18.私と姉と久しぶりの再会
今回も含めて残すところ3話となりました・・・
これは、とある金曜日のことである。私が大学から自宅に帰ってくると、そこには普段ならいるはずのない人達の姿があるのだった・・・
「ただいまー」
私は、いつものように帰宅後の言葉を発した。それに対し、
「・・・楓ちゃん、今日もお疲れさま。それと、早くこっちに来てごらんなさい。きっと驚くから・・・」
「わかった。今すぐ行くよ、おばあちゃん・・・」
そう言うと私は、靴を脱ぎ居間の方へと向かった。
・・・・・・
「やあ、楓、久しぶりじゃないか。これまた随分と美女になって・・・」
「ほんとうにね、あなた。こうして楓と再会したのも小学校卒業後くらいから実に約七年ぶりくらいね」
居間へと向かうと、私の前で男女がそんな会話をしていた。私は、自分の目がいかれてしまったのではないか、と思った。だって現在、私の目の前には海外に出張に出かけているはずの私にとって大切な家族の一員である母と父がいるのだから。
普段いるはずのない二人がどうして私の目の前にいるのか、これは夢か幻のどちらかなのかもしれない、そんなことを思った私は、ぐいっ・・・と耳たぶや頬の肉を引っぱってみることにした。
引っぱってみた感想としては、『痛い』のただ一言のみ。したがって、私の目の前で起きている光景は現実のようだ。
「・・・ねぇ、二人って本当に私の母と父?」
「いきなり変なこと聞いてきてどうしたんだ・・・?」
「まるで、私とお父さんが幽霊なんじゃないかってくらい目を丸くしてるけど・・・」
「それは・・・私も本当に母と父って信じたいけど、二人がここにいるはずないもの。だって、私の両親は今ごろも海外で研究してるはずだから・・・」
私は、母と父の二人が現実に私の目の前にいるのかもしれない、とさっきは思ったが急に半信半疑にも思えてきたためそんなことを聞いたのだ。
「楓ちゃん、この二人はね、本当に楓ちゃんと桜輝ちゃんのお父さんとお母さんよ。嘘じゃないわ、この私が保証するわ・・・」
祖母がそう言うと、私の目の前にいる母と父?の二人が、うんうん・・・とでも言うように力強く頷いていた。
(おばあちゃんが嘘なんか吐くはずないものね。だとすると、本当に私の母と父なのよね・・・)
私が、祖母の言葉に対してそんなことを思っていると私の父親らしい男の人が口を開けて、
「まぁ、無理もないよな。だって僕と妻の二人は楓と七年ぶりくらいに会うんだから。僕らが研究にばかり時間を費やしすぎたせいでこうなってるんだし、全然会いに来れなかった僕らが悪いのは明らかなことだよな・・・」
と、独り言を少し大きくしたような声量で言った。その後、私は本当に父と母であるということを確信し父の方を見て、
「二人とも、私、すっごい会いたかったんだよ。七年も自分達の娘のことをほったらかしにしておいてひどいとは思わなかったの?」
今、このときの私の気持ちを、私の本音をぶつけてみた。それに対し、
「いや・・・それはだな、本当にすまないことをしたと思ってるさ。けどな、何年かかってでも絶対に成功させたい研究があったのも事実なんだ。それに、海外のセンター長には研究が落ち着いたら日本で待っている娘達のもとへと帰ってやりなさいって言われてたからすぐさま飛行機のチケットを予約して今日の午後三時くらいに自宅へと戻ってこれたんだよ。」
私の父親である男の人が必死さをアピールするような口調で言った。
「ふーん・・・。じゃあ、その研究とやらが七年経過してやっと終わったってこと?」
「・・・それについては、私から説明させてもらうわね。難題については攻略できたのよ。ただね、まだいくつか別の解決しなきゃいけない問題も残っているの。だから、まだ研究自体は未完成。言い方を変えるのなら、一億個のパズルのピースのうちまだ五〇〇個くらいが行方知らずになってるってことなのよ」
「えっ・・・ってことは、まだ研究全てが終わったわけではないけど、そのうちの難題とかが終わったから自宅のある日本に帰国したってこと?」
