表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/88

3「ご苦労」勘違い、得た情報

かなり軽く性的表現があります。正直、性的表現に当たるのか分からなかったので、一応注意書きをしておきます。

 大量の質問を次々とされていく中、実は一度、間違った情報を教えてやろうか、という考えが頭をよぎっていた。

 だが──


 ズンッ!


 聞こえるはずかない、プレッシャーの音。

 心臓が凍りつきそうな威圧に、幻聴を耳にしていた。


「っぃい?!」(ばっばばばバレた?!な、なんで!?それとも、たまたまか?!)


──心を呼んだかのようにイツキが威圧してきたため、冷や汗をだらだら流しながら、大人しく答えつづけた。

 だが、内心では、


(本当に恐ろしい()だ…)


 と。


 ところで、お気づきだろうか?

 …そう。こいつは、イツキの性別を間違えているのである。


 ここで、イツキの容姿を紹介しよう。


 ***

 髪色は綺麗な透き通る様な銀。

 髪型はショートカットの類。

 今は違うが、髪を長く伸ばしていることもある。

 瞳の色は暗い紅。

 多少つり目で、目つきは鋭い。

 小顔。

 肌は白いが、病的な白さは無く、健康的な明るい肌。

 筋肉が付いているとは到底思えない、しかし無駄な肉は付いている様にも見えない、締まった細い体。

 身長は174cm程度。


 そして、顔つきを簡単にいうと、人気アイドルやモデルが霞むほどの綺麗な顔立ちをしている。

 ぶっちゃけ超美人な顔。


 ちなみに、表情は無表情がデフォルトだが顔の作りが良すぎる為か…

 無表情による不気味さを感じ難く、暗闇で顔を見たりしない限り、恐怖を感じる者は意外と少ないのだ。

 まあ、それはともかく。


 髪型も男っぽいものではない。


 要するに、女にしか見えないのだが…

  しかし、地球ではあまり間違えられる事はなかった。

  何故なら、普段からフードを被っていたから。

 何より、名の知れたイツキは、男であると知れ渡っていたため間違えられる事はなかった。

 普段はあまり外でうろついたりもしないので、モデルの勧誘などに誘われることもなかった。

 ***


 と、男と判断するのは極めて困難。

 男女どちらともとれる声色をしており、女という先入観があれば何とも、違和感がない。

 先入観が無くとも大して違和感など感じないだろうが。


 現在はローブを着てフードを被っているため、細い顎と僅かに溢れ出た綺麗な髪しか見えず、ローブ越しからでも分かる細い体から、女と勘違いをしてしまっている。


 この勘違いがのちに、ジャイの不幸の蕾の養分となり、不幸の花が咲くことになる。

(種はイツキが近くに現れた事、蕾は現状である。情報源として狙われたことが水であり、水(狙われた事)のおかげで蕾(現状)にまで育った…といったところか)


 *****


「こんなものか…」


 予想外にも、粗方、聞きたいことは聞けた。

 緊張と、慣れない長時間の喋りで声がガラガラになったジャイ。

 イツキの一言に、今の状態を忘れてホッと一息ついた。


 ジャイから得た情報をまとめると。


 ***

 この世界での通貨。

 全大陸共通らしい。(詳細は設定集で)


 アーノスは球体であり、太陽の周りを回っている地動説が学者の常識である。

 やはり識字率は高くなく、学校は裕福なものしかいけない所。

 農民なんかは、アーノスが、丸いことも知らないだろう、と。

 アーノスという名前すら知っているかどうか…


 1日は24時間と、地球と同じ。

 月も12ヶ月だが、12月のみ31日、残りは全て30日の、計361日だと。


 海と大陸の比率は分かっていない。何故なら惑星の半分近く(海と大陸合わせた)が未踏の地(と海)であるから。

 一定のラインより、異常気象と数多くの危険生物により近づく事が出来ず、未踏の地到達が阻まれているとのこと。

 遠見の力で陸の状況や広さなどを図ろうとしたが、遠見を使った者は状況を伝える前に突然死んでしまい、何度か試したものの失敗。

 一定のラインギリギリまで近づき、望遠鏡の類で観測したところ、死ぬ事もなく陸の一番端のみだが、見る事には成功している。


 未踏の地は謎に包まれているが、神々や伝説の生物がいると、されているらしい。


 残りの半分は、中央の大陸(ちゅうおうのたいりく)東の陸(ひがしのりく)北の陸(きたのりく)西の陸(にしのりく)南の陸(みなみのりく)魔の陸(まのりく)と6つの大陸と幾つもの島に分かれている。

