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一番長かった日

セルウッドさんにはグゲの分も奢ってもらった。グゲの分は出すと言ったんだけどね。


まあお店もかなりいい感じだったし、炭酸飲料が飲めるとは思わなかったから良かった。私もテルルに長く滞在することになるなら贔屓にしよう。


帰りは引き止めたので、ということで護衛を兼ねてらしいけど冷蔵箱を持った人が送ってくれることになった。箱は貴重だしせっかく冷えてたのに出してまた常温にするのもあれだしね。帰っても冷蔵庫はないはずだから、夕食後にいただこう。……そもそも夕食が入るかどうかが分からないけど。


今度は無事何事もなく宿泊施設についた。ここ元々皇帝陛下のためのものだし、私のためだけに維持とかなら流石に悪いしなぁ。


ここはメイドさんとかもいてかなり便利ではあるけど、私には向いていないと思うし。テルルに長居するなら私の拠点を作らないといけないな、と思いつつ、グゲを労ってから護衛解除で帰ってもらって部屋で一休みすることにした。なお冷蔵箱に入っていたものは、宿泊施設の人には預けず、自室においておくことに。

疑うわけじゃないけど、食べ物を預けて何か盛られたら嫌だからね。数時間程度なら問題ないでしょう。


メイドさんに衣装を解除してもらってから室内着、じゃないけど普段から来ている服に着替えてから、ベッドで一休み。


……したと思ったら、寝てしまっていたようだ。すでにとっぷり夜になっている。部屋には誰も入れないようにしているので真っ暗だ。今日は月も出ていないようでかなり暗い。……そういえばこの世界にも月があった。今まで気にしたことなかったけど、やっぱり夜に明かりがなく月も出ていないと暗いよね。


ってところで完全に忘れていた魔法を思い出した。魔法の基礎鍛錬をしているときに教えてもらっていた魔法「ライト」があった。

元々ライトの消費魔力量は低いし、いったん寝たおかげがほぼ満タンなので問題なく部屋を照らし出すのに十分な光が天井あたりにふわりと浮いた。


「リン様」


うわぁ?! びっくりした! いきなり出てくるんじゃありません、ベフォセット。


「おや、私はリン様の近くへはリン様の影が十分にないと移動できないことはご存知でしたよね? 影がようやく出来たので飛んで参ったのですが」


「聞いてないわ。何しに来たの?」


「はい、ただの伝達ではありますが、早めにお伝えしたほうが良いかと思いまして。アリクネことキリカーンテの準備は終わり、いつでもテルルへのアントホールを設置できるとのこと。パサヒアス様より派遣された私が指揮できます」


「ああ、もうその準備が出来たのね。流石だわ」


「衣類の販売のための集積、分類なども開始しているようです。すべての準備が終わるのはまだ掛かりそうですが先鋒用はすでに確保できているとのこと」


「本当に手際が良いわね」



「それと、ですが、……これはまだ未確認なのですが」


「珍しく歯切れが悪いわね。どうしたの?」


「いえ、かの竜王国、神聖クーテヌス王国の奥部、おそらく首都付近に一瞬巨大な魔力を検知しました」


「え? どういうこと?」


「彼の地には竜が多く住むとは聞いておりますが、あのような魔力を発するような竜は我輩は知りません。パサヒアス様は何やら感知されたようですが、何もおっしゃられず……」


「ふむむ? なにか良からぬことでも起こっているのかもしれないけど、それだけじゃ分からないわね。一応覚えておくわ」


「はい、その後属性石の増産を指示され、その分ジュシュリに多く回すように、とも。あとこれはパサヒアス様からの正式な伝言であります」


「ん? 何かな?」


「ジュシュリが開発した機械、とセカンドソウル、でしたかな? リザードマンから教えてもらったという秘術を応用した技術」


「ええ、それがなにか?」


「それらをミリシディアにも、というかパサヒアス様にもお教え願えないでしょうか? 技術協定といったものになりますが、それらを受け取れれば、倍にして返すことも出来るだろう、とのことです」


え? それって大丈夫なのかしら? いくら超協力的とはいえ、膨大な力を持つものに、生まれ変わりの秘術から生まれたものを渡しても……。


「ちなみに魔族に卵生、もしくは卵胎生のものはいるの?」


「おりますね、キリカーンテが眷属を増やす手段がそれだったはず。他には今のミリシディアにはおりませんが、今後もいないとは言えません」


うーん、キリカーンテは蟻を元にした魔族だから、生まれ変わりとかあまり関係なさそうだし、問題ないかな? 分からない。


「即答は避けるわ、それでいい? 少し時間をちょうだい」


「おおせのままに。ではリン様が目覚めたと、この施設のものに伝えてから、いったんミリシディアに戻らせていただきます。召喚をお待ちしておりますよ」


今は私以外誰もいないから魔族のままの姿だったのに、人間に化けた時みたいに優雅な礼をしてからベフォセットは消えた。


しばらくして身だしなみを整えてくれるメイドさんが来て、すぐに食事が運ばれてきた。ホテルのルームサービスみたいなものね。さすがに時間が結構経ってたからお腹空いてたわ。


食事の後いただいていたおやつも食べて満足したらまた眠くなってきたので、寝る準備を今度はちゃんとしてから寝た。今日はいろんなことがありすぎたわ……。

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