「いうことききなさい」
「僕は思います」
パッと暗闇にスポットライトが照らされ、真ん中に少年が。ここは少年の部屋の様。少年は言いました。
「大人って何のためになるの?」
少年は続けます。
「大人になってなんの意味もない。ただただ屁理屈を言ってウザイだけの大人になる意味って、なにもないと思います」
少年の後ろにはドアがありました。ドアが開きます。光がパアッと入ってきます。
「なにしてんの?」
ポニーテールの女性が入ってきました。
「うっわああ!ね、姉ちゃん、ビックリさせないでよ…」
どうやら少年のお姉さんの様。
「勝手にビックリしたんでしょ…。で?なにしてたの?電気なんか消しちゃってさ」
「べ、別になんもしてないよ…」
「? そう?じゃあもう夕飯できてるから、早く食べてね」
「はーい…」
お姉さんは部屋を出て行きました。
「今日のご飯なにかなぁー♪」
そう言って少年は部屋を出て、階段を降りていきました。
少年のご飯は生姜焼きと味噌汁と白米でした。
「いただきまーす」
少年は美味しそうに口いっぱい生姜焼きを頬張りました。
たまに白米もぱくぱく食べました。
味噌汁も、美味しそうに飲みました。
「ごちそうさまでしたー」
少年は食器を流しに持っていきます。
流しにはお母さんがいました。
お母さんはとても若いです。お姉さんと同じ、ポニーテールをしていました。
「宿題やっちゃいなさいよー」
お母さんが少年に言いました。
「うーん」
少年が生返事します。
お母さんは怪訝そうな顔をしています。その顔には「ちゃんとやるのかしら…?」とでも書いてありそうでした。
少年は階段をのぼって自分の部屋へ行きました。
1時間後ー
少年は部屋でゲームをしています。
お母さんが入ってきました。
「宿題やったの?」
「やってなーい」
またしても少年は生返事をします。
「さっきやりなさいって言ったよね!?なんでいうこと聞けないの!?」
「聞いてなくないし」
少年は言います。
「じゃあもう知らないからね」
お母さんは怒って出て行ってしまいました。
部屋がバッと暗くなります。
パッとスポットライトが少年に当たります。
「ほら。今みたいなことです。僕はちゃんとお母さんの言う言葉を聞いてたのに、言うこと聞いてないって言われるんですよ?大人ってウザイんです。だから僕は大人になりたくないし、大人になっていいこと何もないと思います」
少年は、お母さんの言う「いうこと」が「お母さんの言うこと」つまり、お母さんが発した「言葉」だと理解しているようです。
でも少年は、机に向かい、宿題を始めました。