「そう、いうことになるな。まぁ、そういうわけだからまた近いうちに家を長期間留守にすることになるんだ。本当にごめんな・・・」
私の父である男の人がしばらくぶりに帰宅してすぐにそんなことを言った。
「えっ?帰ってきたばっかなのに、また海外に行っちゃうの?だとしたら、それはいつなの?」
――しばし、その場にはシーン・・・とした沈黙だけが漂っていた。そして、
「えー・・・っとな、帰ってきたばかりで言うのもあれなんだが、今度の日曜日だ。日曜日の午前には国際便に乗って研究所の方に戻らないとダメなんだ。もちろん、楓には悪いと思うけど、あともう少し頑張ればなんとかなると思うんだ。だから、あまりもなにも日本には長くいられないんだ・・・」
「そうなんだね。二人は、それだけ大変な研究をしてるんだね・・・」
そう言った私は、母と父の顔を見ながら溜め息を一つ吐いた。
・・・約七年間にわたる長期間、母と父の二人は海外の研究所から日本にある自宅へと戻ってくることはなかった。そして毎年、私の誕生日には小切手と『・・・今年も会いに行けそうにないけど、二人とも楓のこと愛してるから・・・』といった誕生日を祝う内容だけでなく申し訳なくも思っている文が添えられていた。
私は、母と父の二人が、そこらへんで働いて定時には帰宅するサラリーマンや、たいして活躍もしていないのに給料だけは人一倍に貰っている行政の人達よりも忙しいことなど、ものごころついた頃から判っていた。
私の家庭が他の一般的な家族と比べて少し特殊だということも理解しているつもりであった。
ただ、最低でも一年に一回以上は会いたいと思っていた、というのもまた事実。それが、どうだろうか。今、こうやって私は母と父の二人に約七年ぶりに再会できている。なのに、明後日の午前中には空港を出発してしまうとのこと。
私は、母と父の二人が一生懸命に研究に励んでくれているおかげで何不自由なく生活することができている。そんなことは、もちろん判っているし感謝の気持ちだって忘れたことはない。けど、帰って来て早々に休む間もなく研究所の方へと戻ってしまうというのは私にとって辛くもあった。
「楓、本当にすまないな。とは思うけど、こんな僕らのことを許してくれると助かる・・・」
「私からも無理に理解しろとは言えないけど、少しでも分かろうとしてくれれば嬉しいわ」
父と母は、そのように言うが私は、とっくにそんなこと判っているし、怒る気にもなれないでいた。それに、どうせ聞くなら謝罪のような言葉でなく母と父の二人が何についてこんなにも長く研究しているのかについての話しの方が聞きたいのだ。
「・・・あのさ、私は怒ってもないし、許してって言われなくても大丈夫だから。だからさ、母と父は、約七年間、どんな研究してたのか教えてよ、言える範囲でいいからさ。どうせなら、謝罪よりもそういった話しが聞きたいし・・・」
「そうか・・・。じゃあ、これまでの研究テーマについて話すとするか。まず、僕から話すけど、最初の頃は鮭とかの魚類から癌に対して有効な生理活性物質がないか調査してたんだ。その後は、妻と一緒に癌患者に対してなるだけ苦痛なく完治させる方法についてを調べていて、なんとかその方法の難題が解決したばかりなんだよ・・・」
「次に私なんだけど、私は最初からお父さんが二番目に言ったことについて研究していたの。それで、後からお父さんが私の研究に合流してね、お互いの力を合わせてなんとか・・・って感じなのよ」
「へー・・・そうだったんだ。二人とも凄いんだね・・・」
私は、あらためて母と父の二人が研究していることの凄さに驚かされた。
――それから間もなくして、姉が大学から帰ってきた。
「帰ったわよー・・・おばあちゃんに楓・・・って、えっ?!お父様にお母様じゃない。どうして二人が家にいるのよ?」
帰宅した姉に関しても私と同様で祖母から一言も聞かされていなかったのである。後で知ったことなのだが、このとき祖母は私と姉の驚く表情が見たいがために敢えて言わないでいたらしいのだ。
