第4話:禁断の食材を求めて
「よし……行こう!」
私は封印の書をしっかりと握りしめ、神殿を後にした。
手に入れるべき食材は三つ——
冥府の黒バンズ(冥界の門を支配するネクロマンサーから) 奈落の黄金チーズ(地底深くに眠る伝説の黄金牛の乳から) 呪われし漆黒牛のパティ(魔王城に封印されてる)
どれも簡単に手に入るものではない。しかし、姫を救うためにはこの禁断のハンバーガーを作るしかないのだ。お腹がなる。
最初に向かったのは、冥府の門。
地図によると、王国の北東に位置する死者の谷の奥深くにあるという。そこは、死者の魂がさまよう恐ろしい場所だった。
「うわ……雰囲気ありすぎでしょ……」
谷を進むにつれ、辺りは次第に霧が濃くなり、ひんやりとした空気が肌にまとわりつく。やがて、巨大な石造りの門が見えてきた。
しかし、その前には一人の男が立っていた。
「……待っていたぞ」
黒いローブをまとい、手には不気味な杖を握る男。周囲には無数の骸骨兵士が並んでいる。
「あなたが……冥府の門を支配するネクロマンサー?」
「その通り。そして、貴様はここで終わることになる」
男が杖を振るうと、骸骨兵士たちが一斉に動き出した。
「やるしかないか……!」
私はスキル《神聖ハンバーガー創造》を発動!
「食らえ! 【ガーリックダブルチーズバーガー】!」
目の前に出現したのは、ガーリックの香ばしい香りが立ち込めるチーズバーガー。
私はそれを骸骨兵士たちに投げつけた。
「ギャアアア!!?」
ガーリックの香りが広がると、骸骨たちは一瞬で崩れ落ちていく。
「くっ……!」
ネクロマンサーが歯ぎしりする。
「……ならば、これを喰らえ!」
彼は呪文を詠唱し、巨大な闇の魔力を放つ。しかし——
「そんな攻撃、通じないよ! 【聖なるベーコンエッグバーガー】!!」
ゴォォォォォッ!!
瞬間、聖なる光が私の体を包み、闇の魔力をかき消していく。
「ば、馬鹿な……!?」
「終わりだよ……!」
私はネクロマンサーの懐に飛び込み、渾身の一撃を叩き込んだ。
ドゴォォォン!!
ネクロマンサーは吹き飛ばされ、そのまま崩れ落ちる。
彼のローブの下から、一対の黒いバンズが転がり出た。
「これが……冥府の黒バンズ!腐ってないよね………」
次に向かったのは、闇の大陸の地下深くに広がる奈落の洞窟。
「ふぅ……やっと着いた……」
洞窟の奥には、金色に輝く巨大な牛がいた。
「これが……伝説の黄金牛!?」
その体はまるで金属のように硬そうだ。しかし、どうやってミルクをもらえばいいのか……?
その時、私はあることを思い出した。
「牛には、甘いものが好きな個体が多い……!」
そこで、スキルを発動。
「【キャラメルミルクバーガー】!」
甘く香ばしいキャラメルソースがかかったバーガーが出現。それをそっと黄金牛の前に差し出すと——
「モォォォ……」
牛は満足そうにバーガーを食べ、次の瞬間、体が絞られ黄金色のミルクを流し始めた。
「やった……! これでチーズが作れる!」
私は急いでミルクを瓶に詰め、洞窟を後にした。
最後の目的地は、魔王城。
ここには、呪われし漆黒牛のパティが眠っているはずだった。
私は城の門を開け、中へ進む。
「……暗いし、不気味すぎる」
やがて、奥の広間にたどり着くと——
「フン……ここまで来るとはな」
黒いマントをまとった男が、王座に座っていた。
「貴様が魔王か」
「そうだ。そして貴様は、この城に何をしに来た?」
「決まってる。お前の肉をもらいに来たんだよ!」
魔王の表情がピクリと動いた。
「……肉だと?」
「そう。お前の肉を使って、最高のハンバーガーを作る!」
「フハハハハ! 貴様、正気か!? 我を倒すだと!?」
「だって、先に女神様にも頼まれてたし!」
魔王はしばし沈黙した後、口元を歪ませて笑った。
「面白い……ならば、やってみろ!」
「一撃で終わらせてやるダークネス・テンペスト!!」
次の瞬間、魔王が闇の最強魔法を放つ!
ドゴゴゴゴッ!
「くっ……ならば! 【プレミアムビーフバーガー】!!」
私は巨大なビーフバーガーを魔王にぶつける!
ドゴォォォン!!
魔王は衝撃で壁に叩きつけられ、動かなくなった。
「これで終わり……?」
魔王の体から、黒く輝く肉が浮かび上がる。それを手に取り、私はこう呟いた。
——呪われし漆黒牛のパティ、ゲット!
ついに、禁断のハンバーガーが……!
「……これで、全部揃った!」
私は食材を並べ、封印の書を開く。
慎重にバンズを焼き、黄金チーズをとろけさせ、漆黒牛のパティを焼き上げる。そして、すべてを丁寧に挟み込み——
「完成……!」