5話 魔法を使ってみよう
人生で四度目の雪が降る季節を乗り越えた僕は、いつの間にか三歳となっていた。
そして最近、僕はティオナの部屋に忍び込み、下着を・・・いや、魔法に関する本を密かに読み漁るのが日課となっている。
この体のもの覚えが良いせいか、僕はすでに、この世界で一部の地域を除いて共通語として使われている「ユグドラシル語」を話し、読み、書くことが出来るようになったのだ。
そんな今現在の僕のステータスはこんな感じ。
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ユリウス・バラージ
種族:ハーフエルフ
レベル1
HP:20/20
MP:1010/1010
STR:10
DEF:10
INT:210
DEX:210
AGI:10
LUC:310
スキル:「神通」「看破」「ステータス吸収」「スキルコピー+」「アイテムボックス」「ステータス隠蔽」「幸運」「剣術」「無詠唱」「加熱」「冷却」「槍術」「弓術」「身体能力強化+3」「精神力強化+」「遠見+3」「棒術」「装備強化+3」「付与+」
魔法適性「火」「水」「地」「風」「光」「闇」
称号:「魔導の申し子」「神性者」「模範者」
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そして、ここ二年で新しく増えたり強化されたスキルの効果は以下の通り。
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「スキルコピー+」:直接触れているか、自分から半径1メートルまで離れている対象からスキルを一個だけコピーできる。これは、一つの対象につき一回しか使用できない。また、対象がどんなスキルを持っているかを知っていないと使えない。
「身体能力強化+3」:最大MPの三割を消費し、「HP」「STR」「DEF]「AGI」のステータス値を一時的に三・五倍に引き上げる。
「精神力強化+」:最大HPの三割を消費し、「MP」「INT」「DEX」のステータス値を一時的に二・五倍に引き上げる。
「遠見+3」:一定量MPを消費して一時的に半径三キロメートル以内を鮮明に見渡せるようになる。
「棒術」:棒を使った動きが強化される。
「装備強化+3」:一定量MPを消費して、一時的に装備の強度、切れ味を三・五倍に引き上げる。
「付与+」:MPを消費して装備に自身が持っているスキルの効果を付与することが出来る。付与できる限界は、付与する装備の性能に依存する。
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うん、あれだね。RPGで言う、欲張りすぎて自分が何を目指しているのか分からなくなっちゃったっていう人みたいになってるよね、これ。
とりあえず、この二年間で僕はまたチート化してしまったな。
まぁいいか。自分の身を守るすべが増えたと思えば、どうってことは無い。・・・と思う。
そんなわけで、今まではこうしてスキルを取ってそれのレベルを上げてきたわけだけど、ここ最近になって、取ったスキルのレベルが上がりにくくなっているという問題に直面している。
理由を神様に聞いたところ『スキルのレベルの上げやすさはその者自身のレベルに依存しているからの。お主は未だにレベル1のままじゃから、スキルレベルを上げるための効率が悪くなったんじゃろ』ということらしい。
で、どうやったら僕自身のレベルを上げられるのかと聞いたら、「魔物を倒すべし」ということらしい。
うーん、でも、この辺りで魔物が出たっていう話はあまり聞いた事が無いからなぁ。今は僕自身のレベルを上げるのは難しいのかもしれない。となると、スキルレベルを上げるのも一時的に休止した方がいいのかなぁという事になった。
そして、ここで話は冒頭に戻り、僕が元宮廷魔法士だったティオナの自室にあった魔法についての本を読み漁っているという事になる。
スキルレベルを上げることもできないし、せっかく文字を覚えたのだから、独学で魔法の習得をしてみようと思ったのだ。
そして、コツコツと魔法の原理を読み進めたおかげで、大体の魔法の発動の仕方は分かっている。今日は実際に小さいものだが、魔法を使ってみようと思う。
僕は魔法の本を片手に家の裏庭へと向かった。そこはサッカーのグラウンドぐらいはある広さだ。ここでなら魔法を使っても大丈夫だろう。いつもはトールが剣の練習をしているものの、今日は一人で王都に向かっているようなので誰もいない。
うん。ここでなら人目を気にせずに魔法を撃てそうだ。
僕は周りに誰もいない事を確認し、手先に力を込めた。
呼んだ本によれば、魔法とは魔力をイメージによって質量化したものらしい。
魔法を使うには、魔力を体のどこか一か所に集め、イメージによって質量化、それを解放という手順が一般的で「詠唱」は質量化された物を解放するための呪文だという。
まぁ、僕の場合はスキル「無詠唱」のおかげで詠唱無しで魔法を行使できる。けど、今回は一応のために詠唱有でやってみようと思う。
力を込めた手先に魔力が集まっていくのが分かる。
ここで僕はすかさず、真っ赤に燃える炎をイメージした。そして、「フレイム!」と一番簡単な火属性魔法を詠唱する。
すると「ゴォォォ!」僕の腕の中で真っ赤な炎が燃えたかと思うと、「シュウウウ・・・」すぐに消えた。
「あれ?イメージが足りなかったか?」
僕は再度やり直すも、またもや失敗。解放してから数秒は火が燃えるのだが、しばらくするとすぐに消えてしまう。魔力の量を変えてみても失敗する。
「うーん、そもそもイメージの仕方を変えてみるのもありか・・・」
僕は再び手先に魔力を込める。
そして、「火が燃えるプロセス」をイメージした。
空気中にある酸素に火種に見立てた魔力が着火するイメージ。
するとどうだろう。「フレイム!」僕が詠唱すると、さっきよりも勢いよく火が掌の上で燃え出した。しかも、、それは一向に消える気配を見せない。
「よっし!成功だ!・・・それにしても、日本での知識がまさか、こんな所で役に立つとは思わなかった」
僕は手の中の火を消し、次に水魔法を使うべく、再び手先に魔力を集中し始めた。
結局、その日の内に僕は六属性すべての初歩の魔法を使えるようになっていた。
そして、最後にもう一度一通り使った後、辺りも暗くなってきたという事で僕は魔法の練習を切り上げることにした。今日はトールはいない。僕とティオナの親子二人だけだ。
さーて、今日の晩御飯は何かなぁ?
僕は晩御飯の事を考えながら家に戻った。
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