人生の転機
俺、悠太は仕事ができないらしかった。
いい大学は出たつもりだった。でもやはり勉強だけでは人生はなんとかならないことを思い知らされた。大学卒業後、特に夢もなかったので内定をもらった会社のうち楽そうなものを選んだ。実際に会社で働いてみると何も出来ないやつだと上司から言われた。面倒くさかったしあまり人と話すことが好きではなかったので飲み会にもいかなかった結果、同僚からも距離を置かれていたと今になって思う。他の人だと飲み会だけでは嫌われないだろうからもっと別の理由があったんだろうな。もうこんな考えことは時間の無駄だ。だってもう仕事をクビにされてからもう一ヶ月経つのだから。
俺は仕事をクビにされてから他の仕事を探すわけでもなくただただ日々を過ごした。もうお金が底をつきそうだ。どうしよう、実家に戻ろうか。いい大学に行って就職し仕事、人間関係どちらもボロボロ。そのまま就いた仕事をクビにされちゃったから実家に戻りたいといえるだろうか。少なくとも俺は言いたくなかった。俺にだってプライドはある。そんなことを考えていたらさらに時が経ってしまっていて、ついにもう家賃が払えなくなってしまった。
結局いろいろ考えて公園でホームレスをすることにした。考えた中で一番お金がかからないし何より人に関わらないでいい。ホームレスを始めてよかったと思える理由が一つだけある毎日可愛い女の子が夕方くらいからずっと来るようになったのだ。おそらく高校生くらいだろう。髪は肩まで伸びていてモデルといわれても納得してしまうような容姿だった。元々使用者が少ないこの公園に人がいることがなぜかうれしく思えた。でも直接かかわりはしない。見ているだけでいいと思った。もし声をかけたらここの公園に来てくれなくなるんじゃないかと思うと声をかけるのが怖かった。
その女の子が公園に来るようになってからある程度たち始めて雨が降った。しかも大雨。流石に今日は女の子は来ないだろう。もし今日来たら余程のここの公園が好きなのだろう。そう思っていたら来たのだ。例の女の子が、しかも傘なしで。そのまま何のためらいもなくベンチに座った。意味が分からなかった。女子高生がわざわざ大雨の日に傘なしでここの公園にきた意味が。
知りたくなった。この公園に毎日来る意味を、大雨の中傘をささない意味を。気付いたら俺は女の子の目の前にいた、そして尋ねた。
「おい、なんで雨んなかこの公園にわざわざ濡れにきてんだよ」
「帰る場所がないの。私はいらない子なの」