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色々、書きたいから。  作者: 呪理阿
おとーさんが語るお話 シリーズ 【ギャグ】
10/24

シンデレラ

四人兄妹の末っ子、光に頼まれたらおとーさんは断れない? 眠いけど結局シンデレラを話す羽目になりました。「どうしてうちの娘は『尾も白い』で納得してくれないんだろう……」とはおとーさんの言葉。そんな話で満足する子供がどこに居る。


「お父さん~。お話して~」

「ごめん、今日は眠い……」

「私が眠れないの~」

 おとーさんは関係ないぞ?

 名も無き父だ。最近娘に名前何だっけと聞かれて凄く傷ついた哀れな父親だ。

 誰か慰めて!

「お父さん~」

「うん……お姉ちゃんとお兄ちゃんがまだ遊んでるから混ざっておいで」

『ぶくぶく』とか『深爪ぇ~』とか聞こえてくるからきっと、娘が息子『で』遊んでるんだろうなぁ。おとーさんも混ぜろ。あぁでも眠い。仕事疲れた。

「それは明日にとっとくの~。お話~!」

 むむ……仕方がない。

 昔々、あるところに。白い犬が居ました。

「その犬は尻尾も白いので尾も白い~、なんてつまらない話は止めてよ~?」

 ちぃ。

 昔々、ヨーロッパのどこか。

 お金持ちのお父さんと、その娘がおりました。

 ある日、お母さんを亡くした娘の所に、新しいお母さんと、二人のお姉さんがやってきました。

「シンデレラだね~」

 その新しいお母さんは、安っぽい服を好み、ヘルスィーな料理を好み、家政婦さんを皆辞めさせて家事を自分でやりました。

「全然違うね~」

 お父さんは、いい妻だとかなんとか言って、しばらくしてぽっくり逝ってしまいました。

「なんとかの部分には何が入るの~?」

 ご自由にお考えください。

 お父さんの葬式の後。

 とても悲しんだ新しいお母さんは、貯め込んだ金を急に使い始めました。

「悲しんでるの~?」

 娘は、三人の世話をする羽目になってしまうのでした……ぐぅ。

「お父さん~。続き~!」

 あぅ。

 ある日、家に四枚の招待状が届きました。

『王子の妃を選ぶんだってよ。ん、興味ねぇ。っつかめんどくせぇ』

『わー、あたしってばえらばれちゃったらどーしよー。どーもしないけどー。行く気もしないけどー』

『私だってまだまだ若いのよ……二児の母だからって……負けないわよっ! あぁあなた、見守っていてね!』

『ふむ……王子の妃、という事は未来の王妃? 一生楽して暮らせる? おぉおおおお、すげぇええええええ!』

 上から、長女、次女、母、娘(一応シンデレラ)です。

「……あのね~。上から純お兄ちゃん、お姉ちゃん、シンデレラのお母さん? 岳お兄ちゃんみたいな言い方だったんだけど~」

 気のせいだ。

「そうかな~?」

 気のせいなの。

 三日後、お城で舞踏会が開かれました。

『さぁ! 行きますわよ!』 

『ん、めんどくせぇから行かねぇ』

『またあなたはそんなこと言って! 立派な貴婦人になれませんわよ!?』

『なりたくねぇ』

『なんてこと! あぁ、なんてことでしょう! 紙よ!』

 新しいお母さんは泣きながら、丸めた紙に叫びます。

「……紙~?」

 そこはスルーの方向で。

『じゃ、あたしも行かない。舞踏会とかつまんない。人ごみイヤ』

『あぁああああ! なんてことでしょう! 二人目の娘まで! 背に腹は変えられませんわ! シンデレラ!』

 新しいお母さんは半狂乱になりながらシンデレラを呼びます。

『準備OK! いつでも行けるぜっ!』

 シンデレラはリュックを背負い直し、真っ白な歯をきらーん☆ と光らせます。

「誰~? なぜにリュック~?」

『腕が自由だから、いくらでも食えるぜ! 腹も減った! 行くぜ母さん!』

 さて、シンデレラは何のための舞踏会か分かっているのでしょうか?

「わかってな~い~」

 お城に着くと、

「魔法使い出番なかったね~」

 皆がダンスしている中、一人ガツガツとたっかい料理を食べているシンデレラが居ました。

「見てて痛いね~」

 そんな、自分の妃の座をどうでもいいことのように食べ続ける彼女に、王子は嬉しくなりました。

 そして、

『お嬢さん、一曲お相手願えますか~?』

「私口調~?」

 軽く後ろでまとめられた黒髪が、無駄にさらさらと音を立てます。

「無駄にって言わないでよ~」

 イケメンは嫌いだ。

「純お兄ちゃんは~?」

 好青年風のイケメンは嫌いだ。

「……続きは~?」

 シンデレラは、

『今んぐんぐ、オレ忙しんだよあむあむ。ほら、相手なら母さんにしてもらあむむぐっ』

 しかし、その新しいお母さんはちょうどトイレに行っていたのでした。

「何してるのお母さん~」

『ほら、そんなこと言わずに~。私と踊りましょうよ~』

 シンデレラは逃げました。

「ダメでしょ~」

 ブドウを食べながら、まずはシャンデリアの上にガシャン!

「跳躍力凄い~」

 続いてどこぞの伯爵の太ったお腹でぼよんっ!

「そのお腹はトランポリン~?」

 最後には王子様へ愛のキーック!

「王子様かわいそ~。愛の無いキックの間違いじゃないかな~」

 そして、シンデレラは残った料理を大きなランチボックスに詰め込んで、帰りました。

「意地汚いな~」

『にーちゃん! ねーちゃん!』

「もうモロにお兄ちゃん達じゃない~」

『おぉっ! こんなにいっぱい持って帰ってきたの!?』

『でかした』

 女の子のくせにズボンばっかりはいている長女はぱくぱくと。

 シャツを出して着ているだらしない長男は本を読みながら。

 そしてシンデレラは第二弾を取りに行く間にもぐもぐと。

 三人はお腹一杯、美味しい料理を食べたのでした。

 おしまい。

「えっとね~。言いたいことがたくさんあるの~。

 1、お母さんどうしたの~?

 2、性別最初と最後で変わってるよ~。

 3、私は蹴られて終わりってどうなの~?」

「1.お母さんは無事、王子様と結ばれました。

 2、子どもたちネタは途中で思いついたんだから仕方ない。

 3、光は蹴られたんじゃない。光は……ほら! ランチボックスだ! 大活躍!」

 そしておとーさんは殴られましたとさ。痛い。

ちなみに没ネタ、ツンデレラの言葉。「べ、別に王子と結婚なんかしたくないんだからねっ!」内容が思いつかなくて没にしたんじゃないんだからねっ!

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