表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
212/252

やりたい放題

もうすぐ飛行先行量産型が二機、完成するのだ。主となる部分はもう完成していて、あとは超重要パーツである胴体と翼を一体成型した金属パーツが届くのを待つばかりである。その金属パーツを唯一生産できるのが帝都にある魔力炉だけなのでそこはお任せするしかないし、こうすることで他国での複製は今後十年は出来ないはずである。


こんな大きな部品の一体成型などといった技術は今回のために開発したものだし、そもそも使っている金属もサキラパさんオリジナルの新開発した合金である。それを魔力炉で作り鋳出すのだ。そこまで大きな物を鋳出すのもかなりの技術がいり、以前ジュシュリに来てくれていた鍛冶屋の親方にしてもらうことになった。そこに【技工】のギグを派遣して技術を習得できるよう努力目標として言い含めてある。【技工】なので神話の時代の様々な技法は受け継いでいるのだけど神話の時代にもなかった最新技法のことになると田舎の鍛冶屋同然なので仕方ない。ヒンドレー親方と はすでに縁があるのでなんとかなるだろう。


そうやって作った翼はいったん転移装置でレニウムに送られ、レニウムからライクーンを経由してテルルまでアントホールで運ばれてくる予定である。アントホールからはアリクネがありを使って運んでくるので、テルルの皆さんには蟻の初お披露目となる。事前にライクーンでは日常的に使われている騎乗動物であるとの話はテルル市民に広めてもらってはいる。アリクネへの偏見も和らぐだろうしね。


蟻により慎重に運ばれてきた翼はゴーレム工房ですでに組み上がっている本体に接続される。そこにも時間はかかるけど、技術者としてマグダレーナがライクーンから駆けつけてきてくれているから安心である。


彼女はライクーンで正式に採用され、めきめきと頭角を現し、多数のゴブリンを従える姉御になっていた。その技術力や発想力はガギやギグも驚くレベルらしく、たいへん期待されている。今回の飛行先行量産型の本体の設計も彼女が全体を見て、実際に作ってもらっている。

今回二機を用意したのは、セカンドソウルシステムが間に合わなかったため、うち一機を私専用に直接乗り込む形にするためだ。残りのもう一機には試作セカンドソウルシステムでの受信機側【魂の座】を乗せて実験の継続予定である。【魂の座】は思ったより大きいものになりそうなので、それにあわせた設計をしているので、飛行先行量産型にコックピットを作るのは容易である。そもそも私、小さいしね。


私の機体は有人機となるので性能は無人機よりかなり劣ることになると思うけど、まあ実験機でもあるしね。実戦用に今すぐ欲しいってのもあったし。


私の機体と無人機で不具合がないか確かめつつ、改良型を少数生産しながら量産型を正式に決めていくという非常に真っ当なやり方で飛行型は進めていくことになった。


飛行先行量産型の見た目は頭が大きな私の元の世界の戦闘機になった逆足の人、みたいな形となった。

ほとんど飛行機で下部に小人がくっついている感じ。ただ足だけは本体を支えられるようにそれなりの大きさになっているけど、頭の先の方にも格納できる小さな足が生えている。足と言っても属性石の偏向ノズルみたいな役割だけど一応支えられるようにはなっている。


主碗は予定通り廃止し、魔法投射用の副腕のみで武装は翼の中に全自動で発射できるクロスボウを装着することが出来た。物理スイッチでも魔力遠隔ででも動作するようにしてある。重量にも場所にも余裕があったので、片翼に二門ずつの合計四門である。信頼性が高くなってきたら二門に減らそうとは思っている。二門だけでは故障したら撃てなくなるのは致命的だし。


腕は変形ではなく折りたたんでいるというレベルで機体内へ格納できるようになっている。足はどうしても外に露出するけどなるべく影響の受けないような形にはしてあるつもりだ。なんともならないところは属性石で対応する、けど量産型にする際には属性石なしでいけるようにしたい。


設計時ではかなりの揚力が稼げて、高高度ならフライなしで滑空も可能なはずで、なんならフライなしでもいったんレビテーションで高く浮かび上がって属性石の力を借りればかなり長い時間飛んでいられるはずだ。

また飛行先行量産型は空での脅威のみに対応しているけど、応用すれば地上での高機動型に出来ると考えている。場合によっては海上用の機体を考えてもいいかも。


現在十五号型が最新鋭の普及型となっているけど、すでに十六号、十七号、十八号の計画が推進している。

十六号は十五号の発展型でより高性能化を目指した機体、十七号は十五号を素体としながらより低価格で量産性の高いものを目指している機体、十八号は中断されていた有線形式である十二号の発展小型化を目指している機体である。

簡単に言えば十六号はエース用、十七号は低価格機、十八号は十七号とは形式の異なる低価格機、ということだ。

今のところの見通しでは低価格機とはいえ、十五号を上回る性能は可能とのことで、その余剰性能を操作性や量産性に極振りするといった感じだ。十八号は戦闘以外の使い方を主な利用方法としてのゴーレムとなる予定だ。


なお十六号、十七号は容易にセカンドソウルシステムに変換可能となっている。現状の十五号でも比較的容易に変換可能とのことだったのでそのへんは心配していない。


これらの計画が同時に進められるほど、ジュシュリの陣容は厚くなっていた。私が眠っている二年間にガギたちが丹念に育てていてくれたおかげだ。


実は他にもアイディアはあるものの、さすがにこれ以上はキャパオーバーするかもしれないので私の頭の中で止めておいてある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