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07.ステータスオープン!


 「うむ。良かろう、ウチに泊まっていくと良い」


 俺にそう言って笑顔を向けてくれるのは、赤髪のおばあちゃんだ。

 サクヤ嬢に連れてこられたのは、村の中では比較的大きな建物の家で、目の前のおばあちゃんはその家主。今、俺はこの家に泊まる許可を、その家主から貰ったところ──なんだけど、このおばあちゃんも眼光が鋭いのなんの。サクヤ嬢もそうだけどこの世界の女性はみんなこんな感じなの? それともこの二人が特別なだけ?


 でも、ありがたいことには変わりない。軒先を借りられるだけでもラッキーだと思っていたのに、家の中に泊めてくれるらしいのだから。


「ありがとうございます!」


 テーブルの向かい側に座っているおばあちゃん──イズミさん──にしっかり頭を下げて礼を言う俺。

 因みにその隣では、嫌そうな表情のサクヤ嬢がいる。むっちゃこっち見てるわー。

 サクヤ嬢とは反対側、ちょうどイズミおばあちゃんを挟む位置にはラスクさんというブロンドの美人さんが座っている。穏やかな笑顔がとても素敵だ。


「本当にコイツを泊めるの? おばあちゃん」

「これ、失礼な言い方をするんじゃないよ。すまないねぇ、少し前に盗賊騒ぎがあってから、サクヤも子供たちも、外から来た人にあんまり良い印象を持ってないんだよ」

「いえいえ、気にしないでください。素性が知れない以上、簡単に信用できないというは当然だと思いますから」


 盗賊騒ぎか。警察的な組織がどれくらい機能してるのか分からないけど、物騒だなぁ。


 イズミおばあちゃんが、ちらりとラスクさんを見た。その視線に気づいたラスクさんが、こくりと頷く。


「大丈夫、問題ないよ。ま、見ての通り何も無い村だけど、ゆっくりしておいき」


 そう言って、イズミおばあちゃんは笑みを深めた。



  ◇◇◇



 おばあちゃんの鶴の一声で宿泊権を得た俺。

 ちゃっかり夕食も一緒に頂いたんだけど、その時初めて気づいたんだ。


 ここ、孤児院みたいな場所らしい。


 サクヤ嬢も、マサキ少年も、その他にも少年少女が三人いたんだけど、みんな孤児。イズミおばあさんが引き取って面倒を見てるんだって。イズミおばあちゃんは年寄りの道楽だって言ってたけど、立派なことだと思うよ。本当に。

 この家に住んでいるみんなに血の繋がりは無いらしいけど、家族以上に家族らしい絆で結ばれた素敵な家庭だと思った。

 家族にも勝る絆があるから、最年長のサクヤ嬢(おねえさん)が、マサキ少年(おとうと)達の為に俺に強く当たってたんだろうね。


 そんなイズミおばあさんの家の、丁度空いているという部屋を借りた俺。

 調度品は殆ど無く、物置のように使われていた部屋だけど、最低限の掃除をしてくれたのか、寝るには十分な部屋だった。

 ベッドなんて立派なものは無いけど、板の上に薄いマットを敷いて、その上に掛ける毛布を2枚ほど貸してもらえた。


 部屋をテラス明かりはオイルランプが一つ。

 外はもう夜で、街灯なんてものも無い夜だから、本当に真っ暗。オイルランプ一つじゃ正直明るさが足りないけど、それは贅沢と言うものだろう。


『異世界生活初日から、結構波乱尽くめだったんじゃない?』


 それな。

 でも、こうして雨風凌げる場所で眠れるだけでも十分だよ。ナギやナミ、カネリンには色々良くしてもらってるけど、この世界のコミュニティにはなんの伝手も無いんだから。


『それもそっか。──これからアキトはどうするつもり?』


 んー、まだ具体的な目的が無いから成り行き任せになっちゃうかなぁ。大きな街を目指してみてもいいけど、それよりもまず、一宿一飯の恩は返さないとだし。

 こうやって人は流されていくのですよ。

 でも、今回の一宿一飯の恩は大きいからね。ガチの宿無し根無し草なんだから。場合によっては路地裏暮らしまっしぐらだからね。


 だから、今の俺に何ができるのかを確認しないと。恩返しするのなら、俺にできることやできないことを把握しないと。

 そう、ステータスチェックだね。何だかんだ今までゆっくりと見る暇がなかったんだよ。常に周りに誰かがいたから、何となく躊躇われたんだ。


 そして、ようやく落ち着いて見たステータス画面がこちら。


=====================

【名前】 アキト 【年齢】 6歳

【格】  5

【種族】 人族+

【身長】 175cm 【体重】 59Kg

【状態】 良好

【総合戦闘力】 3578


【筋力】30 【体格】25

【敏捷】35 【器用】33

【魔力】24 【知能】51


【スキル】

開発Lv5、翻訳Lv4、鑑定Lv2


【特性】

神族神霊の友

全状態異常耐性、物理耐性、魔法耐性、痛覚耐性


【加護】

創世神の加護(真)

知識神の加護(特)


【称号】

創世神のパパ:僕たちの助けが必要な時は呼んでね! ……必要じゃなくても呼んでいいよ。

カネリンの相棒:いつでも一緒だよ!


D>

=====================


「俺、6歳なの?!」


 色々思うところはあるけれど、まずそこが気になった。


『あ~、そうなっちゃうんだねw』


 カネリン、草生やしながら言うんじゃないよ。

 でも、この念話みたいな会話でちゃんと『w』が認識できるのってどうしてなんだ?


