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12話 王都に行こう

はい、今回から「魔法学校・ギルド編」が始まります!

これからも、できるだけ更新頑張りますので、よろしくお願いしますm(__)m


 王立レゾナンス魔法学院。


 それは、魔法の才能を持つ者だけが入学を許された、リゲル王国でも唯一の魔法専門の全寮制の学校だ。王都の中心からほど近い場所に建てられており、面積は大体東京ドーム1・5個分。土地の周りは、生徒の魔法が街に被害を及ぼさないように、強固な魔法結界でおおわれている。


 ここで好成績を残した者は、宮廷魔法士としての確かな未来が確約されている。

 我が母親、ティオナもここの卒業生らしい。


 そして、そんな大層な魔法学院の門を叩くため、僕はエリスと共にはるばる王都まで来ていた。


「うわぁ、でっかいねぇ・・・」

「うん、確かに」


 僕たち二人は今、サリアから一か月かけて王都までたどり着き、丁度王都の入場を管理している門の前で入場審査を受けている所だった。


 入場審査の基準は「犯罪歴の有無」で、その判断方法は犯罪歴があるかを調べられる水晶に手をかざすだけ、というとても簡単な物だった。・・・って、こんなに簡単に人を入れてもいいのかと思わないでもなかったけど、僕みたいな一般人が口出しする所でもなかろう。

 そして、入場審査の結果は勿論、合格。

 僕たちは王都の中へと無事に入ることが出来た。


「やっと、王都にこれたね。ここまでの道のりが何だかとても長く思えるわ」


 背伸びをしながら、そうエリスは言った。


「うん、この一か月、ただ馬車に揺られてるだけだったから、退屈だったし」


 僕はエリスにそう返しながら王都に入る門をくぐった。そして、僕たちは王都へと、足を踏み入れる。


「「おぉー」」


 王都はサリアの町とはけた違いの規模で僕たちを迎え入れた。


 目の前を通り過ぎるのは、見えるだけでも三十に及ぼうかという、大量の馬車。道の両脇には数多くの店が立ち並び、競い合うようにして客を呼び込んでいる。


「何て言うか・・・サリアとは違って、かなり賑やかね・・・」

「うん、そうだよね」


 僕は日本に住んでいた頃はそれなりに繁華街などを歩いていたために大丈夫だったが、エリスはどこか圧倒されている。まぁ、あんな田舎サリアにずっと暮らしていたエリスじゃ、それもしょうがないのだろうが。


 僕は、少し王都の様子を観察する。

 道の両脇に立っている建物は、どこか中世のヨーロッパを思わせるようなレンガ造り。サリアでは、建物は全部木造だったが、王都がそうじゃないのは、火事を防ぐためだろうか。道幅は大体三十メートルぐらい。その道の真ん中には木製のベンチが並んでいて、多数のカップルが思い思いに座って二人の時間を楽しんでいる・・・おっと、思わず火魔法を放ちそうになってしまった。僕は彼らから瞬時に視線を離した。

 そして、これは事前に得ていた知識だけど、王都は王宮を中心として放射線状に大通りが通っているらしい。確か、ヨーロッパの方にそんな街の構造があったような気がする。


 まぁ、そんな事はどうでもいいや。それに、いつまでもこんな所でボーッとしているわけにもいかないし、そろそろ動こう。


「エリス、そろそろ魔法学校の方に行こうよ」

「えーっ!町の観光は?」

「それは後でもできるでしょ。魔法学校の入学式が行われるのは来週なんだし。それよりも、早めに魔法学校に行って、僕のアイテムボックスの中に入っている荷物を宿舎に置いてこなくちゃいけないでしょ」

「うー、じゃあ、宿舎の中に荷物を置いたら町の観光ねっ!」

「まぁ、荷物を置いたらギルドに登録するために町に行くつもりだったし、そのついでならいいよ」

「約束だからね!」

「はいはい」


 僕たちは魔法学校へ行くために移動を開始した。はぐれないよう、お互いに手をつなぎ、人ごみをかき分けかき分け、王都の中心部を目指す。

 時々、店の前に立ち止って商品を物色しようとするエリスを引きずるようにしながら、三十分ほど歩き、僕たちは王立レゾナンス魔法学院へとたどり着いた。


 門の所に立っていた衛兵に事前に貰っていた、カードのような生徒証を見せると、二人ともすんなりと入ることができ、一緒に宿舎の鍵を渡された。

 僕たちは一年生の宿舎がある方へと向かう。


 と、ここで問題が発生した。




「何で、私とユリウスが同じ部屋じゃないのよっ!」

「だから、男子と女子はそもそも宿舎が別々なんだって!」

「そんなの、他のルールでしょ!私たちは別に守らなくてもいいじゃない!」

「ルールじゃなくて、校則なんだよ!」

「校則なんて、全部私がぶっ壊してやるわ!だから、安心して私と一緒の部屋になりなさい」

「なんか、物凄い安心できないんだけどっ?!」


 当たり前ではあるが、ここ、レゾナンス魔法学院では男子の宿舎と女子の宿舎は別々である。そして、僕が男子の宿舎に行くためにエリスと一旦別れようとした所、エリスがこれを拒否。そのままエリスは僕と一緒の部屋に住むとか言い出し、そして今に至る。


