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1話目

錆びついて間もない扉を軋ませ老人がそこに入ってくる。

「だが子供にしてはいささか強すぎるな、、ということはお前は俺と同族か?」

子供は軽く首をかしげ、その後軽く縦にふった。

「そんな年で貰い物とは、、つくづく運がないものよなぁ、、お前は」

子供が老人に近づき扉から淡く漏れだす光に照らされる。

子供は、、少年だった。彼は10より少し上のような体躯をしており、顔や体の至るところに血を浴びていた。

「今回はここまでとしてうちへおいで」

と言う老人の声を聞き少年は頷いたかと思うとすぐさま踵を返し、ある方向へと向かっていく。

「うぁぁぁあ!やめ、、やめろ、!」

と少年が向かったほうから絶叫が飛び出る。

「彼は何を貰ったのでしょうね…」

と老人は呟きゆっくりと扉をあけ外に出る。

外には、、銃を緊張した面持ちで構える男が手の指ほどいた。だが彼らの一人足りとも老人がでてきたことには気づかない。

自分の目の前に立たれているのにも関わらず。

老人はゆっくりと足を踏み出し足元に落ちていた小石を拾い上げると、包囲している男たちの後ろに放り投げる。

コツン

と僅かな音がたった瞬間、爆発的に閃光と爆音が発生する。

そして石が落ちた所は黒焦げになり舗装の為に敷かれたアスファルトを僅かばかりえぐりとばしていた。

音がした瞬間に反応し正確に同じ場所を撃ち抜くという神業に等しい行為を行った男達は、元の位置を捕捉し直すという簡単なことができなかった。

「さて、準備は整ったようですし…行くか。」

と老人の声で扉の陰から少年が出てくる。

二人はジャクジャクと雪を踏むような音をたてながら倉庫から離れる。

彼らが通った道には赤い足跡が残っていたが彼らの他にそれを目にできるものは居なかった。

山の中腹辺りの家で一つのものが消し去られていく。

「じいちゃんが死んだ」

祖父に育てられたはずの彼は淡々と電話で告げる。

「何か分かった事は?」

「昔の事は分からなかったがじいちゃんに拾われた事は確かだ、そこから記憶がしっかりしてる。それで?看取った後は何をするんだ?」

と彼は電話の向こうに問う。

問われた側はこの話題に来るのが嫌だ、という口調で告げる。

「帰ってこいってさ、米倉。」

「わかった。」

これまた淡々とした返事を寄越した後、すぐさま電話を切り支度を済ませ玄関に放っておいたバックをとり、彼─米倉誠二は扉を蹴破る勢いで開けそとに出る。

実際、扉は勢いでひしゃげ、閉じなくなってしまったが。

誠二が外に出た瞬間眉間の少し手前で釘のようなものが静止する。が瞬く間に突風によって潰され小さな鉄塊になって道に向けて転がっていく。

「またかよ…」と誠二はたいした事もなかったかのように家に向け何時もの言葉を口にする、ただ今回は意味が違ったが。

「いってくるよ、じいちゃん」

そして、また釘のようなものが飛来するがそこにはもう誠二は居なかった。

「目標、消失」

「了解、直ちに熱源探知機で目標を──」

といきなり無線が悪くなったのに気がついた男たちは慌て始める。

「司令部─?司令部!応答せ!…は?」

「全く…人を殺るときには一撃で仕留めないと、二撃目が来るとは限らないんだよ?どんなことも。」

男たちが声を聞き振り向くと…

どこにでもありそうなターミナル駅から出てきた軽装の男─誠二が柱に寄りかかっている男に声をかける。

「よぉ、くずしろ。元気してたか?」

「くずしろじゃないかつらぎだといったら何時分かるんだ。」

「まぁどっちでも読めるじゃん」

と誠二はゆったりとした雰囲気だが向こうの機嫌は明らかにわるいようだった。

「んで?こっちきたけど、、どしたん?何かあった?」

と顔面蒼白な待合人─葛城昇平に声をかける。

「あぁ…お前気付いたか?」

「狙われてるのに?」

と深刻そうに切り出した葛城にたいして米倉はけろっとしたように返答する。

「お前、よく生きてこれたな…」

「そらまぁ?よくも悪くも貰い物がありましてね~」

「いいなぁ、俺も…してみたくはないか敵陣への単騎突入なんて事は。」

と世間話のように話しているが、葛城はその出来事を二度と起こしたくないと願っており、米倉はまたいつかやりたいと思っていることである。

その内容は、高性能爆薬を保有した組織の壊滅、及び高性能爆薬の奪取。

もちろん、生存確率はそれほど低くなかったが戦場には予想外がつきものだった。

老人は頭をかきながらクレーターの中心部で胡座をかいていた。