 ……というか、待てよ? 転生したところからのカウントだと、寧ろ0歳が正解なのでは?


『神界で6年間色んな準備をしたって聞いてるけど、違うの?』


 おう、あの苦行、6年間もやってたのか……。

 ……長すぎじゃね? 全状態異常耐性、物理耐性、魔法耐性、痛覚耐性がそのお陰だとしたらありがたいことではあるけどさ。


『? 痛覚耐性の訓練をしたとは聞いてないけどなぁ』


 ほう。じゃぁ、これはきっと凄く痛かったから勝手に付いたんだろうね! むっちゃ痛かったからね! 俺の努力の賜物だな!



 ……まぁ良いか。

 それにしても、種族が人族ってなってるけど、生まれた時から喋って二足歩行可能な生き物は人じゃ無いだろ。人の定義どうなってんだよ。そのおかしなところが『+』で表現されてるのかな?


『まぁ、生まれは特別だけど、人族として転生してるのは間違いないよ。+表記はイザナギとイザナミにに色々訓練してもらったから付いたんだと思うよ。それにしても、見た目は20歳くらいなのに6歳なんだね~。ウケるw』


 また草ぁぁぁっ!


『そのせいかな、格がもう5もあるね』


 その格ってのも気になってたんだけど、これって何? 【グラウィス】にあったレベルみたいなもの?


『レベルとは違うよ。これは、生物としての存在の位階みたいなものだね。色んな経験をしたり、善行を積んだり、偉業を達成したりすると上がるものだね。あと、悪行でも上がるよ。オススメはしないけど』


 ほほぅ。ちょっと気になりますね。


『神様は、生物全体の格が上がるように望んでるんだ。そうすることで、グラース自体の世界がより繁栄していくし、神様の力自体も上がっていくの。まぁ、普通に生きていくだけだったら格が幾つだろうとあんまり恩恵は無いけどね』


 そうなんだ。

 正直ピンとは来てないけど、色々経験を積めば上がるものだと思っておくよ。


『うん、それくらいで良いと思う』


 えぇと、他の情報も確認しないとね。


 総合戦闘力は若干変わってるけど、森でカネリンに聞いた数字とほぼ同じだから良いか。

 筋力他の数値も出るんだね。これが高いのか低いのか判断ができないけど、知能だけ妙に高いのは何故なんだ?


『グラースに対する理解度が抜群に深いからね。その影響だよ』


 ああ、元になる【グラウィス】を良く知ってるから?


『そそ。今は実感無いかも知れないけど、近いうちに実感できるんじゃないかな。ちなみに、数値は総合戦闘力が3000台の人の中では普通って感じかな。一般人よりはだいぶ強いよ。勿論、上には上がいるけどね』


 オーガを見たことは無いけど、良い勝負できる強さならそんなもんなのかな。

 んで、スキルが3つか。

 鑑定は分かる。森でも使ってたしね。翻訳も何となく分かる。だって、サクヤ嬢やマサキ少年と会話が成り立ってるんだから、その辺の不思議パワーって事だろう。

 でも、開発って何だ?


『何だろうねぇ』


 え、カネリンも分からないの?


『うん。大体のことは分かるけど、このスキルはイザナギとイザナミ由来のスキルだから、私には分からないなぁ』


 そんなこともあるんだ。

 でも、ちょっと気になる言葉だね、そのナギとナミ由来(・・)のスキルって言うのが。


『ふふふ、説明しましょう。グラースにおけるスキルって言うのは、神様や神霊と自我ある存在との絆や努力でできるものなんだ。例えば、戦いを司る神霊がいたとして、その神霊と絆を育み、剣の鍛錬を続けたら剣術スキルを得ることができるって感じだね』


 なるほど?

 じゃぁ、翻訳と鑑定は、カネリン由来のスキルってことかな? カネリン、知識神だもんね。


『正解~! 鑑定はともかく、翻訳は無いと困るでしょ? さっきアキトが気づいた通り、翻訳が無かったらグラースのみんなと意思疎通ができないからね。だから、転生直後に私と縁を繋いだのは、アキトが快適なグラースライフを送るための、イザナギとイザナミの配慮だったんだよ。勿論、私もノリノリでアキトのところに来たんだけどね』


 ほほぅ。そんな裏話があったとは。

 でも実際、この配慮はありがたいね。言葉が通じなかったら、ニルギの森でサクヤ嬢に射貫かれてたかも知れないわけだし。早速、命を繋いでくれてるよ。意思疎通は大事です。


 そうなってくると、加護と称号の内容も想像できるなぁ。

 ただ、称号のフレーバーテキスト的なものはどうかとも思うけど。神様なのに威厳が全く感じられないのは大丈夫なのか?


『これが見えるのはアキトだけだから問題無しっ。それに、アキトと私たちは、【グラウィス】の時からこんな感じだったじゃない?』


 確かに。

 まぁ、あの時は神様じゃなかったけどね、みんな。


『神様になったからって、そんなに変わらないよ。アキトだって転生したからって変わってないでしょ?』


 それもそうか。

 俺としてはみんなと一緒にこの世界で生きていけるのは夢みたいな話だから、ウェルカムだ。細かいことは気にしないことにしよう。



 ──そんなこんなで、ステータス画面は一通り確認したわけだけども。


 気になるよね『D>』

 何なんだろうね『D>』

 EOF(End Of File)的な何かなのかな『D>』



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