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08


私事ですが、めいこい(乙女ゲーム)にはまって更新を忘れていました。申し訳ありません。乙女ゲームもの書いている奴の宿命ですかね…。切実に生まれてくる次元を間違えたと思いました。

今日もよろしくお願いします。ご意見、感想待ってます!




もうすぐ夏休みだ。

平均の平均である私はもちろん勉学も平均並み。補習は免れ、夏休みは無事に始まる。正直前世の記憶が乙女ゲーム関連しかないというのがとても残念でならない。勉強が苦でしかたない。



テストの結果は上位20人だけ張り出される。

学年が250人ほどなので私は丁度125位だったのだけど、ここまでくるとモブはモブ、平均は平均でも国宝級だと思うんですがどうですか。


そして1位は椎名脩だった。あー、これはまた奴の人気が上がるな。

花ちゃんは2位でー…って、花ちゃん2位!?は!?花ちゃんほんと、なんでもできたのねあなた…。住む世界違うじゃん…。ゲームのコンセプトどうした。感情移入なんか激しく難しい。


それから5位に姫神はじめ。

6位が雅ちゃん。


ちらっと見えたけど雅ちゃんが姫神はじめに対してすごい悔しがってた。


「次は負けないからね!」

「あはは、うん」


雅ちゃんプンスカだ。うるわしい。


見知った名前は…、もうないか。

羽瀬川夏希の名前はないけど、20位以内じゃないだけで頭は悪くなかったと思う。

結城真白は…どうだったろう。

主人公に勉強を教えてもらうシーンあったから、あまりよろしくないかもしれない。


……って。


19位 棚咲のの


二度見した。いや、3度見した。

けどやっぱり見なかったことにした。

なんか悔しすぎた。




そういえば、そんな学年1位の椎名脩のほうもこれと言って何もなかった。てっきり、黙っててあげるから、とか、そんなんあると思ってたけど。

…甘かった。自分のモブさを舐めていた。

彼はわたしのことなどすでに綺麗さっぱり忘れていた。同じクラスなのに。

イケメンの脳みそにはクラスのモブとの記憶を保存しておく空きがないらしい。

安心して涙が出てきた。本当、安心して……。でもなんだろうこの気持ち…。

この調子じゃ結城真白も覚えてないな…。あの人女子から逃げるが故に休み時間になるたびいつも教室にいないからほとんど顔合わせないし、わからないけど。


何はともあれ平穏な日常をすごし、何事もなく夏休みをすごすつもりだ。


だが、その前によからぬ話が浮上したのだ。



それは。


「栗栖花って調子のってなぁ〜い?」


これは棚咲さんがそういう話をしてた女の子たちの真似をしながら言っていた話だ。

彼女たちの言い分は「大して可愛くもないのに、羽瀬川くんにちょっかいだして。北大路雅ならまだしも…」が中心に、姫神はじめの話も上がる。

私はね、羽瀬川夏希が調子に乗ってると思うよ。うんうん。女子怖いから言わないけどさ。それから花ちゃんかわいいから。誰よりもエンジェルだから。花ちゃんの可愛さに気づけないなんて人生8割損してるから。


「でも、私、そこまでいうほど栗栖さん悪くないと思うけどなぁ。むしろ可愛い」

「た、棚咲さん…!」

「お?お?麦ちゃんの輝いた目、初めて見たよ?お?」


がっしり、と棚咲さんの手を握ったら握り返してくれて、けどそれが強力すぎてその日シャーペンが握れなくなった。

もう二度とやらない。


余談だけど、はらりと棚咲さんのほうから紙が流れてきて、見れば、椎名脩の王子服写真だった。カメラ目線だった。

棚咲さんはそれを急いで私から奪い取ると「きゃっ!恥ずかし!!」…どこの誰の台詞だ。ゲス顔しながらで表情と台詞があってなさすぎた。



何はともあれ、あの花ちゃんのことだ。噂くらいでうんともすんともないし、今のところ嫌がらせもないみたい。過激していったら何が何でも花ちゃんを守ってみせるつもりでいるけど。

