1.私の憧れ
百合んゆりんな展開までは、相当先になると思われますが、それまでお楽しみいただける方は何卒宜しくお願いしますm(__)m
私の姉は、何をやらせてもものの見事にやりのけてしまう。
父と母は、そんな姉のことをいつも褒めていた。
そして、ときには誇らしげな口調で近所の人に話すこともあった。
一方で、私はというと優秀な姉とは違って何をやっても平凡で、勉強の成績だって学年内で中間にくいこめればマシな方。
私は、いつからか優秀で非の打ちどころのない姉に憧れを抱くようになっていた。
高校に入学してからは、姉に負けたくないという一心で勉強も部活も精いっぱいに頑張った。
そんな甲斐もあってか、高校二年生になってから初めて行われる中間試験で学年上位に入ることができた。
ようやくだ、本当にようやくだった。やっと優秀な姉にふさわしい妹に少しは近づけたような気がした。
・・・しかし、私が中間試験で好成績を出したころには、姉はすでに高校を卒業しており、所詮、私は私なのだと思った。
高校を卒業してからは、姉の進学した名門大学である『姫百合大学』を第一志望校にするも不合格だったため、滑り止めとして受験しておいた『弥生大学』に進学することとなった。
ここでもまた、私は姉に負けたのだと思い知ることとなった。
――そのくらいの頃からだった。姉の帰りが普段よりも遅くなったのは。
姉は大学三年生、私は大学一年生。学年が異なるため進級に必要となってくる単位数も変わってくる。ましてや、私と姉は別々の大学に通っている。
そのため、私は姉の帰りが遅くなっても気にしないように心がけていた。
気にしないようにしようしよう・・・と思うと余計に気になってしまったが、その気持ちをグッと抑え込んでいた。だが、月日が経過するにつれて姉は帰宅時間が午後の七時くらいだったのが午後の八時、やがては午後一〇時・・・となっていき、それにはさすがの私も気にせざるをえなくなってしまった。
そして、私はある決意をしたのだった。
それは、単純なことなのだが私にとっては勇気の必要な決意だった。ただ、姉に帰りが遅くなってきた理由を尋ねるというものであるのだが、私からすれば昔から憧れだった姉にそのようなことを聞いてもよいのかダメなのか・・・と、何度も心の中で自問自答を繰り返していたため私にとっては勇気のいる決意だったのだ。
私は、姉にそのことをいつ聞こうかと三日ほど考え込んだのち、今度の休日にでも聞いてみようと決めたのだ。
だが、私は姉に聞くまでもなかったということを休日に思い知ることとなる・・・。
最後までお読みいただき有り難うございました。今後は、最低でも週に1回は更新していきますので暇な時間にでも読んでいただければ幸いです。
『It's a yuri-zu world!』