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砦への帰還

帝都からレニウム砦への補給物資は膨大で、定時転移に便乗できないとのことだったので、臨時補給物資として砂糖や新鮮な食べ物、ゴーレムの素材となるものを満載した補給部隊を臨時編成してもらって臨時転移で帰ることになった。

帝都のパーティーではカルパッチョみたいな料理もあったし、ゴブリンたちのための生魚とかも出ていたので、生のものを新鮮に流通させる方法があるのだろうと思っていたけど、もしかするとこの転移なのかもしれない。


私達ジュシュリの者以外についてくるのは隊長となったハームルさんと補給部隊、そして最初の派遣技術者に選ばれた方々だった。

彼らは総勢七人、魔法使い三人に木工職人三人、鍛冶師一人だ。

魔法使い三人のうち一人は知った人だった。親衛隊の新人のあの人だ。名前はラキウス、だったかな。確かに親衛隊に選ばれるほどの人材だから信用はあると思う。他の二人も講習会で見かけた気がする人だった。

木工職人たちは親方一人にその弟子二人といった感じだ。しかしその親方に当たる人も随分若く見える。ジゾット親方という人で職人として類まれな才能を持ち、故に早くに独立して親方になった人らしい。

鍛冶師の人はおじいさんでヒンドレー親方という方らしい。若い頃から皇室御用達の品を作っていた方だそうだ。


魔法使いや職人は気難しい人が多いというイメージがあるものの、今の所皆さんにはそんなところは感じず、仲良くできそうで良い感じだ。

特にラキウスは積極的に私に話しかけてくる。皇帝陛下に仲良くするようにとか言い含められているのかもしれないけど、私のほうが立場が上であるということをたまに忘れてしまうようで、そのへんが皇帝陛下のお気に入りだったのかな?とも思わせる。


ちなみにガギからはばりばりに警戒されているし、ハームルさんからも何度も視線で注意されていた。私は皇帝陛下の親衛隊だからということで信じてるけど。私が皇帝陛下の姪であるということを聞かされているのかは分からないけど、滅多なことにはならないだろう。


転移が終わり、レニウム砦の中央広場に出てきた。多くの兵士と砦長も出迎えてくれた。少し離れたところにはゴブリンたちもいる。

砦長が進み出て挨拶してきた。

「おかえりなさいませ。ハームル様、リン姫様。リン姫様のジュシュリが正式に帝国軍に組み込まれたことは当方にも伝わっております。すでに協力関係が出来ておりますが、今後もよろしくお願いいたします。ちなみに地位としては砦長である私よりもリン姫様の方が上となりますので今まで通りでお願いいたします」

ハームルさんの紹介とはいえ、謎な存在だった私にも敬意を払っていてくれた砦長のケインさんは質実剛健な兵士の鏡とも言える人だ。付き合いも長くなりそうだし、こんな小娘を上と態度の上でも認めてくれる人はそこまでいないと思うので、貴重な方だ。


「お帰りいただいた直後ではありますが、至急検討したいことがあります。よろしければこちらへ」

といって招かれた。ハームルさんも聞いてなかったのか、私と顔を見合わせる。

「ええ、分かりました。すいません、私は急用が出来たようです。皆でゲゴに従って帰還業務を行ってください。ギグとゴガにも頼んでいいですか?」

ゴーレムの技術をまとめているギグと、砦で留守を守っていてゴーレムの魔術部分を理解しているゲゴなら、ちゃんとまとめてくれるだろう。ゴガはまだ若いものの指揮能力が高いっぽいので全体の取りまとめを任せた。ガギにはなるべく近くにいてほしいし。


案内されたのは砦の司令部として使われている建物にある二階の会議室だった。大きな机の上にレニウム砦周辺の地図らしいものが置かれてある。……やばいこれ椅子に座ると地図、ほとんど見えない。


「砦長、椅子に座るとほとんど地図が見えないのでゴーレム出していいですか? なるべく邪魔にならないようにしますので」

「はぁ? あ! 配慮が足らず申し訳ありません。それで解決するのでしたらどうかお願いします」

ジュシュリの建物内で使っていた石を取り出し、ゴーレム化する。しかし床が嫌な音を立てたので慌てて解除した。ここ二階だからなぁ。ゴーレムだと重すぎるようだ。

「私が抱きかかえましょう」

え? と反応する前にガギにお姫様だっこのような感じで抱きかかえられた。

普段ゴーレムに乗っているときと同じ姿勢なのに妙に恥ずかしい。


「ガギ、重くはないのですか?」

「これでも力はある方ですので大丈夫です、会議中ぐらいは持つでしょう」

「いえいえ、見たいときだけでいいので、そのときにはお願いするので普段は椅子で!」

ガギにとっては小さな子供をかかえるだけなんだろうけど、こっちは中身大人なんだ。しかも無駄に顔の造形がいいんだよガギは! 見かけ以上に筋肉質だったし……。身近な人にかかえられるってのはなぜ大人になるとこんなに恥ずかしいのだろうか。いやこれは身近でなくても恥ずかしいな。子供の頃はなんともなかったのにな。だからガギもなんとも思わず抱きかかえたのだろう。とりあえず抵抗していったん下ろしてもらった。

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