5/5
3.5話
男はビルの屋上でライフルを横に置いてひっくり返っている。
ザザッ──
砂嵐ばかりを流していた無線機が音を拾い始める。
「こ…は、きん…応答せ…」
そばにいた持ち主は無線機を拾い上げダイヤルを回し、周波数を合わせようと試みる。
ガガッ
「こちらはキング、オウル応答せよ。」
と男の声が鮮明に聞こえるようになる。
「こちら、オウル。状況は?」
「連中はわざわざ潰しに来てくれるらしい。配置に着いてくれ。」
「了解、ジョーカーはどうなりました?」
「想定より多少少ない程度だ、ある程度見たが量が減った分若干脆くなってると見て構わん。まぁ、メーカーは少なくなった分質の方を上げてくれるそうだ。」
「なるほど、そこは感謝しなければですね。では」
「はいよ」
と言い若い男─キングの声が砂嵐の中に消えていく。
「さて、今回はどんな想定外が起こりますかね?」
つぶやきつつオウルは伏せの体勢に切り替え、ライフルを構える。