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昔々私は力を手に入れる代わりに何かを手放しました。それはなんですか?

辺り一面炎に包まれた王宮は何処にも逃げ場がなかった。

そんな王宮には人の気配はほとんどなかった

だが白いドレスを着た小さな少女は一人、王宮内で火の気がなさそうな東門方面をめがけて走る

すると後ろからいかにも盗賊のような、がたいのいい男がひょいっと逃げ惑う少女を捕まえて

「おいて行かないでくださいよォ姫様ァ」

そう言うと男は顔が崩れた。それを見た少女は

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」

変化したといった方が良いのかもしれない元々の顔から魔物のようなおぞましい顔に変わる。


「いやだあああああぁっ」


なんで私ばっかり妖魔に取りつかれなきゃいけないのなんでなの!!

少女は物心がついたころからこうして身を狙われ続けている狙ってくる奴らの職業は盗賊 どこかの国の従者 山賊等とにかく片っ端から敵国に少女が狙われるのは少女しかできないことが彼らの目的だからである。

「チッ早く教えろォ」

妖魔は少女の長く美しい黄金色の髪を引きちぎれそうなほど引っ張りながら

「さあ、姫様ァ宝物庫はどこにあるのかなァ」

ギョロギョロした真っ赤な目で少女いや姫をみる

「しっ知らないっ」

姫は妖魔に教えれば世界の明暗が逆転してしまうくらいに恐ろしいことを知っている

だが妖魔はそれを聞くと地獄から響く深く低い声で鬼の形相をして

「嘘をつくなァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

全てを破壊する唸り声は東の門まで響き渡る


姫は怖くて仕方がなかった足はガタガタ震え立っていられなくなるほどに

姫は怖さで気が動転した世界で一番恐ろしいことは今起こっていることと勘違いしてしまった

なんで

なんで

なんで私ばっかりぃぃぃぃぃぃぃいいぃぃいいぃぃ

あいつを、妖魔を地獄に叩き潰してやる

私が宝物庫を開ければこいつから離れられるのならこんなもの開けてやるぅっ!!

その時少女はどこかで何かが切れた

姫は最後の最後まで肌身離さず持っていた宝物庫の鍵を空に掲げて言う

「あらわれろ、我が王宮の宝!」

姫にしかできないことそれは王宮の秘宝が眠る宝物庫を開けることである


やがて鍵は空に消えてなくなり、代わりに小さな真っ黒な箱が現れ出た

これこそがこの王宮内にある秘宝にして最大の宝である緋色の指輪が眠る宝物庫

「ふっようやく現れ出してくれたな姫様ァじゃあついでに箱開けてもらえるかなァ」

小さな黒い箱は指輪のケ―スのような構造で黒い輝きを放つ糸で刺繍した重そうな箱それをあとは奪ばって壊してやればいいだけの妖魔はなぜか開けさせようとする

「くっ言われなくても開けてやるっ!!」

小さな箱の蓋は固く少女では開けられそうにないのに妖魔は自分で開けようとしない

そんな時遠くの方から若い青年の声が聞こえる

「姫様ぁーロゼッタ姫様ぁー開けては開けてはいけませぇーんっっ」

「え?」

庭に植えておいていつの間にか伸びた木のように背の高い8歳くらい年上の従者の琥珀の姿が見えると

パカッ

馬鹿みたいな音をしながら宝物庫の指輪は解放させられる

箱の刺繍の糸と同じ黒さの何かが少女を襲う

「あうっ」

開けた途端に小さな少女はその場に倒れこんだ

「やはりな。」

どういうことになるか知っている妖魔は静かに呟く。

ヴワァ――――――――――――――――――――――

何かが溢れだす真っ黒な感情のない何かがその何かが何か知っている従者の琥珀は

「姫様ぁ」

泣きながら倒れたロゼッタを抱きかかえる。

ロゼッタが物心つく前から従者としてついていた琥珀はその時魔神に命をささげる覚悟をしてしまった。すると琥珀は思いもしないことを見た。自らの体とロゼッタの体にツタが巻き付いてきている真っ黒なツタが

「うっうわぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁああああああぁぁぁぁぁぁああっっっ!!!!!」

琥珀は声が出続けるまで今の状況について嘆いた

間もなく二人の姿が見えなくなるまでツタが二人を包み込む

ツタはしばらくすると枯れ果て消えた

呪われた二人を残して

少女は指に緋色の指輪をはめられて、従者には顔以外の全身に今さっきからみついたツタそっくりの模様のアザがくっきり残っていた


そんな二人をまじまじと見つめる妖魔

「ほォーこれは興味深い..二人に一体の魔神が結びつくとは...珍しいねェ...死んではいないようだなしかし魔導具が姫に結びつくとは思わなかったなァいくら望んでも俺のようなすでに呪われた身は受け付けないということかァ?」

「仕方ないが、退散するか魔導具は取られちまったし」

妖魔は諦め顔で二人に赤い背を向けその場を立ち去ろうとすると


「待てまだ私は死んでいないだから、この国の後継者としてお前をこの世から葬らなければられない」

今さっきまで倒れこんでいた姫がしっかりとした足取りで妖魔に一歩一歩と近づいてくる

「お前のような小さく幼い何もできない餓鬼がどうやって俺のような王国魔術師に勝てるんだァ?」


王国魔術師とはその名のとおり王国の魔術師である。

ちなみに魔術師とは魔法使いとは違う 魔法使いは自ら魔力を作り出しそれを多様に使えるが魔術師は主に魔神や大魔法使いなどと契約し魔力を分けてもらいそれを攻撃等にしか使えない。

すなわち 魔神や大魔法使いなどの魔力が余っている者たちのゲームの中のアバターというのが一番わかりやすい表現方法である。


「ふっお前が王国魔術師ですって笑っちゃうわ、お前は所詮下衆な妖魔ってことを私がわからせてあげる。」

高らかに笑う少女はまるでさっきまで逃げ隠れしていた時とは全くの別人のようだ。


妖魔とはいろんなパターンがあるがこの場合一番ポピュラーな種族と窺える。

赤い目 鬼の形相 そして思い込み

この三つに当てはまったらほぼ妖魔であると考えた方がいい。

妖魔とは魔術師とほぼ同じだが違うところが一つある。それは知らず知らずのうちに意識感情がすべて契約者に乗っ取られるところだ。すなわち操り人形である。


「俺が妖魔だと?なにを言っているんだ、俺は神に一番近い王である竜国りゅうごくの王と結びついてこの姿と魔術を手に入れたんだぞ、何で手に入ったかお前にわかるか?俺は執務官なんだよ竜国のそんな俺の栄光をたたえて王が俺と契約したんだぞ。竜国の王は神に近く魔神にも近い魔力をお持ちだ。魔神でなくても魔力があれば結びつけるだろうそんなことも知らないのか