まあある程度は自分でなんとかできるのだろう。空手と合気道だもんなあ、ハハハ…。

それに、まだ敵役の子が表に出て来てないし、大丈夫なはず。



あ、そうそう。

合気道といえばね。合気道部あったんだよ。でも棚咲さんが入ってました。

道理で…いや、棚咲さんはあれ、合気道だけの能力じゃないと思うけどね。


とにかく棚咲さんがいたのでやめました。だって怖い。




花ちゃんのいるという、美術部とか覗いてみようかなあ。

や、やましい気持ちはないよ。

絵描くの私も好きだしさ!でも前世を知ってからだから、さすがに絵心がなさすぎるのが…。


ぬんぬん。



とりあえず見学だけ行ってみようと思う。

千花ちゃんを狙っている私にとって、彼らに近づくのはしょうしょう危険な行為だけど、見学だけ、ね。



「麦ちゃん夏休み暇!?」

「ちょーーーーー忙しいです」



□ □ □ □



放課後。美術室にたどり着いた私は息を飲んだ。

ここ、「君色☆パレット」の中まんまだ…!

花ちゃんが一番多くの時間を過ごす場所。絵の具の匂いが鼻につくけど、それがまたいい。今日は部活がない日だったのだろうか。誰もいない。失敗したかなぁ。

…それにしても広い教室に飾られた数枚の絵。それからこの大きな窓。


そうそう、確か結城真白はボールでこの窓を割っちゃってね、それが出会いなのよね〜。現実は違うのかな。

あと、椎名脩は親戚が芸術家で絵もかけるんだけど、それでたまたま美術室を覗きにきたときに。


羽瀬川夏希はクラスで会うし、姫神はじめは妹がいてその妹の小学校に美術部で訪問してから。あと、雅ちゃん繋がりでね。



そして水垣千尋こと水垣さん。

水垣さんは、学校広告の花ちゃんの描いた絵を見て訪ねてくるんだよ。水垣さんは体が弱くて入退院を繰り返してたんだけど、入院中は花ちゃんが過去に描いたコンクールでの絵に元気をもらってたんだって。

はぁ〜。ロマンチックだなぁ〜。


…そういや羽瀬川夏希だけ普通だな。どういうことだ。強いていえば、夏休みの宿題に一緒に美術館行ったりするのよ。来年だけど。

何もないわ羽瀬川夏希…。ちょっと不憫になってきた…。



で。

窓のそば、一番奥。

そこが花ちゃんの特等席。

みれば書き途中なのだろう、絵が置いてある。好奇心を掻き立てられた私はかけよって覗いて見た。


「……わぁ…」



夏の絵。

ありきたりだけど、青い空に広いヒマワリ畑。そこに麦わら帽子をかぶった子が笑っていて、帽子にはオニヤンマがとまってる。

…本当にうまいんだなぁ。芸術的な絵のことはよくわからないけど、色合いとかすごく好きだし、同い年の私には到底かけない。すごい引き込まれる。ずっと見ていても飽きないような。心が温かくなるんだ。

なんていうか、うまい感想とかも言えないけど…この子の名前はメイちゃんで決定だ。間違いない。

今の時点じゃ男の子か女の子か微妙だけど。



「あれ?部長ですか?」



花ちゃんの絵に夢中になりすぎて気づかなかった。ーーご本人が戻ってきたことに。

私は前の花ちゃんの絵に隠れていたから、花ちゃんはそう思ったのだろう。


な、なななな、なな、生花ちゃん!!!今までも見てきたけど!それは私が一方的にだから!これ、花ちゃんに私ロックオンされるじゃん!?

しかも勝手に…勝手に絵を見てたし!?モサイし!?モブだし!?ああ、こんなことなら兄の言うこと聞いておくんだった。いつ花ちゃんとご対面しても恥ずかしくないようにしておくんだった。


でも、今となっては仕方が無い。

かくなる上は、なるべく、花ちゃんの注意を引かないように、去る!


私は思い切って立ち上がった。


「あ、えと!好きな絵だったのでつい、勝手に見てしまってすみません!ごめんなさい!失礼します!」



走った。花ちゃんの止める声も聞かず走った。

これで、不信感も抱かれずに切り抜けられただろうか。少々強引感が否めないが…仕方ない。

そのままうっかり上履きで外まで走り出てしまって、生徒指導の先生にうん悪く見つかった私はこっぴどく怒られた。すみません、以後気をつけます。





ジ○リネタ多いですね。意識してるわけじゃないんですけど…。気づいたらノリで打ってました。

前にも出てきたんですが、わかりますか?ちなみにこの後の9話でも出てきてました。…うわあ。

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