 大陸の間に海があり、かなりの距離になるため、大陸間を直接移動するのはかなり困難。

 そのため間にある島々を経由して移動する。


 中央の大陸は最も面積の広く、危険度の低い地域が多いために、人口がかなりの数に上る。

 そのため、中央の大陸のみ、『大陸』となっている。

 今、イツキがいるのは中央の大陸である。

 その他の陸については、またいずれ…


 獣人など、人間以外の種族について。(詳細は設定集で)

 

 魔物とは、魔力をもつ人以外の生物の総称。

 魔素から産まれるものと、卵など普通の生物のように産まれるものと2種類いる。


 魔素から生まれた個体は生殖機能を持たず、同じ様に魔素から生まれた魔物は、別種族でも争うことはない。

 食事をする必要はないが、死体などを食べるものもいる。

 死ぬと体は塵となって消えるが、一定の確率で素材となる部位が落ちることもある。

 魔素が濃い場所や、ダンジョンに生息している。


 もう一方は魔獣とも呼ばれる、魔力を持っていること以外、普通の獣と変わりはない。


 魔素、魔力の素と考えられている。

 空気中や食べ物、極僅かだが布や紙など、全てのものに含まれている。

 魔素はただの獣も有している。


 魔力とは、魔法や特殊な技能、明かりなどのエネルギーになる。

 なのでアーノスでは電気は普及していない。

 魔力を持つ生き物は、生命維持にも使われているため、枯渇すると危険である。

 その代わり、地球の生物に比べ、生命力が高く、頑丈。


 ダンジョンとは、迷路の様に入り組んでおり、魔素が濃く、宝箱や罠が自然発生する、謎の多い場。

 神の試練や、神の遊び、ただの偶然の産物など、詳細は定かではない。

 放置しておくと魔物が溢れ出し、近くの人の住処、拠点を襲っていく、モンスターパレードがおきる。

 なので、定期的に間引きがされている。

 地下へ潜っていくものと、登っていく塔の2つがある。

 踏破された記録はない。


 冒険者

 民、国からの依頼を受け、達成すると報酬が貰える、職業。

 もしくはダンジョンにて素材集めなどをする。


 冒険者ギルド

 冒険者に仕事を斡旋する機関。独立しており、国は干渉できないが、依頼を出すことはある。

 冒険者、魔物のランク付けもしている。


 ランク

 戦闘力、もしくは厄介さ危や険さの目安となる。


 *他にもありますが、話の中で説明を加えていきます。

 ***


 等と、かなり詳しく知ることができた。

 正直、ここまで色々と知ることができるとは考えておらず、嬉しい誤算となった。

 嬉しかろうと何だろうと、誤算が起きてしまったことに多少イラつきを覚えるが。


「一息つくのはいいが」

「っ!!」ビクッ


 終わったと思い、思いっきり弛緩していたジャイに声を掛ける。

 体を大きく震わせて、さっきとは逆に緊張するジャイ。

 そんな元親分にイツキは


「お前…」

「…な、なんでしょうか?」

「何か、隠したな?」

「っ!?」


 また何かやらかしたようである。

 自殺志願でもあるのだろうか。


「未踏の地について、知っているのか?」

「なっ、んで」

(嘘は言っていないようだったが。何かを躊躇うような…)

「で?」

「……。…はい。実は…」


 イツキは特に驚いてもいなかったが、歴史家などは一回心臓を止めてしまうかもしれない、驚愕の事実だった。

 この男、実はかなり重要な情報を持っていた、滅びたとされていた一族の末裔であったのだ。

 その情報とは…


『未踏の地』について、である。


 そもそも、なぜ未踏なのに情報があるのか?という疑問があったのだが。

 それについては、もう伝えられていない、というより、先祖が故意に伝えなかった、とのこと。


(信憑性がなくなる理由だな)


 その通りである。

 その未踏の地の情報は…


「言え…ない…です」


 どうも、末裔の血に呪いが掛かっており、誰かに伝えると死んでしまうので言えない。

 勘弁してくれ、と。

 イツキは内心


(都合の良いことだな。だが、嘘は言っていない…)