そして王国魔術師として今ここで王宮を焼き払いこの国の秘宝を手に入れる素晴らしい計画だったのにお前なんかに魔導具をとられるなんてっ」

少女は男が言ったすべてのことがおかしくてたまらなかった。

この男の言うことはすべて知っているなぜなら少女は従者を助けるために契約したのだ、緋色の指輪の中の魔神と。

「だーから言ってんのよ、あんた騙されてんの竜国は戦争大好きなのに

あんたみたいな使えない魔力のない執務官なんて

実験体にしてしまえってね

私はだから感謝しないといけないわね

次の軍事作戦は妖魔のスパイだってことを教えてくれて

アリガトウこれからあなた国を乗っ取るときに参考にさせていただくわ

竜国執務官様ァー」

声がすでに少女の声ではなかったどこか長く生きたモノのそう魔神のしゃがれた深くて渋い声だった

「なんなんだお前!なぜそんなことが言える!!」

恐怖が顔から駄々漏れの妖魔の竜国執務官は今にも崩れそうだ

「契約の証はお前何処にある?」

「魔導具ならこれだ」

と、一振りの剣を取り出す

「やっぱりじゃあ、違うのか」

ケタケタおかしな笑い方をする少女

「何がやっぱりなんだァ」

執務官は怖くて仕方がない少女のことが。


少女は知っていた魔導具イコール契約の証というのはどこであろうと王国に仕える者ならだれでも知っている偽情報である事を

魔導具とは魔神のチカラを利用するときに身に着けるだけのお飾りということも。

契約した者から一生はずれないもの消せないものが契約の証でそれが分かっていないということは、まず王宮に仕えていない庶民か奴隷で無理やり契約しさせられて王宮に仕えているという記憶をあいまいに作り上げられているんだろう

だがこいつは作られた記憶におぼれている。それが幸せならそのままの状態でこの世から葬ってやる

竜国の栄光ある執務官としてこの私が葬ってやる!!!


「今の私はこの宝物庫に眠っていた魔神と結びつき契約した姫なの

だから自分の意思で今こんなこと喋っているの

私は魔神と契約だからいいけど

貴方は一国の王様とでしょう 軍事用に操られてんのも見え見えなのですが?」

炎は3人を囲む。

「そんなわけがない俺は栄光ある竜国の執務官だぞ」

誇らしげな男を片目で見ながら

魔神に取りつかれた呪われたものがチカラを発揮するときに使う呪文を唱える




「我の名はサリアーク・ロゼッタ・リグアス!!

神に愛され、神に認められた我が身を滅ぼすモノは何だ。我が身を汚すモノは何だ。

今宵この神聖なる王宮に火を放ったぶざまな男を


我が処刑する



魔神よ、我らの魔神よ。我らを守護する神よ、我に力を与えよ」






その言葉を言うか言わないかのうちに空から光のような輝きを持つ光が雷のように少女に落ちてきた

彼女の髪は暴れ馬のように暴れ長く美しく伸び、毛先は針のように鋭く輝き

彼女の爪は触ることができないほど鋭く

彼女の目は恐怖しか覚えない鋭い眼差し


そう、なにもかもが鋭く光り輝いていたそして彼女の手には緋色の剣が握らせられていた



「「その剣を一振りすればいい」」



頭の中にしゃがれた声が響いてくる

赤い血を吸いたくてたまらない魔神は彼女にそう伝えた

魔神は血を吸い続けると実在化する。

実体化するということはどんなことかというのはまだ人間たちは知らない。

実体化するために血を吸い続けるには人を殺し続けるのが一番良い。

そう知って今の時代魔神たちは人と契約する。

人は契約しても魔道具を使わない限り魔神のチカラは使えないが支配されることもないが、この男は別だ契約者が竜国の王であるなら、王の本心はこの魔道具だろう。

そして操られていることにも気づかず遊ばされている哀しい男。

魔力さえあれば契約はいくらでもできる。

契約ではなく魔神の意思がない魔術だけの呪いでも人々は嬉しがる人より上のチカラを持ちたくて

それを断ると人々を待ち受けるのは死だけである。

魔神なら断れば確実に殺される。

王という人間だとしても竜国の王ならば限り殺していくのだろう。

どうせなら、幸せに葬ってあげるんだ。じわじわとした痛みを与えずに一気にこの剣を振り下ろしてっ!


ザジャクッッッ


男の頭が宙に高く飛ぶ 音にもならない不協和音で彼女は我を取り戻す

「ああ、 あぁぁぁぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁああああぁぁぁぁ!!!!!」

何も言葉として口から出せない。音として叫ぶことしかできない。

彼女の真っ白なドレスはどす黒い赤に染まる

剣は指輪になって彼女の指に戻る。何事もなかったように。

少女は声が出なくなるまで叫んで気づいた自分のした事を。


「嫌ぁあああぁぁぁぁああぁぁあああああぁぁぁぁぁぁぁあああぁああああああっ」


少女はまた声が出なくなるまで泣き叫んだ。

少年は...........ただ...そ.こ.......で...




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