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飛行試験

その後、二人を休ませてわたしが飛んでみることにした。今回はベフォセットもコパイとしてついてきてもらう。火器管制、というより魔法管制としてね。


基本的にメインパイロットだけで操縦して戦えるようにはなってるけど、それは魔力が特別多いわたしだからできることのようで、普通の、といっても選抜した優秀な人たちになると思うんだけど、その人達でも操縦と魔力管制は分けた方が良いし、万一メインパイロットになにかあってもコパイロットがなんとかできるようにというバックアップの意味合いも大きい。

【魂の座】セカンドソウルシステムなので例え撃墜、墜落しても死ぬことはないけど、今はまだ機体自体が重要だし、精神的被害は大きくなると思われるからね。


以前通りにその場でレビテーションをかけてある程度浮き上がってからフライで飛んでもいいんだけど、せっかく揚力のある機体だからレビテーション無しで飛んでみようと思う。たぶん今まで通りのレビテーションからのフライのほうが魔力効率自体は高いと思うけど、何事もやってみないとね。


ということで、今度は浮き上がるのを抑えずに走ってから自然に浮き上がってみる。すぐに浮き始め、あっという間に街の壁を超えて、ぐんぐん上がっていく。これもかしかするとフライいらないかも、と思ったけど、まさかここまで飛べるとは考えてなかったので操舵システムをつけていなかった。

どんどん浮かび上がることはできるけど、フライなしじゃ降りるのも大変だ。それに操舵もできないので方向を変えるのにも苦労をする。できたとしても随分大回りになってしまう。


方向舵やフラップがいるかもしれない。けどわたしの知識じゃ今以上のものはよく分かっていない。方向舵やフラップだって概略を知っているだけで、飛行機の詳しい仕組みを勉強したわけじゃないからなぁ。けどここまで飛べるなら、それらがあったほうがより快適に、魔力を節約して飛べそうだし、研究してもらいたいな。


成果が出るまではフライで飛んだほうが良さそうだ。……揚力は地上機はそれなりに削るべきだけど、飛行型はもっとあってもいいかもね。グライダーとして真っ直ぐ飛ぶってのも需要ありそうだし。

使わない時は切っておけるオンオフつきのフライの魔法って構築できないかゲゴに相談してみよう。


戻ってくる際はフライを切って自力で飛びつつ、機首を下げて落ち過ぎないよう気を付けて降りていく。実際にワンミスで地上に激突しかねない高さでフェザーフォールを使う。

フェザーフォールに慣性を抑える効果はないのでそのままゆっくりと降りる。

……うーん、やっぱり降りる際にフリップ? エレベーター? そういう仕組はいるね。なくてもフェザーフォールやレビテーションがあるからいけるけど、なしだと厳しそうだ。フェザーフォールだと余裕でオーバーランしそうなので、レビテーションでおりよう。どっちの魔法でも失速しても降りられるんだけど、それをよしとしたらいつまでたっても魔法なしでは飛べないし、できれば魔法は安全装置程度で抑えたい。


さあ次はテストパイロットの番だ。その前に二人にさっきわたしが学んだこつを教えておく。

使う魔法も指定しておいたほうがいいでしょう。

わたしはコパイがベフォセットだったから安心して無茶な実験をしたけど、この二人にはそもそも空を飛んだ経験があまりないはずだ。フライの魔法でそれなりに飛んだことはあるだろうけど、ゴーレムとともに揚力がかかる中で飛ぶのとは全然違うだろうしね。

しかも【魂の座】を通しての飛行だし。本当に意味での実験はある程度慣れてからでいい。最初から確かめないといけないほど時間にせっつかれているわけでもないしね。

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