第八話
「お前ら、また来たのか!」
「おっちゃん、客にそれはなくね?」
僕達のことをお前ら呼びするこのおっちゃんは
この精肉店のおっちゃんだ。
無愛想で、いつも怒った顔をしていている。
そして、本当に怒っている。
最初は怖かったが、コロッケを一口食べれば怖いおっちゃんがいても、食べに行きたくなる。
衣のサクサク感と少し甘口のじゃがいものホクホク感が絶妙だ。
と、コロッケの感想はここまでにしておかないと、シカトなんかするとおっちゃんが鬼に変身してしまう。
そろそろおっちゃんと吉竹の喧嘩を仲裁しよう。
「まぁ、二人とも喧嘩すんなよ。おっちゃんのコロッケ食べにきたんだ。揚げてよ」
「ふんっ。お前らにうちのコロッケはもったいないわ」
悪態をつきながら、おっちゃんの手はコロッケにむかって、さっと油の中にいれた。
なんだかんだいって、おっちゃんはいつもコロッケを揚げてくれる。
「おっちゃん、金ないからおごって!」
そんなことをいう吉竹。そんなことを言ったらせっかくなだめたおっちゃんがまた怒ってしまう。
「なんだと、クソガキ!金もない奴なんかに用はないわ、帰れ!」
ほら、こうなる。
そのあと、吉竹とおっちゃんが喧嘩をしては僕が仲裁することが三回程繰り返された。