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第六話
「そういえば、お前何で補習すっぽかしたの?」
「寝てたんだよ、すっかり忘れてた」
「え、寝てた!?まじかよ、お前。ださすぎるだろ」
今、こいつだけには言われたくないことを言われた。
僕は十数年生きていているけど、まだまだガキだし、人生経験も少なく、出会った人の人数も少ないだろう。
だけど、この十数年で僕が出会ったなかで1番ださいのはこいつだ。
それなのに、こんなやつにださいと言われた。こんなやつとは、現在進行形で口元にチョコレートをつけているまぬけのことをさす。
そして、僕は思った。
たとえ、逆らったら命をとるなんていう人がこいつより僕のほうがださいといっても、僕は命をかけてでもそのことを事実とは認めず、否定する。
これでお分かり頂けただろうか、こいつのダサさ、そしてアホさを。
「突然だがきいてほしい」
「なんだよ」
「僕はお前にダサいと言われるぐらいなら…」
「なんだよ、はやくいえよ」
吉竹が僕を急かす。
そんなに答えが知りたいなら僕は分かりやすいように一言で真実を教えてやった。
「ドブに顔からつっこんだほうがましだ」