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勇者の罪 希望と絶望 1

はじめまして。

長編は初投稿です。

書けたところまで投稿しようと思います。

吸い口をライターに叩きつけ、葉を詰める。

身に染み付いた行動で、流れるように火をつける。

同時に座り慣れた椅子に腰を下ろす。

灰皿と今日届いた資料しかない机の上に付いたシミに目を奪われる。

なんの変哲もないシミは放って置いて、資料に目を通すようにともう一人の自分が急かす。

新入りのための居場所を作らなければならない。

死後ここに来る者が一切居心地の良さを感じない空間を準備する。

それが自分の役目。

そう仕事スイッチを押そうとした矢先、視線を手元に移すと灰が長くなっている。

それをあるべきところに落とす。

それと同じように視線はあるべきところ、資料の上を撫ではじめる。

この男は少し特殊なようだ。

善悪の判断に自信がある方ではないが、手元の文章には自分の仕事ではないような印象を与える善行が並んでいる。

領民を苦しめる竜を倒した。

闘技場で勝利し、観衆から喝采を浴びた。

馬に乗り街に出て、その姿を見た者たちに希望を与えた。

左手の資料に集中していた意識をもう一方の手に感じる熱が途切れさせる。

慌てて灰皿でその熱を擦り潰す。

魔王に勇敢に挑み敗れる。

この一文を目にし、疑問が晴れる。

次の一文『この男に希望を与えられた者たちが絶望しました』書き足されたであろうこの一言が、苛立ちを誘う。

目立つように赤字で書いてある。

お節介な上司だ。

言われなくても、それくらいのことはわかる。

箱から新しいタバコを取り、ライターに叩きつける。

苛立ちから逃げるように吸い込んだ煙が肺いっぱいに広がると、目の前の空間に逃した。

勇者様の一生が書かれた紙に遮られた煙が目に染みる。

皆に無責任な希望を与えて、その希望がなければ感じずに済んだ絶望を与えた勇者。

彼への罰はどのようなモノがいいだろう。

どんな地獄にどのくらいの期間いれば、自分の犯した過ちを理解させられるだろう。


読んでいただきありがとうございました。

感想等、よろしくお願いします。

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