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13話 ルームメイトと喋ろう




「じゃあ、エリスの案内、お願いします・・・校長先生」

「まっかせてーん♪私の手にかかれば、ちょちょいのチョイよ」

「どういう意味で手にかかるかはかなり心配ですが、とりあえず、よろしくお願いします」

「じゃあ、ユリウス、また後でね」

「うん、エリス、後で」


 僕はそうエリスに返事をすると、男子宿舎の方に向かって歩き出した。


 エリスの事はマッチョオカマこと、ロランド校長に任せてある。・・・まぁ、かなり心配だけど曲がりなりにも校長だし、大丈夫だろう。エリスの荷物は全て出して、ロランドに持たせた。今、アイテムボックスの中に入っているのは僕の荷物だけ。


 とりあえず、僕とエリスは自分の部屋に荷物を置いて、その後に町の観光その他もろもろをすることにしている。


「さてと・・・ここが男子寮か」


 僕はレンガ造りの五階建ての建物、レゾナンス魔法学院の第一学年の男子寮へと入った。


 寮へと入った僕は、サッ、と中を見渡す。

 どうやら、ここはロビーみたいなところのようだ。いくつかソファが置かれていて、もうすでに入寮していたらしい数人の男子が思い思いに寛いでいる。


 僕は、ロビーを横切り、自分の部屋に向かう。

 僕の部屋の番号は「101」。覚えやすいし、一階なので移動も楽だ。

 僕は自分の部屋にたどり着き、ガチャリと戸を開けた。


「うん?誰?」


 僕が戸を開けると、中から声が聞こえてくる。

 どうやら、すでに先客がいたようだ。男子寮では、二人で一つの部屋をシェアするので、僕のルームメイトだろうか。


 僕は、そんな事を考えながら、部屋の中を覗いた。


 すると・・・



 何故かそこでヒューマンの美少女が着替えをしていた。



「―――っ?!失礼しましたぁぁぁぁぁぁ!?」


バタンっ!


 僕は顔を真っ赤にしながら、戸を閉めた。

 えっ?!何で?何で、男子寮に美少女がいるの!?


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「じゃあ、君が僕のルームメイト?!」

「うん、そうだよ。僕はミチェル。よろしくね」


 そう言うと、僕の部屋で着替えをしていたというミチェルは「にへら」と笑った。


 あの後、部屋から出てきたミチェルは、僕を部屋に招き入れた。彼は、顔こそ美少女の様だが、性別は正真正銘の男の子。つまり、僕のルームメイトとなった男子だったのだ。


 いや・・・それにしても、どこからどう見てもミチェルは女の子にしか見えないな・・・。

 日本に連れて行ったら、腐女子が群がりそうだ。


「そうだったのか。僕は、ユリウス・バラージ。これからよろしく」


 僕達二人は、自己紹介を終えると握手を交わす。

 僕と握手を交わしたユリウスは心なしか、かなり嬉しそうに見える。


「いやー、ユリウス君と握手できるなんて、光栄だなぁ!」

「何が?」

「そりゃ、あの5000匹の魔物を壊滅させた「大量殺戮少年バーストプリンス」と握手を交わせるなんて、誰でも光栄だと思うよ!」

「そ、そうなのか・・・?」


 いつの間にか、僕の痛々しい二つ名は王都にまで知れ渡っていたようだ。

「しかも、そんなユリウス君が僕のルームメイトだったなんて、本当に僕は運がいいよ!本当に、これからよろしくね!」


 そう言うと、ミチェルは興奮気味に僕に抱き付く。


「み、ミチェル?!」


 突然の感情表現に、僕はかなり動揺してミチェルを引きはがす。

 すると、ミチェルはとても悲しそうな顔をした。


「あ・・・ごめんね。ユリウス君。やっぱり、僕に抱き付かれるのなんて、嫌だよね・・・」

「い、いや、別に嫌ってわけじゃないんだけど・・・」

「ううん。無理しなくてもいいよ。僕はずっと、男の子の友達から避けられてきたし。ユリウス君も、僕の事、嫌なんでしょ?」


 ミチェルはそう言うと、不安そうに僕を見つめてくる。


(いや・・・ミチェルが男子に避けられてきたのって、ミチェルが美少女っぽい顔つきをしてて、接し方に困ってたからなんじゃ・・・)


 僕は内心そう思うも、当の本人のミチェルはその事に気が付いていない。


 って、僕をそんな哀愁溢れる目で見つめないでほしい。何だか、僕が悪い事をしているみたいじゃないか・・・


「・・・ユリウス」

「えっ?」

「僕の事はユリウスって呼んでよ。友達なら、当然だろ?」

「じゃ、じゃあ・・・」

「うん、これから仲良くしてくれ、ミチェル」

「あ・・・ありがとう!ユリウス!大好きっ!」


 ミチェルはそう言うと、再び僕に抱き付いてきた。僕の胸に頬を摺り寄せる。



 その時、「ガチャ」誰かが部屋の中に入ってきた。


 誰だ?と思い、僕がそっちに顔を向けると、そこには、驚愕に染まった顔のエリスがいる。


バタンッ!


 エリスは一瞬で顔を真っ赤にさせると、戸を勢いよく閉めた。


「―――っ!待って!待ってくれぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ!!エリスぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」


 部屋の中には、僕の虚しい叫びが木霊した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 それから五分後、何とかエリスの勘違いを解いた僕は、エリス、ミチェルと三人で部屋の中に戻っていた。


「それじゃあ、あなたがユリウスのルームメイト?」

「うん、僕はミチェルっていうんだ。よろしくね?」

「そう・・・男だったのね・・・。私は、エリスっていうの。よろしく」


 自己紹介を交わした二人は、握手を交わす。さっきまでミチェルを警戒の眼差しで見ていたエリスの態度も幾分か和らいでいた。


「あ、そうだ。ミチェル」

「何?ユリウス?」

「僕とエリスは今から町に出るんだけど、ミチェルも一緒に行かない?」

「えっ!一緒に行ってもいいの?!」

「あぁ、勿論だ。・・・な?エリス?」

「えぇ、いいわよ。一緒に行きましょう。ミチェル」

「うんっ!ありがとう!ユリウス!」


 ミチェルは、そう興奮気味に言うと、再び僕に抱き付いた。それを見て、慌ててエリスがミチェルを僕から引きはがす。


・・・まぁ、何はともあれ、僕たち三人は魔法学校を後にして、王都の町へと繰り出したのだった。





・・・あ、寮に自分の荷物を置くの、忘れた。





今回出てきたのは、ヒロインじゃないです。

れっきとした男の子です。はい。

第二のヒロインは出てくるまで、もう少しかかります。


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