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墜落事故

今日は珍しく霧がかかっていた。ないわけではないし、すでに何度かテルルの街中でなら経験していたものだ。現地の人によるとなんらかの条件が重なるとこういった濃霧に包まれることがあるようだ。


まれにでも自然現象として起こるものであるなら、対応しなければならない。それに今の敵は空を飛ぶので霧の上が気になった。ので霧の中でも飛行ゴーレムが運用できないかどうか、やってみることにした。


もうすでに何度も飛行実験は行っており、わたしはもちろん、テストパイロットの二人、ドワイトとジェイムスもだいぶと慣れたものだった。そこに油断があったのかも知れない。


わたし達は一度霧を抜け、かなり高い高度にまで到達した。映像でなら見たことがある、雲の上を飛ぶ飛行機になれた。結構な濃霧なので下はまるで見えない。霧はかなり大きく、雲平線が見えるレベルだ。あと直射日光が容赦なく降り注ぐので若干暑い。


今日は霧という悪天候だったので逆に悪天候時における作戦行動のテストを行ってみることにした。

霧の中でちゃんと飛べるのか、霧の中でも戦えるのか、魔法はちゃんと働くのか、特にマジックミサイルは正常に働くのかについてだね。

雨天時でも翼内蔵のクロスボウは撃てるようになっているはずだけど、空中で実際に撃ったことはなかったので。


霧の上から下の霧の中へ01も02も突っ込んで入り、互いに撃ち合ってみる。


今使っているフライは何度か改良されているもので、かなりの省魔力化されている代わりに、急制動はしにくくなっている。

また高度の上げ下げ能力も弱く元の世界の飛行機程度の機動力しかない。


もともとそんなにフライに機動力はなかったけど、十号機を飛ばしていた頃に比べたらずいぶんと少魔力化されているし、それに伴って機動力もさらに下がっている。

機動力自体は機体の制御等であげられると思っていたし、正直地上の敵を相手にするならそんなに機動力はいらないし、それよりもより多くの人がより長く扱える方が優先だったためだ。


降下中一度クロスボウを放って02を攻撃してみた。霧の影響自体は雨天時に比べたらずいぶんとましだったものの、相手をよく視認できないせいか当てることはできなかった。02がうまく回避した気もする。上からだと当てにくいと感じたので下に回るためにさらに急降下していく。


そんな私の01を追って02も急降下し始めた。


わたしは早々に降下をやめ、回避行動に移った。けど02はわたしを見失ったのか、どんどん急降下していく。


ああ、それはダメだ、と思ってなんとか注意を促そうとしたけど、間に合わず、そのまま地面へ02は突っ込んでいってしまった。


あちゃーと思って、すぐに駆け付けた。02が無人で良かった。有人だったらこんなに落ち着いて行動はできない。

一度地面に激突してはいるけど、そうとは思えないぐらい損傷の箇所は見えなかった。ゲゴが新しく積んだという安全装置のおかげだろう。


っていってもおそらく再起不能だろう。翼が歪んでいるし、一体成型だったものを再び元の形に戻すような技術はおそらくこの世界にはないし、元の世界でも精度的に許されないだろうと思うし。


ただ心理的、精神的なダメージは受けているはずだからそこはフォローしてあげないとね。とりあえず近寄ってみる。【魂の座】にダメージはいっていると思うけど、それは人間側には伝わっていないはずだから肉体的には大丈夫だとは思う。けど衝撃を受けた、という記憶は残っているだろうから、そこに体が対応してしまうかもしれない。【魂の座】が故障してたら怖いしね。



飛行機と違って燃料とかはないので爆発はしないだろうから、さっと近づく。そして手を貸して駐機状態になるよう、指示する。02は一瞬戸惑ったようだけど、無事に起き上がり、普通に動いて駐機状態になった。

向こうからさそり型回収機がやってくる。動けなくなったゴーレム回収用の大型なさそり型だ。尻尾の先が三本指のクローになっていて、はさみも3本指のクローとなっていてつかめるし、腕の向きが上向きについているからもはやサソリには見えないんだけどね。尻尾のあるシャコ?みたいな感じだ。戦闘用ではないのでコックピットも頭の部分から突き出た場所にある。

完全な異形なので、特殊な訓練を受けたハイゴブリンしか今は満足に動かせない。あ、わたしは例外ね。


02は立ち上がって動くことは出来たけど、やっぱり足にもダメージがいっており、そのまま動かさず、レビテーションだけ発動してもらい、浮いたところを回収機で回収し、テルルの工房まで運び込むことになった。


02のテストパイロットには正常の手続きでセカンドソウルシステムを終了させることが出来たなら、切ってそのまま安静にして動かず寝ながら帰るようになった。これは万一の時そうするよう決められていたことだ。そのための施設も回収機とともに来てもらっている。二人共ベッドを備え、サスペンションを装備した馬車で帰って来ることになるだろう。


わたしの01はそのまま飛んでテルルの工房に戻り、帰って来る皆を出迎える準備を進めておく。

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