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4歩目

人の往来の多い通りでその蛮行が始まってしまった。


「ねーねーお嬢ちゃん俺らとパーティ組まない?美人さん1人いるとやる気出るって言うか百人力?そこの男子君より調子出しちゃうよ?」


ナンパだ。すごく間男みたいないい加減さを醸し出している。 後ろにもう1人いるがものすごく困った顔をしている。名前はイエローマーカー、嫌な予感がする。


「ねーねーいいじゃん、少しくらいさ。君みたいな子と遊べたらもっと楽しくなると思うんだよねぇ。ポーションとか出すからさ、冒険出てみない?」


「お嬢ちゃん?お嬢ちゃんだって〜カイト、私女の子に見られてるのかな!?こんな古典的な人初めて見た!?ついて行ったらどうなるのかな!?どう思う?」


笑顔だ。それに話を聞いていない。満面の笑みでチャラ男が黙ってしまった。


すみません. うちの子が大変申し訳なく、はい、そちらのシュンさんとコーダイさん……ですね。それでどうしてこんなことに、はい。初めてのゲームで気分が高揚して、はい。アヤメさんや期待した表情で何を見ているんですか?


「ロールプレイだよ!ロールプレイ!」


アヤメさんやキャーとか言わないの。


最悪なことに、段々と何をやっているのかと、周りの注目を集め始めてしまった。1部のプレイヤーは、またか、というようにそっぽ向く者、ニヤニヤしながら様子を伺う者までいる。


絶対に言いたくない。何を目的にしてる人達に絡まれたかわかってしまった。こんな状態で、俺の女に手を出すなとか言ってみろ、共感性羞恥で死ねる。


「知るかっ行くよ」


アヤメの手を取って、すぐにその場から離れようとする。なんかニアミスした気がするが、この場にいてたまるか。


「そうはいかねぇな。隣に立つのは強い男って相場が決まってるんだよ。デュエルを申し込む。」


その言葉に、アヤメが立ち止まる。止まったせいで、俺はその話に耳を傾けてしまった体制になってしまった。


「威勢がいいな。女の子の前で格好つけたくなったか?いいぜ、目にものを見せてやる。」


違います。俺は受けようとは思ってません。


次の言葉を考えているうちに周りも物見客のように円を作り始めた。これでは逃げられないじゃないか。


「カイト、頑張ってね!」


身体動かすのも初心者なのにどうすんだよ。イタズラっぽく笑っても今回は許さんぞ。


半ば恨みを込めながらシュンからのデュエルを受ける。ルールはシンプル、体力の全損または5割未満での降参が勝者の有無を決める。


インベントリからショートソードを1本取り出し手で持つ。対するシュンはカットラスを取り出す。


空中で3のカウントダウンが始まり、心臓が早鐘を打つ。1が消えると同時に踏み込む。


右から切り払うと見せかけて、投げる。虚をついた動作は相手に数秒の硬直をうむ。そして避けられたところで、さらに飛び上がる。【念動力】で引き戻した剣を空中で掴み取り振り下ろす。


大上段からのジャンプ切り、これまた避けられたがそのまま切り上げる。カットラスで受け止められる。すると蹴りが飛び込んできたので身体で受ける。


転がりつつショートソードを投げたのが当たった。相手は剣を失った俺に走り込んでくる。すかさず【念動力】で背後から刺した。


5割削れた時点で相手が降参。ほんの少し会場が湧いてデュエルはひとまず終了した。


「あんちゃんやるじゃん?よっぽど嬢ちゃんのことが大事ととみたぜ。」


ちょっとアヤメさん嬉しそうにするでない。なんか気恥ずかしい。……恥ずかしいなんて気持ちどうして抱いているんだ?別に堂々としてればいいか。


さぁ次は誰だ?なんて言い出すナンパ師。本当にただ巻き込まれただけらしい。いい迷惑だ。祭りみたいだねぇとアヤメが言っているだけマシか……ノリがいいのかろくでもないのか。


アヤメがデュエルを申し込んできた。


いいえを押す。


こやつは何を考えているのだろうか。


「カイトに勝てたらこの場での最強は私だろう?やっぱりいちばんは目指したいじゃないか。」


思考が残念だった。なんだか髪の毛をもしゃもしゃしてやりたい気分になった。結構内心大変だったんだぞ?


劇場型PKとも言うべき犯行。ちょっとウンザリしたのはここだけの秘密。そのうち巧妙化するのかね。


そんなことをブツブツと独りごちているとアヤメが次のデュエルの試合を眺め始めている。出ないのか聞いたところ、それよりお腹が空いてしまったとのこと。腹ぺこめ。


そういえば夕飯時で別れるのだった。なんだかこのまま別れるのも名残惜しい気がする。


「次、いつ遊ぶ?」


思わず口が開いていた。その言葉は意外だったようで、キョトンとした拍子抜けしたような顔を晒している。


「フレ欄で見かけたら会いに行く。そんな感じでもいいかな?ずっと初心者装備ってのもアレな気がするし、ちょっと自分でこの世界を楽しみたいというか。」


ちょっと意外な答えだった。てっきりまた明日にでも、みたいに返ってくるかと思っていた。


「という訳で、会えたらまた明日!!」


おう、俺は明日もログインするつもりだ。


……なんだか距離感が掴めない。


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