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テスト機動

今回のテストは、まだ空は飛ばず、属性石だけでどれだけ地上での機動が出来るかのテストだ。


テスト場所はテルル北の草原、前に竜と共に竜王国の兵士が攻めてきた場所だ。ここなら広いし、なんなら川から海に出られるので海上実験もできる。そこまでは生きた馬で引く大型の専用馬車に乗せて移動する。未だ丈夫で力強い種類の馬と比べたら馬型ゴーレムの牽引力は負けているためだ。普通の馬車を引く程度のパワーはもうあるんだけど、それより大きく重いトレーラーを引くにはまだ生きた馬の方が有利な場合も多い。数繋げればいけるけど、数つなげるのはゴーレムの場合かなりやっかいだし。


専用のトレーラー馬車は一台しかないし、対応した馬もその分しか飼っていないので、順番に運ぶ。まずは私達の01からだ。私達というのは、私とべフォセットだ。この二人なら万一があってもなんとかなると思うし、地上にはゲゴにいてほしいし。


まずトレーラーから飛び降りる。もちろん魔法なしでは相当に関節が痛むし、下手をすれば壊れる。これを新魔法であるフェザーフォールで吸収し、軟着陸する。フェザーフォールの魔法はその名の通り、羽が落ちるかのように落ちる速度を落とす魔法だ。浮かべないし、速度を0にすることも出来ないが、限りなくふわぁっと降りることが出来る。もちろん呪文としてはとても軽く詠唱しやすいので気軽に使っていける。効果は空中で発動して着地するまでなので、両足を揃えて着地する。フェザーフォールが切れたところで、レビテーションを使う。レビテーションの魔法は縦軸の高さを変化させるといった風な効果なので着地などには実は向いていない。実は高度を上げれば上げるほど維持魔力も増えるのでそこまで便利ではないのだが、ただホバー移動には非常に向いている。そこに目をつけたサーチェスはすごいと思う。


空を飛ぶ場合は機体にしまい込む腰や股関節部分に取り付けてある土の属性石を通してレビテーションを使う。土の属性石を通しているので消費魔力は軽減され、こちらの魔力供給がなくなっても一定時間は使い続けられる。魔力の効率化と専用の外部タンクにも使えるといった感じだ。私ぐらい魔力があれば外部タンク機能はほぼ使わないと思うけど、万一ということもあるし、そこを惜しんで墜落なりされても困るので他の操縦者には遠慮なく使っていってほしい。


しばらく高低差がほとんどない草原を走ってみる。ゆっくり移動しているときにはそれほど感じないが、速度を上げると、01の本体自体に揚力がある形態をしているので、浮かび上がってしまう。制御さえ出来ているのなら浮き上がること自体に問題はなく、むしろレビテーションを切れるのでいいかもしれないが、その制御が難しい。速度を落とすと一気に揚力は失われるので。


その速度を作っているのが主に足と機体後方に取り付けた風の属性石だ。空を飛ぶ際にはフライを使うので使わなくてもいいのだけど、速度の上乗せや、そもそもフライを使わない場合の横軸移動のための力となる。風の属性石だから風を巻き起こして移動するのかと思いきや、そうとも出来るけどそうせずベクトルだけ引き出すことが出来るらしい。任意の方向へ押す力だ。レビテーションで浮いている場合、押す力の邪魔をするのはゴーレム自体の重さと空気の摩擦だ。けどその空気の摩擦も揚力にできるだけ変換しているので、比較的弱い力でも機体を前に進めることが出来る。


この飛行先行量産型だと揚力が強すぎて地上を走る機体としては相応しくないな。まったく揚力がないのももったいないと思うし、機体の形を考えないとね。十六号型は奇抜な形の機体になりそうだ。


私のテストがだいたい終わったところで02が運ばれてきた。彼らにも同じように動いてもらおう。ちゃんと【魂の座】の受信機側にも当然こちらの声は聞こえているので、彼らに指示を与えること自体は普段通りで構わない。


02のコックピットには視野は必要ないのでただの高い防御力を誇るカバーとなっている。なので無人機に見えるね。実際無人ではあるけど、人が入っていて操作しているとも言える。ただ物理的な体は機体には存在しないため、01では考慮しなくてはならない高度での寒さや空気の薄さ、それにGについて考える必要がほぼないため、おそらく実行性能は02の方が高くなる、はずなのだが……。


どうも動きがぎこちない。彼らは今まで十五号で訓練してきたれっきとした操縦者のはずなのだが。


「どうしたの?」


外部拡張音声魔法、都市間の通話魔法で確立した魔法を使って、【魂の座】とも会話は出来る。若干電話越しみたいに違う声に聞こえるけどね。


「はい、なんだか動かしにくいというか……。どう動けばいいのかいまいち直感で分かりづらくて……、一つ一つの動きを意識して動かしている、という感じです」


今回のメインパイロットはドワイトのようだ。


うーん、たぶんあれかなぁ。


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