――それはさておき、姉の表情は動揺する気持ちを隠せていなかった。そのため、私や両親、祖母から今回のこうなった経緯について聞かせることにしたのである。すると、
「へー・・・そういうことだったのね、お父様にお母様。まぁ、とにかく七年ぶりの再会ね。二人には内緒にしようと思っていたことがあったのだけど、もうこの際だから言っちゃうわ。実は私ね、最近好きになった人がいるのよ。好きになったというより惚れられて告白されたって言った方が適切ね。
だから私達、そのうち付き合うことになると思うのだけれど、お父様にお母様の二人も海外でも仲良くしてよね。おっと、私は荷物とか部屋に置きに行ってくるから、しばし家族四人だけで楽しんでちょうだい・・・」
そんなことを言うと、姉はそそくさと自分の部屋へと消えていってしまった。
「・・・おい、どういうことだ楓?なんか桜輝から聞かされてないのか?」
父は、私に囁くような小声で尋ねてきた。
「えっ・・・私、今回のことは何も聞かされてない。だいぶ前に彼氏と別れることになったってことくらいしか知らない・・・」
「はっ?!どういうことだ、楓?桜輝に彼氏がいた、だと。そして別れた?僕がその現場に居合わせたのなら彼氏の顔面を固く握りしめたこぶしで間違いなく殴ってただろうな・・・」
「お父さん、とりあえず落ち着いて。桜輝にも彼氏の一人や二人くらいできますって。それに、私とあなただって桜輝と同じくらいの歳からこれまで約三〇年も一緒の人生を歩んできたですよ。そんな私達だというのに、あなたは桜輝のことをとやかく言えるんですか?」
「うっ・・・確かに桜輝くらいの年齢にもなれば、彼氏の一人や二人くらいできたって仕方のないことだな。まぁ、前の彼とは楓が言うに別れたらしいからよかったけど。でも、桜輝のさっきの口ぶりだとまた彼氏ができそうになるってことなんだろ。そうなんですよね、早苗さん・・・?」
「え?私に聞かれてもねー・・・。私なんか、前に桜輝ちゃんが彼氏と付き合ってたってこと一度も聞いたことなかったわ。だから今、楓ちゃんの口から初めて聞いたときは、心臓が喉から飛び出してくるかと思ったもの・・・」
いきなり父から話しをふられた祖母は、そんな冗談のようなことを言いつつも本当に驚いているようだ。今の流れからするに、私は言ってはならないことを公言してしまったようである。
また、私だって姉から現在進行形で惚れているのか惚れられているのか、まぁ、どっちにしろ彼氏になりそうな人がいるなどという話しは聞かされたことがなかったため、正直なところ私が誰よりもびっくりしていると言っても過言でない。それに加え、
(だとすると、私の以前のお姉ちゃんへの告白は無かったことになってしまったのだろうか?私の想いはお姉ちゃんに届かなかったということだろうか・・・?)
私の頭の中は不安でいっぱいになっており、胸の上には一tの重しがのっかっているような息苦しさを感じていた。
――それからほどなくして、私は姉の口から真実を聞き出すために父と母と祖母に一言だけ残し、姉の部屋へと向かった。
「入るよー・・・」
私は、二回ノックしたのち姉の部屋へと足を踏み入れ、すぐにドアを閉めた。
「どうかしたの、楓・・・?」
部屋では姉が、大学の荷物の整理をしていた。
「どうしたもこうしたもないよ、お姉ちゃん。惚れられた人がいる?!そして好きになったってどういうこと?ちゃんと私にもわかるように説明してよ!」
「あー・・・さっき勢い任せにというか、つい本当のことを言ってしまったあれのことね」
「そう、そのことだよ・・・」
「あれはね・・・あなたのことよ、楓・・・」
「えっ?!そ、それってつまり、私のことをお姉ちゃんも好きってこと?」
私は、姉が私の知らない誰かと付き合うことになってしまうのかと思っていたが、まさか私のことだとは思ってもみなかった。
「そういうことよ、楓。遅くなってしまったけれど、これから宜しくお願いします♪」
姉は、そう言うと深々と頭を下げた。そんな姉に対し私はというと、
「えー・・・っと、その、あの、えー・・・っと・・・」