 ちなみに、現在位置は隣同士に建てられている一年生の男子寮と女子寮の丁度、間の所。

 そして、大体の新入生は入学一週間前には宿舎に住み始める。

 つまり、何が言いたいのかと言うと、僕たち以外にもこの場所に入学生がいるという事なのだ。そして、そんな中で少し聞くと明らかに危ない事を叫んでいるエリスはやたらと目立つ。ただでさえ、元々可愛いから目立っているのに。


「くっ・・・部屋が共有できないのなら、せめて寝床だけでも共有してやるわ!」

「エリス?!それ、余計に無理な相談になってるからね!?」

「いいのよ、ユリウス。あなたは何もしなくてもいいわ。私一人で蹴りをつけてやるから。悪いのは宿舎を別々にしてしまった学校のせい。私は一人で学校に聖戦を挑んでやるわ!」

「一体、何の聖戦なんだよ、それ?!」


 やばい、何故か、エリスがアホの子化してる・・・!?今までこんなことあったっけ?・・・いや、無かった。この六年間、エリスがこんな事を始めるのは初めてだ。じゃあ、なぜ今?!


「まずは、職員室を制圧しなきゃ。それで、誰かを人質にとって、この校則を変えることを認めさせる。・・・うん、これならいけるわ!」


 あぁ、やばい。あんなにまっすぐなエリスが、こんなに邪悪な性格に・・・


 エリスは、校則を変えさせるための方針が決まったのか、突然スタスタと歩き始める。僕は咄嗟に止めようとしたけど、できなかった。・・・だって、エリスの後ろに、竜みたいなものがうっするらと見えるんだもん。まだ僕は死にたくないし、ここは先生たちに任せよう。


 僕がそんな後ろ向きな考えを巡らせていると、エリスの前に誰かが立ちはだかった。


「あら?誰か知らん?可愛いお嬢さん?」


・・・あれ?


 口調は女の人なのに、姿はムキムキの男に見える人がいる。・・・あ、そうか。これは夢か。夢なんだな。夢ですね。って、三段活用っぽいのをしちゃったよ。

 まぁ、そんな事はどうでもいいか。それよりも、こんなたちの悪い夢、早く覚めてくれよ・・・


「おや?こっちの男の子も中々いい男じゃないのぉ!私が旦那に貰ってあげましょうかしらん♪」


 ああああああぁぁぁぁぁぁ????!!!!


 だめだ、これ、絶対に夢じゃない!夢なら、こんなにリアルなオカマが出てくるわけない。てか、自分の夢でこんな奴が出てきてたまるか!こんな奴、出てきたら目覚め最悪だもん!


「え、遠慮しときます・・・」

「あらそう?それは残念・・・で、それよりもあなた達はだぁれ?」


 マッチョオカマはそう言うと、首を小さく傾げ、人差し指で自分の頬を突いた。


 うわー、何かこの人怖い。一々仕草が怖い。一つ一つの仕草が人を殺せるって、ある意味すごいね。本当に。・・・って、自分の名前、名乗らないといけないのかな、これ。


「ユリウス・バラージです。来週入学予定です」

「エリスです。私も同じです」

「あら?エリスちゃんも私みたいに、男の体に生まれた女なの?」

「違いますよっ!エリスに何て事、教えてるんですか?!」

「ねぇ、ユリウス、この人、何て言ったの?」

「エリス、お前は知らなくてもいいことだ」


 全く、何なんだ、このオカマは?!


「あらぁ、私は誰かって?」

「人の心の中を勝手に読まないでください」

「何を隠そう、私は、このレゾナンス魔法学院の校長、ロランド・マチョリウスよ!」

「人の話、無視するんですね・・・って、えっ?あなたが、この魔法学院の校長・・・?えっ、え、ええ、えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!????」



 マッチョオカマ―――ロランドがレゾナンス魔法学院の校長と知った僕の驚きの叫びは、学校の隅々まで響き渡った。








いやー、ついに出てきてしまいました・・・マッチョオカマが・・・

彼・・・いや、間違えました。「彼女」は一応、キーパーソンなので、これからもまぁまぁの頻度で出てくると思います。

ちなみに、「彼女」の頭はスキンヘッドです。恐怖ですね。


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