ライフパッケージ
鍵を開ける。オートロック、生体認証。万一のときは、マイナンバーを入力すればいい。冷蔵庫から、ノンアルコールビールを取り出し、栓を開ける。ひと息ついて、宅配ボックスを確認する。頼んでおいた本が入っている。台所に立ち、夕飯を作る。コンソメひとつあれば、簡単にスープができる。カット野菜と肉を取り出す。形の悪い商品などであれば、安く済む。食べるには問題ない。料理をふるまうわけでないから、気にしなくてもいい。ディスプレイを点け、音楽をかける。最新の楽曲は聞けないが、それでも満足している。スープに火が通るのをゆっくり待つとする。
全て、会費を払ってのサービスだ。支払いは四半期ごとになる。家計簿の管理もラクで、どのサービスに加入しているか目録を作るとだいたい明らかになる。使用に応じて料金を支払うサービスもあるが、だいたいが会費のみのサービスだ。
企業は計画を立てやすい。会員の情報を整理すれば、収入の見込みが立つからだ。
食料は、移動スーパーが流行っていた時期があったが、今では、全くサブスクサービスにとってかわられた。私は、格安の野菜、魚、肉を届けてもらっている。注文しておけば、もよりの施設、かつてスーパーと呼ばれた施設に保存され、配達を頼めば、自宅まで届けてくれる。
家具も、サブスクである。単身者コンパクトサイズの家具を借りることができる。格安サービスだと、自分で組み立てることになる。壊れたときには、サービス提供者に連絡すると、別の家具を持ってきてくれる。すぐにとはいかないが、翌日にはだいたい持ってきてくれる。引っ越しもラクで、こだわりがなければ、別の家具を注文し、引っ越し先に届けてもらうよう連絡する。
サブスク文化が普及してから、すっかり消費が変わった。借りて、返して、修理、再利用。持続可能な社会にだいぶ近づいたのではないか、などと、いう未来の妄想をしている。これは、そういう思い付きの文章だ。ここまでの文で、誤解した人もいるかもしれないが、ファクトチェックをお願いする。これだけサブスクが発展していると、会員、先払い、なんてところから、ちょっと夢想したくなった。
なんでも、サブスクになったとしたら、だからといって、コンビニなどの店舗がまるっきり消え去るわけではないだろう。これは現在もあるところで、外食産業にもサブスクという収入形態が存在している。その目でウインドウを見て、商品を選ぶ楽しみも、しっかりと残っている。
今の仕組みは知らないが、ちょっと夢想する。例えば、コンビニでは、会費を払い、購入上限額を設定するのはどうだろう。あらかじめ決められた額の中で、買い物をする。プリペイドと同じ仕組みである。現在だって、チャージして、電子マネーで、支払うことがあるのだから、何も不自然ではないだろう。月毎に、どのくらい買い物をするか、決めておくことになるので、無駄遣いの心配はない。先払いしておくことで、管理も簡単である。もし、上限におさまったら、翌月以降も、その残高から買い物ができる。節約すれば、次の機会に残しておけるし、管理のしやすさから使いすぎの心配もない。
ファッションも、同様の形を考えた。あらかじめ、一定の金額を先払いして、チャージしておく。そこから、引き落とされる仕組みだ。しかし、ものによっては、後払いにもなる。オーダーメイドの商品などは、会員費を支払って注文の権利を買ったあとに、実際に、注文して、作成してもらう。出来上がった商品に対して、かかった費用と、付加価値の代金を支払うことになる。バッグやスーツなど、レディメイドのみでは対応しきれないニーズに対しても、サブスク文化は適応できるだろう。
先払いがほとんどであるので、企業は資本を獲得した上で、生産を行うことができる。それは、資金の制約もあるかもしれないが、何をどれだけ求められるか、その見込みを立てることができるので、より、計画的に資金を管理することができるようになるのではないか。ある程度決まった金額が、定期的に入ってくることは、企業にとって好材料とならないだろうか。
大量消費の社会から、見込まれる消費の規模をあらかじめ知った上で、計画的生産を行う社会へと、変遷していくのではないかと考えたのである。
使わなくても、翌月以降、翌年以降に積み立てられるため、時間をおいて、大きく使うこともできる。例えば、旅行などは、積み立てておいて、その金額に応じてプランを立てることもできる。国内でも海外でも、年会費の形で積み立てたものから、サービスの案内、提供を受けることができる。
旅行といった、定期的に行うわけではないものについては、サブスクの形態は向いてないのかもしれない。必要に応じてその都度支払うほうが、消費者としてはイメージしやすい。ただ、企業側としては、安定した収益があることは、計画のたてやすさには繋がるし、それは、不定期さというリスクについて、ヘッジが少なくて済むということだ。
家具のサブスクも、品切れがあるかもしれない。会員に対して1つずつ商品を用意しておくのは、コストがかかる。なるべく少ないコストで多様なサービスを提供するという場合には、選択肢に制限を設けることになる。使いたい家具は、もう使用されていて、新しいものは作るしかない場合がでてくる。ニーズを知った段階で対応すればいいだろうが、それも時と共に移り変わるものである。いざ、作ったからといって、その後使ってもらえるかは、わからない。在庫を埋めるだけとなった商品の行く先はどこなのだろうか。リメイクがより進み、廃材を、少なくすることができれば、ニーズの減ったものを、新しい商品として、売り出すことができる。
ただ、古くなったからこそ、価値がでるものもある。アンティークは、一点モノばかりと言ってもよく、借りるという形なら、次の使用の機会を、考えて使用する、そんなリユースという持続の意識を持った社会になるのではないかと、思う。
また、急な出費のあるものについて、そして、価格の予め設定することの難しいものについては、会員制の先払いは向いてないのかもしれない。
野菜や食肉などの生鮮食品は、生産量を、気候などの予測しづらい現象に頼るところがある。大雨で流されたり、猛暑で枯れてしまったり、予定外のことが起こる。それに対して、どうやって供給量を安定させるか、それには、グローバリゼーションよろしく、サプライチェーンの強さが重要になってくるだろう。輸送の発展があるからこそ、リスクを空間的に分散することが可能となっている。多様な地域特性を活かした生産環境によって、まず、ニーズに合ったサプライを可能とする土台を作ることが前提である。
しかし、国境を越えた交易によって、支えられるということは、地政学的なリスクの増大が考えられる。交易が妨げられることは、即ち、供給の減少と在庫のまま廃棄される不経済へと繋がる。
シェアして、リユース、リサイクル、そんな社会に、サブスクはピッタリなんじゃないか、と、思った。