私は、何を言おうとしていたのか判らなかった。というより、雷にでも打たれたような衝撃に襲われ頭の中が真っ白になっていたのだ。
「楓?大丈夫・・・?」
「・・・・・・」
私は屍のように、まだ何も言えないでいると、
「楓、やっぱり可愛いわね・・・」
そう呟いた姉が私の頬に接吻をしてきたのだ。それに対して、
「えー・・・むぐもぐむぐ・・・」
私は思わず嬉しさのあまりに叫びかけてしまった。もう少しで父か母もしくは祖母の誰かが部屋に様子を見に来てしまうんじゃないかと思われたが、姉が私の口を両手で瞬時に押さえてくれたおかげでなんとかなったのである。
・・・・・・それにしても、父と母が七年ぶりに帰ってきた、こういうタイミングで言うようなことじゃないだろう、と思った。だが私は、姉が気持ちに応えてくれたというその不変の事実が嬉しかった。それはまるで、私の心の中にある富士山が噴火しても不思議でないくらいの嬉しい気持ちであった。
・・・・・・
「楓、少しは落ち着いたかしら?」
「いや、まだ全然だよ。脈が速いもの」
「そう、よね。私も本当なら楓と私だけしかいない、誰にも邪魔される危険性のないタイミングで返事しようと思っていたのだけど、つい、調子にのったばかりにね・・・」
「そうだったんだ、お姉ちゃん。でも、どうして私の告白を断ろうとしなかったの?(まぁ、断られてれば私、お姉ちゃんの傍からいなくなってたと思うけど・・・)」
私は、最後にそんな言葉も小さく呟いてみた。それに対し姉は、
「だって、楓は私にとって唯一の妹で他の女か男に渡したくないなって思って。そしたら楓があのとき、勇気を振り絞って私に告白してくれた気持ちも理解できたような気がしてね」
「だからお姉ちゃんは、私の告白を了承してくれたってこと?でも、女性同士が、ましてや血縁関係にある姉と妹が付き合うって気持ち悪いとは思わなかった?」
「まぁ、最初の告白されたときこそは姉と妹が付き合うって嘘か悪い冗談なんじゃないかって思ったわよ。けど、いざ調べてみるとボノボのメスは仲直りのときに『ホカホカ』っていう行為するみたいだし、キリンなんかは大抵がオス同士でやっちゃうとか、ザリガニはオス同士の喧嘩で負けた方が勝った方の交尾練習に付き合うことになるとか、リクガメはメス同士でうんたらかんたらとか色んな記事とか論文があってね、私と楓っていう霊長類の同性同士がくっつくのもなんら不思議じゃないなって思ったのよ。それで、私が楓のことを付き合う相手として好きか否か考えたら『Yes』しかないなって・・・」
私は、姉が沢山悩んで考えた結果がこれなんだと思うと、つい笑みがこぼれてしまう。その後、
「お姉ちゃん、あのさ、思いっきり抱擁してもいいかな?」
私は、感情が高ぶったあまりに姉にそんなことを聞いてみた。
「いいわよ。さあ、いつでもいらっしゃい・・・楓」
「うん、お姉ちゃん・・・」
「お姉ちゃん、汗臭い・・・」
「楓も、少しだけにおうわよ・・・」
「そんなこと言ったって、まだ私、お風呂入ってないんだよ?」
「そういうのなら、私だってまだよ・・・」
「けどね、私、お姉ちゃんのにおいって不思議とずっと嗅いでいられる気しかしないの」
「私もよ、楓・・・」
・・・そんなことを言い合いながら私と姉は、身体を寄せ合って互いの体温を衣服の上から感じていた。
――それから数分後、
「ねぇ、楓?」
「なに、お姉ちゃん?」
「もうそろそろ、おばあちゃん達の待つところに行かない?」
「えっ?私は、もう少しこのままの姿勢でいたいな・・・」
「それは、私もよ。けど、戻らなかったらもどらないで心配されるわよ?」
「それもそうだけど・・・私は居間の方に行ったらお姉ちゃんにどんな態度とればいいのかな?」
「急にそんなこと聞いてどうしたのよ?というか普通にしてればいいの。どこにでもいる姉妹みたいに」
「それが、よくわからなくなっちゃったから聞いてるんだってばー・・・」
「だったら、本当は互いに好き同士なんだけど、その関係が家族にバレたら愛する姉が殺されちゃうから家族や大切な自分の友人に必死に秘密にしている妹ジョセフィーヌみたいにすればいいのよ」