 と、反応を見ていた。

 ジャイは言わされてしまうかと、戦々恐々としていたが、


「まぁ、いい」

「えっ…?」

「ご苦労」


 と、興味はないので今は無理に言わせなかった。

 そして一言、ご苦労、と。

 命拾いした!と喜びに震えているジャイに…


「お前のアジトはどこだ?」

「はっ……?」


 終わりの時が近づく…


「な、何故…」

「必要な物を貰っていく」

「そ、そんな…」

「なんだ、命拾いしたとでも思ったのか?」

「ぐっ」


 図星である。


「しかし、それでは生活が…」

「知るか」


「それが嫌なら…」


 イツキは言う──


──未踏の地のはなしをしてみろ…と。


 *****


 *ジャイ*


「正直、その末裔の呪いは嘘か、消えているだろう…」


(そんなバカな…信じられるわけが)


 あの女が交換条件として口に出したこと。


『未踏の地について教えろ』


 このことを喋っては、死んでしまうかもしれない…


「少しだけ時間をやる」


(だが、喋らなくてもあの女に殺されるだろう…)


 確かに、遥か昔に掛けられた呪いだと聞いたし、無くなっている可能性もある。

 実際に死んだ者を見たことがあるわけでもないのだ。

 嘘の可能性だってある。

 だが、そうでなかったら…と考えると、二の足を踏んでしまう。

 そして俺は──


「分かった…はなす。ただ…」

「そうか…ん?」


──話すことを決めた。

 その代わり…


「問題なかったら、頼みを聞いてくれ」

「ほう…?」


 問題がなければ、頼みを聞いてくれ…と、交換条件を出してみた。

 俺の返しが意外だったのか、特に咎める事もなく様子見をしている。


「まあ、聞くだけ聞いてやる」

(どうせ無理だと思けど、希望があった方がいいし。このおん…そういや名前知らねぇなぁ)

「…そういや、あんたの名前は?」

「いう必要があるのか?」

「うっ…いや、ないかも知れないが、別に問題ないだろ!?」

「断る」

「なんで…」


 即答で断られ、ガクッと項垂れてしまう俺であった。

 名前くらい教えてくれても良いだろうに、何が不都合なのか。


「言うならさっさと言え」

(うぅ…本当にこんなこと頼んで平気か?死ぬだけな気がしてきた…)

「分かった。…じゃあ、話すぞ」


 これ以上話を伸ばしても殺されるだけだと悟り、呪いが嘘であるように願いながら…


「あそこは…」


 俺の知る事を話した。


 *****


「ということなんだ」

(言い終わった…何ともないっ!)

「そうか」


 俺のはなしは終わった。

 話し始めはビクビクしていたが、中盤からは普通に、終盤では活き活きと話せた。

 誰かに伝えたいと思ったことはあった。

 だが、死ぬかもしれないし、信じてもらえるかも、わからなかった。

 問題なく話せる事がわかってからは少し楽しかった、とすら思った。

 それにあいつ自身、話自体は真剣に聞いていたように見えたし、時々納得するようなそぶりも見えた、気がした。

 確定でないのは、表情…というか口元だけしか見えないが、表情が動かないからなんとなく、としか言えないのだ。


「何事もなかったようだな」

「お、おう!じゃあ、頼み聞いてくれよ!」

「…言ってみろ」

(ホントに聞いてくれんのか!?)

「じゃ、じゃあ…」


 頼みごとを聞くだけで、実行する気はないように思えるが。

 さて、万に一つの可能性くらいは…やっぱないかな?


「と、とりあえずさ。フード、降ろしてもらえない?」

「?まぁ、いいだろう」


 サッ


「!!」

(めちゃくちゃ美人じゃん!)


 フードとその影で隠れていない部分と綺麗な声から、かなりの美人ではないかと考えていた。

 実際は、その想像以上の美人であり、この世にこれ以上の者がいるのか、と思うほどであった。

 綺麗な顔な無表情になると、かなり不気味で恐ろしく見えるとも思えるが…

 命の危機に陥っていた俺は視野が狭くなっている為か、人によっては不気味と捉える無表情も、一切マイナスに働かなかった。

 いや、そのマイナス効果すら打ち消すほど、貶す部分が見当たらない綺麗な顔立ちをしていた。


「で?」

(言う、言うぞ!)

「あ、の。…オレとヤって下さい!)

「…は?」


 瞬間、空気が薄くなった気がした。

この世界の設定の説明が長くなってしまい、申し訳ありません。

こういったことがしばらくある予定ですが、どうかお付き合いお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