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満開の桜の下、先生との約束
「このことは絶対に秘密よ。先生とみんなとの約束だからね」
小学校の校庭の片隅、満開の桜の下。担任の先生の言葉に俺たちは真剣な顔で頷いた。
桜の木の根本に空いた大きな穴にクラスのみんなで次々と土を被せていく。いつも煩くて授業中も注意されてばかりだったのにこの時は口を開くものは誰もいなかった。
最後の仕上げに先生がスコップで地面を叩いてならす。その上をみんなで踏んだ。決して掘り返されることがないように、と、祈りながら。
ハラリ、ハラリ……
淡紅色の花弁が音もなく降り積もる。
無言で佇む俺たちに、掘り返して焦げ茶になった地面に、うっすらと微笑みを浮かべる年若い先生に。
誰に聞いたのだろう?
桜の花は本来は白いのだと。その淡紅色は血の色なのだと。
ハラリ、ハラリ……
絶えることなく花弁は降り積もる。
『桜の木の下にはシタイが埋まっている』
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