「・・・お姉ちゃん、私の本棚、いつの間にあさったの?まぁ、いいんだけどさ。とにかく、『白百合物語』のジョセフィーヌみたいにすればいいのよね?」
「そういうことよ。けど、そうなると楓の友人の桃花ちゃんにも私達の関係は秘密ってことになるわね」
「えっ?それも言っちゃダメなの?」
「万が一にでも、桃花ちゃんから、私達のおばあちゃんの耳にでも入ったりしたらそれこそ家族会議になりかねないもの」
「桃花ちゃんなら大丈夫だと思う・・・けど、わかったよ。桃花ちゃんにも心苦しいけど内緒にするね・・・」
「それでいいのよ、楓。だから、私と楓が恋仲になったってことは家族にも友人にも内緒にすること。それは私だって同じ。私達の関係は、二人だけの秘密にすること。いいかしら?」
「わかったよ、お姉ちゃん・・・」
私は、やっとのことで大好きな姉と恋仲になることができたのがどんなことにも勝るくらいに嬉しかったため、姉との関係は家族、友人等に内緒にすることを約束した。
・・・それからほどなくして、
「さあ、楓、そろそろ戻りましょう?だから今は、離れてちょうだい・・・」
私は、姉に言われたとおりに姉の腰回りに巻き付けていた両手を外し姉から少し距離をとった。
それから、私と姉は互いの顔をちらりと見ると祖母や久しぶりすぎるくらいに再会した母と父の待つところへと向かった。
「二人とも、随分と戻ってくるのが遅かったじゃないか。早苗さんが夕飯を用意してくれたぞ、僕と妻のために・・・」
「あなた、私と娘達のためでしょ?」
「僕の存在がなくなってるじゃないか。まぁ、いいけどさ。でだ、桜輝、もしよかったらさっき言ってた惚れた人ってどんな男か教えてくれないか?」
「あなた、そういったデリカシーのないようなことは聞かないの。桜輝だって年頃の娘なんだから・・・」
「いいえ、私は答えるわよ。その人は、とっても優しくて私のことを一番に考えてくれるの。私が体調を崩しでもしたらきっと、一生懸命に看病だってしてくれるわ。だからお父様にお母様、心配しないで明後日にでも渡航してくださいね・・・」
私の隣りの姉は、そんなことをさらっと言ってのけたが、姉の言う『その人』とは私のことであると判ってしまった現在は、嬉し恥ずかしなんとやら・・・という感じであった。
「そうか、そうか。それは、好かったなー・・・桜輝。とんだ野郎だったら僕が殴ってやろうかとも思っていたが、そうはせずに済みそうだな」
「だからあなた、殴ったりしようとしなくていいですから。私達は桜輝とその人の関係を応援しましょう。ね?それで、また今度いつになるかは分からないけれど、私達が日本に帰ってきたときにまだ関係が続いてたのなら是非にでも紹介してもらいましょうよ」
「そうだな。そういうことで頑張れよ、桜輝。それと楓、お前にも最愛の人が見つかるといいな」
「わかったよ、パパ・・・」
私は、父親の言葉に対してそのように言葉を返したが、もうすでに私の最愛の相手は見つかっているし、付き合うことになった。ただそれは、周囲には言いづらく場合によっては、奇異の視線を向けてくる人達がいるから言えない、というか私と姉だけの秘密だから言わなかった。
姉は、私の隣りで苦笑いしつつも僅かに頬を紅潮させていた。
・・・・・・翌日の土曜日は、母と父と私と姉と祖母の五人でショッピングモールに行ったり、映画を鑑賞したりして家族水入らずで過ごしたのだった。
そうして、日曜日の午前には姉妹と祖母で空港から海外へ出発する父と母のことを見送ったのである。
(とにかく、私と姉の関係は父と母の公認のようなものかもしれない・・・)
なんてことを私は、一人で思いながら心をぴょんぴょんさせているのだった・・・・・・。
まず、最後まで読んでくださり有り難うございました。次話は、誠に勝手ながら最終話(前編と後編の二話)になります。
ぜひ、最後まで宜しくお願いしたいです。なんか、この言葉も繰り返しの多いコンテンツって感じですね(w)。




