのか…?

意味がわからなかった事などがあれば、感想や報告のコメントに書いてもらえると助かります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