「まさかこんなにも凄いことになるとはなぁ…」

そういう老人の前には爆発で寸断された水道管がチョロチョロと悲しそうに水を流していた。

足元では栓をされ何も出すものがなくなったガス管と先程まで電線から激しく飛ばされていた火花が静かになっていた。そこからみるに、水道管のほうも止められたのであろう。

その時クレーターの縁に影が立ち止まる。その影は砂埃が開けるや否や声をかける。

「よぉ、じいさん。」

「なんだお前か。老いぼれはどうしたんだ?」

と二人とも世間話をするように軽い口調で話す。

「じいちゃんならちと前に逝ったぜ?」

「あいつより後に俺が逝くたぁな…」

「んじゃ、とっとと追っかけてくれない?梅原のじいさん?」

米倉は軽い口調で宣戦布告をし、梅原と呼ばれた老人─梅原龍三は孫を見るように優しい表情で宣戦布告の返しをする。

「おう、そうだな若造。だがその前にお前に引導を渡してからな。」

その言葉を聞くや否やクレーターの縁から拳が落下してくる。

米倉の顔には余裕の笑み…勝利を確信した笑みが浮かぶ。

「全くあいつは…心の持ちようによっては形勢がひっくり返ることを教えてないのか…?」

梅原の顔には余裕がない。ましてや僅かばかりの慢心さえも。

米倉の拳が梅原の顔面を捉える数瞬前…梅原の腰から鈍く光るものが見える。

「────ッ!」

それどころか相手は居合いの構えをとっている。

(冗談じゃ…ないっ!)

米倉は空中で急制動をかけ、曲芸さながら反転し刃を避けようとする。

が、慢心せずして放たれた斬撃は胸板を浅く、だがしっかりと切り裂いていく。

「チッ!」

米倉はそのまま梅原の後ろに着地する。

「高さの利を捨てる行為をしたお前は馬鹿だが…先刻の回避はよかったぞ?練習した甲斐があったな。」

と梅原は弟子を誉めるように話す。

「因みに慢心は死への近道と教えたのは覚えているか?」

「…忘れた。」

梅原からの問いに半ば即答の米倉である。

「はぁ…あいつに非はないということか…」

梅原は心の中で頭を抱え友人を少しでも疑った自分を恥じた。猛烈に恥じた。だが梅田は恥じただけではなかった。嬉しかったのだ、勝手に引き取っていたとはいえ友人の子供にもう一度教えを授ける事が出来そうな事に。

「さて…授業の再開だが…文句は?」

「ある」

これまた即答である。

胸を裂かれ血液が少量ばかりとはいえ流している身である。その事に触れるかと思った梅原は自分が少し見当違いの予想をしていたことに気付くことになった。

「お前の授業は既に終わってるんだよ。因みに補習は受けないぜ?痛いんでな。」

と少し息が乱れた様子で米倉は言う。

梅原は目を見開いたあと口角を上げながらいい放つ。

「なら逃げきるか、倒しきってみせろぉ!」

というやいなや梅原は空中にリボルバーを顕現させる。

米倉は地面を踏み込む。

握ると同時にトリガーに指をかける。

足に力を集中させる。

音速に達する速さで鉄の塊が飛翔し、それを避けるべく、人形は跳躍する。

ターン

軽いが腹に響くような音が街に響く。

クレーターの壁面には血のついた弾丸が突き刺さり、道路の上に米倉が転がる。

「さて…補習の終了を知らせに行くとしようか。」

と梅原はクレーターをよっこらせと登るが、路上には血痕があるばかりで当の本人の影も姿もなかった。

「こればっかりは…やられた」

と梅原は補習から逃げ切られた教師のような渋い顔をし、そのまま悠々とその場を去っていった。

同時刻─某所


等身大より一回り大きい円筒に挟まれた通路を一人の男が駆ける。男は歴戦の諜報員である。


今回も情報を録画したものを納めに帰還するところだった。だが後少しのところで敵に発見され能力を行使した逃走を図る。


男の顔には余裕はなく、恐怖で顔がひきつり息は既に切れていた。だが止まることは許されない。死の気配が急速に接近する。


(タイミングが悪いと死ぬのか…この世界は)


と理不尽なこの状況に絶望する。出口の扉が見える。唯一ここに通じる隠し通路、開ければ気配は霧散するだろうかと考えた男は生き残り逃げ切るという活路を見据え恐怖を背負いながら走る。だが─


ドサッ


踏み出した足の感覚がいきなり消失し、男は前方に転がる。


(コードの類いは引かれてなかったはず)


と思い足の方を見る。そして…自分の身に起こった事を理解した。そして同時にそれを考えた人間を称賛し残った時間で最後の言葉を紡ぐ。


「ここまで潜れるとはねぇ…」


断裁の音が弾ける。

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