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改良と謁見

「お食事と仮面の固定用部品が出来ております。どちらを先になさいますか?」

おー、はやい、もう出来たんだ。ありがたい。

「仮面の方を先にしたいです。今できますか?」

「はい、お持ちしております。部品の取り付けはリン様にお願いしたいですが、最後の魔法は私がかけることをお許しください。本来であれば仮面への魔法は魔力が仮面の持ち主より弱い者がかけないほうが良いのですが、リン様はジュシュリの者ではないので、ご存じない魔法かもしれませんので」


やってくれるのであれば助かる。自分で魔法を使えと言われても魔法なんか使ったことない。いくら魔力が高いらしくても。

「失礼します」

といって私の後ろに回ってきたゲゴが部品を渡して、カバーへの付け方を指南してくれる。取っ手にパーツを言われるがままつけていく。パーツをつけていくとそのパーツも見えなくなっていく。けどゲゴには見えているようなので、たぶんこれはカバーに最初からかけられている魔法の影響なのだろう。

無事パーツを付け終わって、カバーの裏をゲゴに差し出す。ゲゴは何やら複雑な詠唱をしていた。不意にゲゴから何らかの力がパーツに流れ込んでいくのを感じた。


「終わりました。各所に浮遊と相対位置固定、重量軽減、吸着、すり抜けの魔法をかけました。これでその輪になっている部品を頭に乗せれば、輪が頭にくっつき、仮面は浮遊し、適切な位置へ体の動きに合わせて動くかと思います。またすり抜けにより、リン様が意識して触ろうとしなければリン様のお体、それに触れているものが仮面をすり抜けるようになりました。なおそれらの魔法は魔力を常時使用しますが、かなり軽減化しておりますので、リン様なら何も不自由はないと思います」


私からは輪っかだけが浮いているように見える。言われた通りの効果があるなら仮面をつけているのを忘れるレベルで楽になりそうだ。それにすり抜け、ってもしかするとあの大きな仮面を気にせずにいけるということだろうか? もしそうなら食事とかすごく楽になるな。

「ありがとう、ゲゴ、それにデゥズもお待たせしました。使用感のテストも兼ねて食事にしましょう。どこで食べますか?」

デゥズが進み出て答えてくれる。


「はい、食事はあちらで準備を終えております。先日リン様がお頼みされたテーブルもすでに準備し、それを使用しております」

なるべく早くと言ったけど、超特急だった。正直仮面の改造もテーブルももう少し時間がかかるものと思っていた。改めて今の自分の権力?にびびった。これはうかつに頼むのもやばいなぁ。けどいろいろ不自由してるので迅速に対応してくれるのはとても助かる。


隣の部屋なのでゴーレムは遠慮して、けんけんで移動する。仮面のことを気にせずにいけるから以前と比べるとすごく楽だ。

隣の部屋に行くと五神官が勢揃いして食事をしていた。私の分は言われていたとおり椅子の前にテーブルがあってその上に葉っぱに乗った食べ物がおいてあった。鶏肉とキノコの串焼きがメインのようだ。あとなんかピラフみたいなのも葉っぱに盛ってある。主食かな? 昨日は見かけなかったけど。食器らしいのは水の入ったコップと同じく水の入ったお椀しかない。


串焼きは分かるけどピラフの食べ方が分からないので手を付けずに、すでに食べ始めている五神官の様子をちらちらと観察する。目上の人が食べ始めないと食べてはいけない、みたいな文化でなくてよかった。

見ていると予想はしていたけど指ですくって食べていた。あーやっぱりかー。日本ではおにぎりや寿司以外ではあまりないと思うけど海外だとけっこうあるみたいだしなぁ。幸いなのがお椀に入った水が手を洗う用だったこと。これなら、まあ、なんとか我慢できる、かな? 文化的に失礼に当たるとかじゃなかったら、スプーンとかフォークは用意してもらおう……。今日は仕方ないので指で食べるけど。


たぶんある種の香草の味が良かったのでそれなりに満足できた。けど塩気が足りない! 全部薄味なのだ。まだ鶏肉は油があるからいいけど。もしかすると塩は貴重なのかもしれないけど、香草以外は塩味しかないのにこんなに薄味だと我慢ができなくなる気がするので、これはすぐに伝えておいた。


満足はできなかったけど空腹が満たされたので、気分がよくなったところで、先に食事を終えていたガギがこちらにやってきた。

「リン姫様、本日はこれより謁見を行いたいと思うのですが、リン姫様に覚えていただかないといけないことがあります」

ふぇ? なんだろ? 魔法を覚えろとかだったら時間ほしいなぁ。

「謁見は下位のゴブリンたちもきます。彼らは魔力がとても小さいのです。ですから彼らは自身の魔力だけでは仮面を維持することが出来ません。ですので上位の者が魔力を貸し与えるのです。それが我らが神より与えられた力であり責務であると皆は理解しております」


ふむふむ、なるほど、だから権力者が五【神官】なわけね。神の代理人みたいな?

「もちろんリン姫様は、神とは関係ありません。しかし我ら神官の上に立つものとしてリン姫様にも下々に魔力を貸し与えてやってほしいのです。皆も新しい指導者から魔力を賜ることを誇りとするでしょう」

なるほどねー、指導者の責任、みたいなものかな。ただ命令されるだけより、わかりやすい見返りがあったほうがいいとは私も思う。小さな会社だと社長自らが社員にいろいろお土産買ってくるとかと同じかな。ちゃんと給料という見返りがあっても直接の別の何かがあったほうがいい、みたいな?


「数が多いのでたいへんではありましょうが、最初に限り、ハイゴブリンたちを含めた皆におこなっていただきたいのです」

そのへんも分かる。下位のゴブリンには実用性があってやらないといけないことであっても、魔力が高いらしいハイゴブリンには不要の事、でもやったほうがいい、と。さっきの例で言えばお給料が高い部長とか課長に対してでも皆平等にお土産を買ってきたほうがいい、ということなのだろう。


「はい、分かります。やり方を教えて下さい」

まず細々とした作法をガギから教わった。そしてやり方としてまず、ガギの持つ杖に魔力を流してみるという練習をした。やり方自体は簡単で、漫画であるような気を体から放出して対象に付与するというイメージをしながら短く簡単な呪文を唱えれば良いようだ。気=魔力と考えれば良いのかな。

ガギが手本を見せてくれた。杖を前と同じ様に浮かせる。ガギが集中しているようで右手の人差し指を立てて、仮面の前に持ってくる。その指先が小さく光って見えた。

ガギが呪文を唱えてその指先を杖に向けると、小さな光がピューっと杖に飛び込んだ。

「このような感じです。杖など自分の持ち物でしたら触れて流し込めば良いのですが、他者の仮面には触れられませんので、魔力を飛ばすことになります。攻撃にならないよう、付与するということをしっかりと思い浮かべてください」


なるほどね、魔力を直接ぶつけるのは攻撃にもなるのか。それなのにあえて付与、貸し与えるという形になるからより信頼性が増す、ということかな。ともかくやってみよう。

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